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3.1から6.9SSLまで Madone一気乗り!

アメリカのトレック本社で発表された2011年モデルを、難波ケンジが試乗してきた!
文&写真:難波ケンジ

マドンの末弟は侮れない!

フルカーボンで20万円ちょっとの<マドン3.1>の登場は、ハッキリ言って予想外の展開だった。最高級のカーボンバイクの代名詞でもあるマドンに末弟が加わったことで、フルラインナップが完成したわけだが、なぜエントリーモデルを投入したのかブランドマネージャーのニック・ハウ氏はこう説明する。 「トレックには、同じ価格帯にアルミモデルの2シリーズがあるが、アルミフレームは高い剛性を持っていて快適志向よりもレーシングな味付けになっている。学生レーサーなどにオススメのモデルだ。一方で、ロードバイク1台目のユーザーは快適志向のツーリング用途が多いので、マドンシリーズのエントリーモデルとして3.1を加えた」 3シリーズから6シリーズSSLまでを乗り比べてみると、おもしろい事実に気づく。シリーズ全体で見たときに、それぞれのバイクは価格差相応の性能差があるにもかかわらず、100m乗っただけで感じられる「マドンらしさ」があるのだ。トレックは長年のカーボンバイク研究結果からロードバイクの目指すべき剛性やライドフィール、ハンドリングに関して一定のポイントを発見している。ゆえにマドンでは下半分のジオメトリー(ヘッドアングルやBB下がり)は基本的にモデル間での違いはない。また、上半分のジオメトリーの違いによって、マドンらしさを失うことなくレーシングから快適志向までをこなせるフィッティングの違いを実現している。 そのマドンらしさとは何なのか?それは突出した性能、たとえばガチガチの剛性感や不必要なまでの振動吸収性、クイックすぎるハンドリングをなくして、きわめてニュートラルに基本性能を磨き上げた乗りやすさにある。マドン最上級の市販車がそのままプロチームに供給されていることは周知の事実。ツールドフランスで勝つために開発されたマドンが、なぜ乗りやすさを追求しているかといえば、2000mを超える峠があり、平坦路を数時間走り、スプリントで勝負する、こんな条件を連続して闘うためのバイクに必要な条件は、突出した個性でなく、すべての条件で高い成績を出せるバイク、つまりネガティブをつぶした乗りやすさなのだ。そんなマドンをわずか22万円で体感させてくれるのが、この<マドン3.1>なのである。

マドン3.1

フルカーボンフレームを採用したマドン3.1。ひと目でマドンとわかるデザインとグラフィックを採用、走り自体もこの価格のロードバイクとしてはかなり高いレベルにある。カーボンフレームとはいえ、パーツの重量がそこそこにあるのでバイク全体の重量は普通だが、乗るとカーボンらしい横振動の吸収性、マドンらしい乗りやすさ、ニュートラルなハンドリングを実感できる。パーツアッセンブルも主要な部分にシマノ・105を採用し、カーボンシートポストやコンパクトクランクを装備するなど、必要十分以上のスペックを持つ。 完成車価格:22万円

1.1

トレックでは初となるエントリークラスのアルミロードバイク。10万円以下でトレックのロードバイクが買えるのはお買い得だが、アルファアルミニウムのフレーム自体は上位機種と同じため基本性能は侮れない。コンポはシマノ・2300を搭載。 完成車価格:8万6000円

マドン5.2

フルモデルチェンジした5シリーズの走りは、6シリーズの域に達した。中間グレードならではのモッサリ感などは微塵も感じられない驚きの走り。40万円の価格設定は安すぎると思えるほど、外観上の違いはまったくない。標準装着のホイールでも十分すぎるほどよく回り、コンポもシマノ・アルテグラが装備される。 完成車価格:39万9000円

マドン6.9SSL

5シリーズの完成度はさすがだが、カーボンホイールとカーボンパーツを装着した6.9SSLには別格のオーラが漂う。ヒルクライムとなるとホイールまで含めた車重の軽さは圧倒的なアドバンテージとなる。また、踏み出しの軽さや加速性をキープしつつ、フレーム、ホイールとともに嫌な振動を体に伝えてこないのが印象的。HEX SLカーボンを採用してフレーム重量は、通常の6シリーズと比べて100g、5シリーズと比べて約200g軽量化を果たした。 プロジェクトワン価格:534,500円~ フレームセット価格:43万円~ (※プロジェクトワンによるフルオーダー)

クロノスCX

クールなフルカーボンフレームのシクロクロスバイク、クロノスCX。シクロクロスレーサーとしての用途だけでなく、フルフェンダーや35C以上のタイヤサイズへの対応、乗りやすいポジションとブレーキ性能、ロードバイク顔負けの重量など、通勤用やツーリング車としてのポテンシャルもかなり期待できる。その走りはタイヤさえ替えれば普通にクロノスのそれに匹敵するもの。コンポはスラム・フォースでシクロクロス用の小さなギヤや、エイヴィッドのアルティメイト・カンチブレーキが装備される。 完成車価格:42万円

フューエルEX9.9

跳ね石などに対して強い耐久性を持つ新開発OCLVマウンテンカーボンを採用し、ダウンチューブにカーボンアーマーを装着したのは、FOXと共同開発の大小それぞれの衝撃に対応した2つのエア室を持つDCRVサスペンションの採用によりEXのスピードレンジが上がったから。トラベルは120mmと変わらないが、ヘッドチューブに下側1.5インチのテーパータイプのE2、フロントフォークは15mmスルーアクスルを採用した専門設計のFOX製フォーク、リヤエンドは12mmスルーアクスルと135mmクイックリリースの両方から選べるABPコンバートシステムを採用。ピボット部がリヤエンドと合体している ABPサスペンションならではの装備。全体的な剛性を上げ軽量化も実現した日本のトレイルにも最適なバイクといえる。 完成車価格:88万円

問い合わせ先

トレック・ジャパン
0570-064804
http://www.trekbikes.co.jp