トピックス

入門ロードバイク●GIANT DEFY COMPOSITE SE

ジャイアントのロードラインナップにおいてエンデュランスと位置づけられ、快適性を重視するディファイシリーズ。日本限定仕様のディファイ コンポジットSEは、その魅力を最も身近に体験できる1台だ。
text●吉本 司 photo●小見哲彦

特徴的なジオメトリー

入門車でも操作性が高く、乗り心地を高めて体力の消耗を防ぐための工夫がされている。チェーンステーは420mmという長さ。これが抜群の安定性を生み出し、同時に乗り心地を高めてくれる。そして長めのヘッドチューブは、ムリのない前傾姿勢を作り出し、肩や首への負担の少ない走りをサポート。こうした基本コンセプトを最大限に引き出すのがカーボンフレームだ。振動を吸収する要点となるバックステーやフォーク、さらにトップチューブは、カーボン素材の振動減衰特性を最大限に生かすために形状が吟味されている。 もちろん、しなやかさに終始するわけではない。オーバーサイズBBのパワードライブ、上下異径ヘッドチューブといった同社の最先端レースバイクに採用される技術も注ぎ込まれ、ロードバイクらしい軽快なペダリングと俊敏な運動性能も表現。柔と剛が上手にバランスされている。コンポーネントはシマノ・ティアグラの20段変速をフル装備するので、入門者のロングライドや耐久レースの参加には不足のないパッケージ。ジャイアントを語るに「抜群のプライス・パフォーマンス」という言葉は使い古された常套句だが、ディファイ コンポジットSEはやはりお買い得な1台だ。
■写真下・左:フロントフォークはコラム部分までカーボンで作られている。隠れているところだが、カーボンならではの快適性を高める要因のひとつでもある。ブレードは細身ながら、外側に弧を描く逆アーキタイプで、剛性は十分だ。 ■写真下・中:快適性を重視して、ステアリングコラムは標準的な1-1/8インチ。しかし正確なハンドリングを目指して、下側のベアリング経のみを1-1/4インチとしたオーバードライブと呼ばれる上下異径ヘッドチューブを搭載。 ■写真下・右:三角形に近い断面形状のダウンチューブは底辺が大きく確保され、ハンガー部のねじれ剛性を高める。しかし、ハンガー部との接触面積は角型断面タイプより抑えられるため、入門者でも踏みやすい適度な剛性に保たれる。
■パワーコアと名付けられた独自のオーバーサイズBB。ダウンチューブとの接合面積を広く取ることでハンガー部の剛性アップの効果があり、軽快なペダリングフィールを演出してくれる。また同時に軽量化も期待できる。 ■シートステーの集合部は幅広に設計され、ねじれ剛性を高めると同時にブレーキングにも負けない仕様。ブレーキ部から下のチューブは細身に成型され、ロングチェーンステーと相まって高い快適性を保持する。

カーボンの特性を存分に生かした高度な快適設計

【吉本 司のインプレッション】 先代のOCRシリーズもそうだが、ジャイアントのコンフォートモデルはペダリングフィールの味付けがじつに巧みだ。フワッとしたソフトさを伴う軽さがあり、少ない力でスムーズにバイクが進む感覚が気持ちいい。しなやかさと必要な剛性のバランスが、大口径BBやチューブ形状によって巧みにバランスされるのを体感できる。したがって、高次元のレースライドでなければ剛性面の不足はないだろうし、ホビークラスなら十分レースも対応できる動的性能を持つ。乗り心地も実に優秀だ。フレーム全体でショックをしっかり吸収する安定感がある。ポジションはアップライト気味だが腰高感は微塵もなく、荷重配分も最適。さらに振動吸収性の高さによる挙動のつかみやすさによって、荒れた路面のコーナリングでも高い安定性を持って乗れる。入門者にとっては体力を温存しつつ、精神的な不安も取り除いて走れるので、質の高いロングライドやエンデューロに挑戦できるだろう。

ジャイアント ディファイ コンポジットSE

完成車価格 15万7500円(シマノ・ティアグラ仕様) フレーム●ジャイアント・コンポジットカーボン フォーク●ジャイアント・コンポジットカーボン コンポーネント●シマノ・ティアグラ リム●ジャイアント・P-R2 タイヤ●ジャイアント・P-R3 700×23C サドル●ジャイアント・パフォーマンス ハンドルバー●ジャイアント・コネクト ステム●ジャイアント シートポスト●ジャイアント・ヴェクター コンポジット サイズ●XS、S、M、ML 試乗車実測重量●8.61kg(サイズ:M、ペダルなし) カラー●ホワイト、カーボン ********************************************

問い合わせ先

ジャイアント
044-738-2200
http://www.giant.co.jp