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リエージュで開幕!真夏の祭典 ツール2012

エヴァンスとウィギンスの豪英TTスペシャリスト対決が期待される今年のツール・ドフランス。パリのシャンゼリゼで栄光のマイヨ・ジョーヌを獲得するのは誰か
Photo: Graham Watson / RCS Sport / Unipublic Map: ASO

コンタドール、A・シュレク不在のツールを制する者は?

第99回ツール・ド・フランスが、いよいよ今週末に闘いの火蓋を落とす。昨年は最終日前日の個人タイムトライアルで、カデル・エヴァンス(BMCレーシングチーム)がアンディ・シュレク(レオパード・トレック)を逆転し、オーストラリアに初のマイヨ・ジョーヌをもたらした。シュレク兄弟のために誕生したレオパード・トレックは今年、米国のレディオシャックと合併し、ランス・アームストロングをツール7連覇に導いた名将ヨハン・ブリュイネールがアンディを総合優勝に導くシナリオのはずだった。しかし、アンディはツールの調整で参加していたクリテリウム・デュ・ドーフィネの個人タイムトライアルで落車。仙骨を骨折し、今年のツールには参加できなくなってしまった。 今年のツールには、参加できないもう1人のビッグネームがいる。2010年のツールでクレンブテロールの陽性になったアルベルト・コンタドールは、2月に有罪が確定。8月5日まで競技停止処分になってしまった。アンディ・シュレクとコンタドールという、現世代で最高の選手2人が、今年の世界最大の自転車レースに参加できないのは残念だが、その分、大勢の選手がマイヨ・ジョーヌを手中に収めるチャンスを得たわけだ。もちろん、ディフェンディングチャンピオンのエヴァンスは黙って新しいチャンピオンの誕生を見守りはしないだろう。彼は2連覇を狙って今年も最強チームでツールに挑む。タイムトライアルの距離が長い今年のコースは、エヴァンスには追い風になるはずだ。その前に立ちはだかるのは、英国のブラッドリー・ウィギンス(スカイプロサイクリング)だ。エヴァンスと同じくタイムトライアルを得意とするウィギンスは、最大のチャンスを迎えていると言ってもいいだろう。彼は今年ASOが主催したパリ~ニースとクリテリウム・デュ・ドーフィネの両方で総合優勝し、自信も十分に付いている。ウィギンスが祖国でオリンピックの開催される記念すべき年に、初のマイヨ・ジョーヌを獲得できるか注目したい。

TTスペシャリスト向きのコースレイアウト

今年のツールは個人タイムトライアル(プロローグを含める)の総距離が101.4kmという、エヴァンスやウィギンスのようなTTスペシャリスト向きのコースレイアウトになっている。しかも頂上ゴールの山岳ステージは3区間しかなく、ピュアなクライマーには厳しいレースになりそうだ。オリンピックイヤーのため、今年のツールは例年よりも1週間早い6月30日に開幕。グランデパールは隣国ベルギーのワロン地方(フランス語圏)の都市リエージュで、初日は市内の中心部で6.4kmのプロローグが行われる。スタートとゴールはムーズ川沿いにあるアブロワ公園で、最近改築された前衛的な駅舎が目を引くリエージュ・ギユマン駅のすぐ近くだ。コースはリエージュ~バストーニュ~リエージュのスタート地としてもおなじみのサン・ランベール広場も通過する。ベルギーでは3ステージが行われ、地元の英雄フィリップ・ジルベール(BMCレーシングチーム)が区間優勝を狙っている。第1ステージはリエージュからスラン、第2ステージはビゼからトゥルネーまでで、トゥルネーのゴールにはアルベール国王が観戦に来る予定だ。 その後、ツール一行は国境を越えて北フランスに入り、第3ステージはダンケルクの4日間レースでおなじみのブーローニュ・シュル・メールで最初の中級山岳区間を競う。そこから時計回りで南下し、第7ステージでは中級山岳ステージでありながら、頂上ゴールになっているスキーリゾートのラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ区間が登場。ゴールの標高は1035mだが、優勝候補をふるいにかける最初の難所になるだろう。1回目の休養日前日となる第9ステージには最初の個人タイムトライアルが設定されていて、選手たちは41.5kmの“時間との闘い”に挑まなければならない。 休養日明けの第10ステージからは、いよいよアルプス山岳区間がスタート。とりわけ第11ステージは、スタートから標高2000m級のマドレーヌ峠、クロワ・ド・フェール峠を越えたあと、標高1705mのラ・トゥスイールにあるスキーリゾート、レ・シベレにゴールする難関ステージだ。今年はアルプスとピレネーの間の移動が2ステージしかなく、第14ステージからピレネー山岳区間が始まる。しかし本格的な山岳ステージは、2度目の休養日が明けた最終週の第16ステージと第17ステージになる。そしてパリへとゴールする最終日の前日には、勝負を決する53.5kmの個人タイムトライアルが待ち受けている。 総距離は3497km。21区間の内訳は平坦ステージが9、中級山岳ステージが4、山岳ステージが5、個人タイムトライアルが2、プロローグが1。中級山岳ステージの1区間と山岳ステージの2区間が頂上ゴールになっていて、山岳ポイントはカテゴリー2以上が25ヶ所設定されている。

混戦が予想されるマイヨ・ジョーヌ争いの候補

●カデル・エヴァンス(35歳) 所属チーム:BMCレーシングチーム 国籍:オーストラリア ツールでの成績:2011年総合優勝 ■2連覇を狙うディフェンディングチャンピオン。参加選手のなかで唯一ツールでの総合優勝経験がある。直前のドーフィネは総合3位でポイント賞も獲得。TTスペシャリストで今年のコースは向いている。
●ブラッドリー・ウィギンス(32歳) 所属チーム:スカイプロサイクリング 国籍:英国 ツールでの成績:2009年総合4位 ■今季パリ~ニースと直前のドーフィネで総合優勝し、英国人としてツール初制覇を目指す。昨年は落車で鎖骨骨折し、途中棄権に終わっている。TTスペシャリストで今年のコースは向いている。
●ビンチェンツォ・ニーバリ(27歳) 所属チーム:リクィガス・キャノンデール 国籍:イタリア ツールでの成績:2009年総合7位 ■2010年にブエルタ・ア・エスパーニャで総合優勝。今季はティレーノ~アドリアーティコで総合優勝。もし彼が優勝すれば、1998年のマルコ・パンターニ以来のイタリア人ツール優勝者になる。
●ライダー・ヘシェダール(31歳) 所属チーム:ガーミン・シャープ 国籍:カナダ ツールでの成績:2010年総合7位 ■今年のジロ・デ・イタリアでサプライズな総合優勝を果たし、ダブルツールを目指してツールに乗り込む。昨年は総合18位だった。


●フランク・シュレク(32歳) 所属チーム:レディオシャック・ニッサン 国籍:ルクセンブルク ツールでの成績:2011年総合3位 ■昨年総合2位になった弟のアンディを支えなから、みずからも3位でパリの表彰台に上がった。アンディの代わりにエースを務めるが、TTは苦手なのが不安材料。

●サムエル・サンチェス(34歳) 所属チーム:エウスカルテル・エウスカディ 国籍:スペイン ツールでの成績:2010年総合3位 ■昨年山岳賞を獲得し、総合5位に入ったクライマー。今季バスク一周で総合優勝している。頂上ゴールが少なくTTの多いコースでどこまで健闘できるか。

アルカンシエルを打ち負かすのは誰か?!          スプリント&マイヨ・ベール争い

今年のツールはスプリント合戦も楽しみだ。昨年コペンハーゲン世界選を制してアルカンシエルを獲得したマーク・カヴェンディッシュは、母国のスカイプロサイクリングに移籍して初めてのツールになる。昨年はシャンゼリゼゴールを含めた5勝を上げ、念願のマイヨ・ベールも手に入れたが、今年はアルカンシエルを着て何勝するのか見ものだ。ゴールスプリントで世界チャンピオンに挑むのは、ベテランのアンドレ・グライペル(ロット・ベリソル)と、ツール初出場となるマルセル・キッテル(チームアーゴス・シマノ)の新旧ドイツスプリンターだ。とくにキッテルには、ツール出場を逃したチームメートの土井雪広の分も頑張ってほしい。そんなピュアなスプリンターたちを、あっさり蹴散らしてしまいそうな存在はピーテル・サガン(リクィガス・キャノンデール)だ。彼もツールには初出場だが、直前のツール・ド・スイスではプロローグを含めた区間4勝をマークして絶好調だ。平地では台風の目になる可能性が高い。そして今年は山岳が厳しくない分、マイヨ・ベール争いも厳しさが増すだろう。ジロ・デ・イタリアではたった1ポイント差でポイント賞のマリア・ロッサを失い、悔しい思いをしたカベンディッシュが2連覇を果たすのか、それともニューヒーローが誕生するのか。スプリンターたちの熱い闘いが待ち遠しい。

第99回ツール・ド・フランス 全日程

6月30日 プロローグ [リエージュ(ベルギー)~リエージュ(個人TT)/6.4km] 7月1日 第1ステージ[リエージュ(ベルギー)~スラン(ベルギー)/198km] 7月2日 第2ステージ[ビゼ(ベルギー)~トゥルネー(ベルギー)/207.5km] 7月3日 第3ステージ[オルシー~ブーローニュ・シュル・メール▲/197km] 7月4日 第4ステージ[アッブビル~ルーアン/214.5km] 7月5日 第5ステージ[ルーアン~サン・カンタン/196.5km] 7月6日 第6ステージ[エペルネ~メズ/207.5km] 7月7日 第7ステージ[トンブレーヌ~ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ▲▲/199km] 7月8日 第8ステージ[ベルフォール~ポラントリュイ(スイス)▲/157.5km] 7月9日 第9ステージ[アルク・エ・スナン~ブザンソン(個人TT)/41.5km] 7月10日 休養日 7月11日 第10ステージ[マコン~ベルガルド・シュル・バルスリーヌ▲▲▲/194.5km] 7月12日 第11ステージ[アルベールビル~ラ・トゥスイール/レ・シベレ▲▲▲▲/148km] 7月13日 第12ステージ[サン・ジャン・ド・モーリエンヌ~アノネ・ダベジュー▲/226km] 7月14日 第13ステージ[サン・ポール・トロワ・シャトー~ル・カップ・ダグド/217km] 7月15日 第14ステージ[リムー~フォワ▲▲▲/191km] 7月16日 第15ステージ[サマタン~ポー/158.5km] 7月17日 休養日 7月18日 第16ステージ[ポー~バニェール・ド・ルション▲▲▲/197km] 7月19日 第17ステージ[バニェール・ド・ルション~ペイラグデ▲▲▲▲/143.5km] 7月20日 第18ステージ[ブラニャック~ブリブ・ラ・ガイヤールド/222.5km] 7月21日 第19ステージ[ボンヌバル~シャルトル(個人TT)/53.5km] 7月22日 第20ステージ[ランブイエ~パリ・シャンゼリゼ/120km] [総距離:3497km] ●ツール2012参加予定選手:http://www.cyclesports.jp/depot/detail.php?id=4481

チームヨーロッパカーの新城幸也が参加予定

今年のツールには新城幸也(チームヨーロッパカー)が3度目の出場を予定している。新城は4月上旬に手首を骨折したが、4月29日に開催された全日本選手権で復帰して9位になり、ロンドン五輪代表にも選ばれている。2年ぶりの熱い走りを応援しよう。

ツール・ド・フランス2012公式プログラム、発売中

世界13カ国で翻訳出版されている「ツール・ド・フランス公式プログラム」の日本語版は、フランスのパリにあるツール・ド・フランスの主催者ASOの許諾、協力のもとにチクリッシモが特別編集。各チーム、選手、全ステージの詳細データ満載で「ツールのすべて」を知ることができる、日本で唯一の公認のガイドブックだ。 ツールを5回制したフランスのスーパースター、ベルナール・イノーによる、出場22チームの辛口戦力分析や、コース設定責任者ジャンフランソワ・ペシューによるプロローグ+20ステージのステージ解説など公式プログラムならではの内容に加え、日本語版独自の記事もフィーチャー。付録は2012ツールの全ルートが掲載されたフランス全土マップの大判ポスター! 体 裁:A4ワイド判(225×297mm)、オールカラー196ページ 発売日:2012年6月20日(水) 定 価:付録とも1575円(税込み) 全国書店、amazon、J SPORTS onlineshopなどで好評発売中!

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