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ボーネンが4度目の優勝! 『北の地獄』パリ~ルーベ

“トルネード・トム”ボーネンの快進撃は、北の地獄でも止まらなかった。ドブラミンクの最多優勝記録に並ぶ4勝目は、驚きの独走で制した
Photo: Graham Watson

4度目のルーベ優勝を独走で決めた石畳の王者ボーネン

第110回パリ~ルーベ(UCIワールドツアー)が、4月8日に北フランスを舞台に競われ、ベルギーのトム・ボーネン(オメガファルマ・クイックステップ)が、50km以上の独走で4度目の優勝を果たした。これで彼は、“ムッシュー・ルーベ”と呼ばれるロジェ・ドブラマンク(ベルギー)の最多優勝記録に並んだだけでなく、フランドルとルーベのダブル優勝を2度成し遂げた初めての選手になった。さらにUCIワールドツアーは、3月23日のE3プレイスから4連覇。今年の春のクラシック前半戦は、“トルネード・トム” が独占した。 コンピエーニュからルーベまで総距離257.5kmのレースは、67km地点で12人の逃げが決まって始まった。この逃げは、最初に石畳区間が登場した97.5km地点で4分以上になっていた。集団では131km地点の石畳区間で落車が発生し、これが引退レースとなったフレデリク・ゲドン(FDJ・ビッグマット)が巻き込まれてしまった。彼はその後、メカニック・トラブルにも見舞われ、残念ながら最後のルーベを制限時間内にゴールすることができなかった。この落車で集団は一時分裂したが、間もなく1つに戻った。アランベールの石畳区間では、1列で走っていた逃げ集団の中盤でグリシャ・ヤノルシュケ(チームネットアップ)が落車し、ダビー・ブシェ(FDJ・ビッグマット)、ギヨーム・バンケイスブルック(オメガファルマ・クイックステップ)が巻き込まれる事故があり、ここで逃げは8人になり、集団とのタイム差も1分半になっていた。 ゴールまで残り77kmで、アレッサンドロ・バッラン(BMCレーシング)とフアンアントニオ・フレチャ(チームスカイ)がボーネンを出し抜こうとアタックし、集団に一時20秒差を付けたが、オメガファルマ・クイックステップの守りは固く、間もなく捕まってしまった。残り58kmのオルシーの石畳で、今度はボーネンがアタック。彼の最大のライバルであるフィリッポ・ポッザート(ファルネーゼビーニ・セッレイタリア)がぴったりとマークし、アスファルト区間でバッランも後から追いついてきた。ここからボーネンは、チームメートのニキ・テルプストラとともに再びアタックし、2人でゴールを目指すのかと思われた。しかし、次のオシー・レ・オルシー・ア・ベルゼーの石畳でテルプストラはボーネンのスピードについていけず、脱落してしまった。ゴールまではまだ50km以上あったが、ここからボーネンの独走はスタートした。 ライバルたちの必死の追い上げを尻目に、ボーネンはジリジリとタイム差を広げていった。ポッザートは石畳のカーブで落車して右ヒザを負傷し、追走グループから早々に脱落。この落車には、ステイン・デボルデル(バカンソレイユ・DCM)も巻き込まれてしまった。ゴールまで残り29kmでその差は1分に達し、ベロドロームで待つベルギーのレースファンは大歓声を上げた。終盤ボーネンは、会場に来られなかったガールフレンドのために、TVカメラに向かって合図を送るゆとりまで見せ、ベロドロームに飛び込んだ後は、2周の“ウイニング・ラン”をじっくり楽しんでゴールした。

ルーベで4勝目を上げたボーネンのコメント

記録や優勝のことはあまり考えていなかった。この2~3週間をトップ・コンディションにするために、本当に必死で努力したんだ。このレベルに達することができたことでもう幸せだったし、今年は大きな落車にも見舞われなかったからよかった。E3プレイスで優勝したきとにはもう、他のレースでもよく走れるだろうとわかっていたのさ。この数週間を振り返ると、まったく驚異的だった。ボクはおそらく、石畳のレースで最高の男だと思う。それは格別だけど、まだ待ってほしい。ボクのキャリアは終わってないからね。ボクはただ、自転車レースが好きなんだ。けっしてトレーニングするためのモチベーションを失ったことはない。確かにそれは簡単なことではないし、いつでも浮き沈みがある。でも、トレーニングする上ではけっして問題はないんだ。疲れたと感じ、トレーニングをしなくなったら、それは引退する時なのだと思う。でもこの数年間、ボクは以前よりもっと自転車が好きになって、その気持ちを失うことはない。歳を重ねるごとに、より簡単になっていくのだと思うよ。

パリ~ルーベ2012結果

1 トム・ボーネン(オメガファルマ・クイックステップ/ベルギー)5時間55分22秒 2 セバスティアン・テュルゴー(チームヨーロッパカー/フランス)+1分39秒 3 アレッサンドロ・バッラン(BMCレーシング/イタリア)+1分39秒 4 フアンアントニオ・フレチャ(チームスカイ/スペイン)+1分39秒 5 ニキ・テルプストラ(オメガファルマ・クイックステップ/オランダ)+1分39秒 6 ラルス・ボーム(ラボバンク/オランダ)+1分43秒 7 マッテーオ・トザット(チームサクソバンク/デンマーク)+3分31秒 8 マテュー・ハイマン(チームスカイ/オーストラリア)+3分31秒 9 ヨハン・バンスンメレン(ガーミン・バラクーダ/ベルギー)+3分31秒 10 マールテン・ワイナンツ(ラボバンク/ベルギー)+3分31秒