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悪路も快適に走る FOCUS IZALCO ER 1.0

2012年、プロコンチネンタルチームのアックア・エ・サポーネがチームバイクとして採用しているドイツの自転車ブランド「フォーカス」。そのフラッグシップグレードにはイザルコという名が与えられる。今シーズンのトレンドとなりつつある「悪路を快適に、しかも早く走る」というコンセプトにフォーカスが出した答えが、この「ER 1.0」だ。
text:中島丈博 photo:岡 拓

トレンドに乗ったモデルが登場

フレームの金型は女性向けモデルのイザルコ・ドンナと同じものが採用されている。これだけを聞くとなーんだ、と思ってしまうかもしれないが、そこは抜かりない。使われているカーボンのグレードを上げることで、よりレーシーなキャラクターに仕上げているのだ。ジオメトリーを見てみると、セオリーどおりヘッドチューブは長め。アップライトなポジションでも違和感が少なくなるよう考慮されており、ホビーサイクリストのポジションを意識した設計だ。フォークはボリュームを大きくせず、先端に向かって細く絞り込まれており、振動を吸収することに重きを置いた形状となっている。リヤセクションも、とても特徴的な造形だ。シートステーは左右に扁平された形状を持ち、サイドから見ると非常に薄い。またチェーンステーは中ほどで一気に薄くなり、見るからに振動吸収性が高そうだと想像することができる。 これらの説明から見れば、ロングライドやツーリングがメインのフィールドと思えるが、カーボンのグレードを高いものとすることでレースでの使用も視野に入れたバイクに仕上げるというカーボンバイクならではの芸当も駆使されている。塗装もマットとグロスが使い分けられ、耐久性、耐候性が高いコーティングが施されている。見た目への配慮にも抜かりはないのだ。
■写真下・左:ヘッドチューブには流行のテーパードタイプを採用。下側ベアリングは1.5インチ。各種ワイヤもヘッドチューブからフレームに内蔵される。ワイヤ長も長めにとられている。 ■写真下・中:新設計のフロントフォークは少しだけベンドし、特別太いわけではないが、サイドにエッジを立てることでかっちり感と、先端の細さで振動吸収性の両立を狙っている。 ■写真下・右:フレームサイズごとにダウンチューブの外径が変更される。これにより、各サイズに最適な走行性能を提供できる。塗装はマットとグロスを使い分け、シックな仕上がり。
■BBにはプレスフィット30を採用。フレームのねじれを抑え、ペダルからのパワーを推進力として伝えられるようにBB部には大きなボリュームが与えられている。 ■チェーンステーとシートステーが一体となっていることにより、エンドパーツとフレームの接合面積がアップ。ねじれ剛性が高まり、加速でのパワーロスを抑える。
■見た目からして振動吸収性の高そうなシートステー。縦方向に柔軟性を持たせてあるが、幅はあるので横方向へは剛性を持たせている。

フォーカス・イザルコ ER 1.0

フレーム価格:33万4950円 シマノ・アルテグラ完成車価格:41万7900円 シマノ・アルテグラ Di2 完成車価格:50万1900円 フレーム:C.O.D.カーボンPF30 フォーク:T4カーボン コンポーネント:シマノ・アルテグラ ホイール:フルクラム・レーシング5 タイヤ:ミシュラン・リチオン2 サドル:セライタリア・SLチームエディション ハンドルバー:ITM・アルコア80 ステム:ITM・アルコア80 シートポスト:コンセプト・CEX 試乗車実測重量:7.88kg(51サイズ) サイズ:48、51、54

CYCLE SPORTS.jp編集長・ナカジの試乗インプレッション

フォーカスのバイクというと、ロードバイクにしてもMTBにしても剛性が高いバイクを作り出すブランドというイメージが自分のなかにはあった。そんな同社が作り出す快適性を重視したバイクというのは、どんなバイクになっているのか非常に興味を持って走り出した。 最初のペダリングでは、やはり脚にガツンと響く反応は返ってこなかった。イザルコという名前は付いているが、今までのモデルとはまったくキャラクターを異にする。フォークはそれなりの硬さを残しているが、リヤセクションのしなりはすごい。大げさにいえば、フロントタイヤで感じた振動が、リヤでは半分以下になって伝わってくる。さりとてフォークはガッチガチなのかといえば、それは言い過ぎというもの。すっと細くなったフォークブレード先端がしなり、快適さを演出している。高速でのコーナリングでは、ヘッドの安定感が好印象だった。ヘッドからBBにかけてはしっかりと芯を持たせて、末端部分にいくにつれてソフトになっている。ただ、ダンシングしたときに、シッティングとのバランス差が大きいのは慣れが必要になる部分ではないかと感じた。 他社の快適性を重視したバイクに比べると、その特性は控えめかもしれない。だが、フォーカスが作ったということを考えると、このレベルに仕上げているというのは納得。これがフォーカス流の答えということだろう。メーカーのアイデンティティを損なっていないというのは、とても好感が持てる。 *************************************

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