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落車時の頭部障害の危険性が大幅に減少! カブト

世界のトップブランドに成長した日本のカブト。オリンピックを走る代表選手から市街地を走る一般人まで、数えきれないほどの命を救ってきたカブトにいま一度「ヘルメットの意味」を聞いた。
text●安井行生 photo●鶴身 健

大切な頭部を守るヘルメットをいま一度考える!

自転車の車道走行が浸透し始めた日本。しかし「これで日本もヨーロッパ並みの自転車先進国だ!」と手放しでは喜べない現実がある。「自転車の車道への進出率」と「ヘルメットの装着率」がまったくシンクロしていないのだ。 街なかで自転車を眺めていると、ロードやMTBのライダーのヘルメット装着率は非常に高い。しかし、シティサイクル、クロスバイクのヘルメット装着率はまだまだ低い。これは危惧すべき事態である。いま一度ヘルメットについて考えるべく、オージーケーカブト(以下カブト)の本社を訪れた。 カブトの担当者が見せてくれたのは、無残に破損したヘルメットの数々だった。これはカブトがヘルメットを供給しているプロ選手が落車によって壊したもの。カブトはそれを回収して、本人に事故時の状況のヒアリングを行ない、ヘルメットの破損箇所や程度などのデータをすべて蓄積している。その数はじつに1000個以上!その数字にもビックリだが、さらに驚くべきは、過去の1000回以上の落車で頭部に重大な障害やケガを負ったケースがゼロだという事実。プロのスピードでの激しい落車は、一般の事故よりも衝撃が大きいはずなのに。ヘルメットの意味をこれほどわかりやすく示すデータはない。 プロが壊した1000個のヘルメットは、まさに氷山の一角だろう。カブトのヘルメットによって人生を救われたサイクリストは、世界中におそらく何万人もいると思われる。実際にカブトの本社には、一般のサイクリストからも破損したヘルメットが届くことがあるという。「これのおかげで助かりました、ありがとう」という感謝の手紙が添えられて。このようなカブトの取り組みを知ると「ヘルメットなんて・・・」とは口が裂けても言えなくなる。できるだけ多くのサイクリストにこの事実を伝えたいと思った。 ■落車して衝撃を受けたヘルメットは一見問題なさそうでも内部のライナーが割れている。ライダーの頭部を守った証だ。

落車時の頭部障害の危険性が大幅に減少

■ヘルメットの装着・未装着の応力分布図による比較。赤が骨折の可能性が大きくなる部分。いかにヘルメットが衝撃を吸収しているかわかる。 カブトは数年前から、独立行政法人産業技術総合研究所・金沢大学と共同で幼児・児童用ヘルメットの安全性について、自転車を用いた転倒実験などの研究を行なっている。転倒して側頭部に衝撃が加わった場合、ヘルメットを装着することで頭部にかかる応力は1/4程度まで低くなることがわかっている(カブトが行なった子供用ヘルメットでの実験結果)。転倒するとライナーがつぶれることで衝撃を吸収するため、一度強い衝撃を受けたヘルメットは再使用できない。

Q:ヘルメットは3年で交換しなければいけないってホント?

A:発売から5年がたつとはいえ、モストロの軽さとフィット感は今でもトップレベルにあり、いまだに初期モデルを使っている人も多いだろう。しかし、ヘルメットの保護機能を高いレベルで維持させるには、3年ごとに交換する必要がある。紫外線や汗、雨などで発泡スチロールが劣化してわずかにやせて(縮んで)しまい、角も丸まってしまうからだ。落車していなくてもヘルメットはヘタるのである。 ■使用品はシェルとライナーに隙間が生じており、シェルが浮いてしまっている箇所も見受けられる。使っていなくともライナーは劣化するため、使用期限は購入後3年だ。 ■右が新品。左が4年間ほぼ毎日使用したもの。一度も転倒していないが、左はライナーのエッジが丸くなって表面の凹凸が粗くなり、全体的にやせてしまっていることがわかる。

落車体験者が語る!

■写真下・左:福島晋一(トレンガヌ・プロアジア・サイクリングチーム) 現在はトレンガヌ・プロアジア・サイクリングチームで活躍する福島晋一選手は、選手生活20年近くになる大ベテラン。 「落車して頭をガンッとぶつけるたびに、本当にかぶっていてよかった!と思います。今ではかぶらずに走るなんて考えられない。プロと比べるとビギナーはライディングテクニックが未熟。いまでも、ヘルメットはカッコ悪い、なんて感覚があるのかもしれませんが、プロからするとかぶらずに走ることがカッコ悪いですよ。」 ■写真下・右:中島丈博(サイクルスポーツ編集部員) 「ここ1年でヘルメットを3つも壊してしまった。MTBのエンデューロレースに参加し、シングルトラックの下りで木立ちに激突!まず1個。 ロードバイクで峠の下りでクラッシュし2個。 JCRCの西湖ステージ、チームTTで落車して3個。 ケガは負ったものの、幸いにして後遺症はまったくない。これもヘルメットをちゃんとかぶっていたおかげ。社会人であるわれわれにとって、日常生活へダメージを与えないためにもヘルメットはなくてはならないのだ。」

厳重なテストを重ねて安全性を徹底追求

今回の取材を通して、カブトが安全と品質に対し過剰なまでの取り組みを行なっていることがわかった。取材時には「ここまでやるか」と何度も驚かされ、カブト製品の性能の高さはこの姿勢に支えられたものだと実感させられた。その、ごく一部を紹介する。 ■写真は選手から回収した破損ヘルメット。本社の倉庫に大量に保管されている。破損の状況を分析して、より安全なヘルメット作りに役立てている。選手によるレポートからは転倒時の状況やケガの有無などがデータとして蓄積される。 ■ヘルメットのもっとも大切な機能をテストする衝撃吸収試験。ヘルメット内側に加速度センサーを組み込んで落下させ、どれだけ衝撃を吸収しているかを測る。規格によって落下距離や当たる部分の形状(平面、半球状、角のあるもの)などが異なる。テストは1回ではなく、サイズごとや気象条件(常温、低温、高温、水没させてからなど)に合わせて何度も行なう。発泡スチロールは冷えると硬く、暖まると柔らかくなるため、温度を変化させたテストの結果をもとに密度をコントロールするのだという。規格や条件を変え、新品のヘルメットは何個も何個も壊される。多いときで1年に1000個近くのヘルメットが試験にかけられる。このほかにも、転倒して地面にこすれても脱げてしまわないかをテストするロールオフ試験、あごひもが必要以上に伸びないかをテストするあごひも引張強度試験などが行なわれている。

カブト MS-2

価 格:1万9950円 サイズ:S/M、L、XL/XXL 圧倒的な性能を持ったモストロをブラッシュアップした進化版。アジャスターが改良され、消臭効果のある素材を使用するなど安全性、フィット感、快適性が向上している。

カブト レジモス

価 格:2万7300円 サイズ:XS/S、S/M、L、XL/XXL 大ヒット作となったモストロをさらに進化させたカブト自転車用ヘルメットのトップモデル。海外トップチームやオリンピック日本代表などにも供給され、絶賛されている。 ********************************************

問い合わせ先

オージーケーカブト
06-6747-8031
http://www.ogkhelmet.com