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オメガファルマ・クイックステップが初代王者! リンブルフ世界選チームTT

オランダ南部のリンブルフ州で開幕したロード世界選。初日のチームタイムトライアルはオメガファルマ・クイックステップが優勝した
Photo: Graham Watson / cyclesports.jp

リンブルフ州を駆け抜けたオメガファルマ・クイックステップの6人の勇者たち!

オランダ南部のリンブルフ州で開幕したUCIロード世界選手権大会。今年は史上初の試みとして、チーム対抗のチームタイムトライアルが初日に行われ、ベルギーのオメガファルマ・クイックステップが53.2kmのコースを1時間03分17秒で駆け抜け、初代世界チャンピオンチームになった。ロード世界選では1994年のアグリジェント大会までチームタイムトライアルが行われていたが、それはナショナルチーム対抗のレースだった。今回のように国別ではなくUCIプロチームのような、参加選手の国籍が混じったチーム単位で競技が行われること自体、ナショナルチーム対抗で競われる世界選では初の試みだ。しかも今回はいわゆるプロチームのトップクラスとなるUCIプロチームの他に、UCIプロコンチネンタルチームだけでなくUCIコンチネンタルチームにも参加資格が与えられ、世界レベルのチームと競う機会が与えられた。しかし、力の差は歴然としていて番狂わせはなく、トップ10はすべてUCIプロチームという結果に終わった。 UCIロード世界選のチームタイムトライアルは6人編成で競われ、フィニッシュラインを4番目に通過した選手が計測対象となる。優勝したオメガファルマ・クイックステップは、TT世界チャンピオンのトニー・マルティン(ドイツ)、トム・ボーネン(ベルギー)、ニキ・テルプストラ(オランダ)、ペーテル・ベリッツ(スロバキア)、クリストフ・バンドワル(ベルギー)、シルバン・シャバネル(フランス)の6人がシッタルトのスタートランプに並んだ。彼らは3ヶ所の中間計測ポイントすべてをトップタイムで通過し、ゴール手前に厳しいカウベルフ越えがあったにもかかわらず、6人そろってフィニッシュラインを通過した。計測に必要なのは4選手だったため、6人全員がそろっとゴールしたのは優勝したオメガファルマ・クイックステップだけだった。 4分後にスタートした米国のBMCレーシングチームは、タイラー・フィニー(米国)、フィリップ・ジルベール(ベルギー)、ティージェイ・バンガルデレン(米国)、マヌエル・クインツィアート(イタリア)、マルコ・ピノッティ(イタリア)、アレッサンドロ・バッラン(イタリア)という強豪を揃えて優勝を狙っていたが、終盤のカウベルフでメンバーが4人になってしまい、誰も脱落できない苦しい闘いになってしまった。BMCレーシングは結局オメガファルマ・クイックステップのタイムにたった3秒およばず、初代王者の座を逃してしまった。しかし、次の週末に控えているエリート男子ロードの優勝を目指しているベルギーチームにとっては、ボーネンとジルベールが絶好調であることが証明されたレースになった。 「こんな風にこのレースで勝てるとは期待していなかったよ。何しろ今までまったくなかったレースだからね。だから他の優勝と比較するのは難しいよ。チームの勝利であり、チームスタッフの勝利だ。本当にこれまでのメンタリティーを変えないとね」と、ボーネンは喜びを語った。地元選手として今大会で最初の世界チャンピオンになったテルプストラは「地元の観衆の前で勝てたからうれしいよ。このフィニッシュとカウベルフは自転車競技にとって伝説的な場所だ。6人全員でゴールするのは目標ではなかったけど、とにかくボクたちはやり遂げた。誰もギブアップしたくなかったのさ! 今日、ボクたちは本当にチームとしてレースをしたよ」と、語っていた。世界選手権のレースで、異なった国籍の選手たちが1つのチームとして競う新しい試みは、大成功だったと言えるだろう。

史上初開催のチーム対抗チームタイムトライアル。世界王者の称号は?

ロード世界選チームタイムトライアルの初代世界チャンピオンになったオメガファルマ・クイックステップは、表彰式で参加選手全員が金メダルを受け取り、チームを代表してトム・ステールス監督がクリスタルのトロフィーをパット・マッケイドUCI会長から受け取った。この日はベルギーの英雄、エディ・メルクスもプレゼンテーターとして参加していて、オメガファルマ・クイックステップにとっては最高の表彰式になった。 とにかく史上初めて行われたチーム対抗チームタイムトライアルだが、気になるのは世界チャンピオンの称号であるアルカンシエルの行方だ。このレースで優勝した6人全員が、世界チャンピオンとしてアルカンシエルを着る、というわけではもちろんない。大会要項によれば、優勝したチームは世界チャンピオンチームとして、来シーズンは特別なシンボルマークをチームジャージに入れることが許される。例えるならば、サッカーのコッパ・イタリアで優勝したチームが、翌年のユニフォームにイタリア国旗色のコッカルダマークを付けられるようなものだ。そのマークのデザインは優勝チームが制作し、PCCとUCIの認可を受けたあとでチームジャージに付ける。そのマークを付けることができるのはチームタイムトライアルで優勝した6人だけでなく、来シーズンの所属選手全員だ。つまり、チームが来シーズン使用するチームジャージのデザインの一部に、世界チャンピオンチームとしての称号が付け加えられることになる。このシステムも世界選初の試みだ。オメガファルマ・クイックステップがどんなマークを付けることになるのか、来シーズンが楽しみだ。

来季UCIプロコンチネンタルチーム昇格への決まっている  南アフリカのMTNクベカが第1走者!

初めて行われたロード世界選チームタイムトライアルの栄えある第1走者を務めたのは、南アフリカのUCIコンチネンタルチーム、MTNクベカだった。このチームはロード世界選開幕前日にUCIが、来シーズンはUCIプロコンチネンタルチームに昇格すると発表していて、大会初日に先陣を切ったことはチームにとって素晴らしいPRになった。アフリカの黒人選手をツール・ド・フランスに参加させることを目標としているMTNクベカは、優勝したオメガファルマ・クイックステップよりも3分38秒遅れの23位という成績で初めての世界選を終えた。

ガイドブックでは見つけられない街の魅力を伝える世界選

チームタイムトライアルはリンブルフ州第2の都市、シッタルトがスタート地になった。スタートランプは中世の面影が残るマルクト広場に設置され、大勢の観客が世界選手権を楽しんでいた。今回は州として世界選手権をホストしているため、月曜日から始まるチームタイムトライアルもリンブルフ州のちがう街からスタートする。世界選はガイドブックには出ていないような街の魅力を発見する、またとないチャンスになりそうだ。
【リンブルフ世界選 チームタイムトライアル・男子結果】 1 オメガファルマ・クイックステップ(ベルギー)1時間03分17秒 (P・ベリッツ、バンドワル、テルプストラ、マルティン、シャバネル、ボーネン) 2 BMCレーシングチーム(米国)+3秒 (バンガルデレン、クインツィアート、ピノッティ、フィニー、ジルベール、バッラン) 3 オリカ・グリーンエッジ(オーストラリア)+47秒 (タフト、ムリス、キャメロン・マイアー、ラングベルト、ダーブリッジ、ビューリー) 4 リクィガス・キャノンデール(イタリア)+1分04秒 5 ラボバンクサイクリングチーム(オランダ)+1分08秒 6 モビスターチーム(スペイン)+1分18秒 7 カチューシャチーム(ロシア)+1分18秒 8 レディオシャック・ニッサン(ルクセンブルク)+1分21秒 9 スカイプロサイクリング(英国)+1分32秒 10 ガーミン・シャープ(米国)+1分35秒

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