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ミッドレンジながら抜群の安定感!FONDRIEST TF3 1.2

88年のロード世界選を23歳の若さで制覇し、91年にはワールドカップ総合優勝に輝くなど、90年代を代表するイタリア人レーサー、マウリツォ・フォンドリエスト。その彼が現役時代の91年に、みずからの名を冠して興したブランドが「フォンドリエスト」だ。
text:吉本 司 photo:岡 拓

ミッドレンジながら抜群の安定感!

フォンドリエストはイタリアンブランドのなかでも、いち早くカーボンに移行したブランドのひとつであり、2000年代前半には自社のカーボン工場を構えたことでも知られている。現在のラインナップは、TFゼロを頂点とし、以下TFI、TF2 1.0と続き、アッパーミドルに位置づけられるのがこの「TF3 1.2」だ。 昨年までのTF3 1.0を元にモディファイされたこのモデルは、ワイヤリングが電動変速にも対応した内蔵仕様となり、下側に1-1/4インチサイズのヘッドベアリングを装備する上位機種と同形状の特徴的なフロントフォークとなったのがおもな変更点だ。50tクラスの高弾性カーボンを素材とするモノコック構造のフレームは、アーチ型にシェイプされたトップチューブからシートステーにかけての形状がもっとも特徴的。もちろん、この部分は路面からの振動吸収を効果的に行なうための設計であるのはいうまでもない。 そして、シートチューブはホイールカットアウトされた翼断面形状を採用し、そこに専用設計のエアロシートポストが差し込まれる。さらに新しく搭載された扁平形状のフロントフォークとの組み合せによってエアロダイナミクスにも配慮がなされている。重量はフレーム単体が980g、フォークは370g、シートポストは240gに仕上げられる。特別軽量ではないものの、ロードレースで必要とされる快適さと空力を備えつつ耐久性にも配慮されており、ミッドレンジとして非常にバランスのとれた実践的な1台だ。
■写真下・左:フロントフォークは前方に向かって弓なりになった、フォンドリエストならではのデザイン。荷重に対してしっかりと踏ん張る感じが強く、軽快なハンドリング性能を与えてくれる。 ■写真下・中:トップチューブがヘッド部を取り囲むように接合される特徴的な形状のヘッドチューブ。大型化されたヘッドチューブとの剛性バランスを整えつつ、デザインのアクセントになっている。 ■写真下・右:ダウンチューブのボトル台座の間には、電動コンポーネントの電子ケーブルを内蔵する穴が開けられる。デュラエースだけでなく、カンパニョーロEPSにも対応しているのがうれしい。
■BBはオーソドックスなネジ切りタイプだが、角形に成型されたダウンチューブはBBシェルとほぼ同じ横幅で、そこからダイナミックなペダリングが生まれる。 ■一体感のあるバックステー。チェーンステーとシートステーの交点には、小ぶりに仕上げられたリヤエンドを接続し、スマートな仕上がりだ。
■トップチューブからシートステーにかけて、連続的なアーチシェイプとすることで、振動吸収性を高める。オリジナルのシートクランプとトップチューブの一体感あるデザインもみごとだ。

フォンドリエスト・TF3 1.2

フレーム価格:24万9000円 シマノ・アルテグラ完成車価格:41万円(ホイールはシマノ・WH6700) フレーム:カーボン フォーク:カーボン コンポーネント:シマノ・アルテグラ ホイール:マヴィック・コスミックカーボンSLR タイヤ:マヴィック・イクシオングリップリンク&パワーリンク 700×23C ハンドルバー:3T・ロートゥンドウプロ ステム:3T・ARXプロ サドル:プロロゴ・スクラッチプロ シートポスト:専用品 試乗車実測重量:7.48kg(Lサイズ、ペダルなし) サイズ:XS、S、M、L、XL、XXL

吉本 司の試乗インプレッション

ハイエンドモデルに比べて、最近性能進化が目覚ましいのがミッドレンジだ。それこそ、ベテランをも納得させるほど優れた性能を持つモデルもあり、このTF3 1.2もそんな1台といえる。何がすばらしいかといえば走りの軽さ。軽さにもいろいろあるが、ダンシングでの加速がじつに軽快だ。フォークを含めフレーム前三角の剛性はしっかりと保たれ、パワーロスの感覚は少なく、バイクも振りやすく動きも軽い。一方でバックステーの剛性は必要以上に高くないので、大きなトルクをかけてもペダリングがギクシャクする感覚はなく、スムーズに脚を回して踏み込めるため、加速の鈍りは自分の想像以上に抑えられている印象があった。 当然シッティングでもパワーをかけやすいので、平坦の中高速域における巡航性も高い。試乗車に装備されたエアロホイールとの相性にも優れ、平地でも力強い走りを披露してくれた。ダンシングの軽快さは上りでも生かされ、実重量よりも軽い走行感覚が得られる。そして、長めのフロントセンターが功を奏して安定感も抜群だ。剛性の高いフォークと相まって、ハンドリングもダルさはなく、安定感と軽快さのバランスも絶妙に仕上げられる。良好なリヤの乗り心地に対してフロントは若干硬めで振動を伝えやすいが、問題となるレベルではない。総合的な評価としては、本格的なロードレースのための性能がバランスよく高次元でまとめられており、約25万円の価格でこの性能は絶対にお買い得。購入への食指を動かされる1台だ。 **************************************

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