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ニューヒーローが続々誕生!ジロ2012序盤戦ハイライト

第95回ジロ・デ・イタリアは北欧のデンマークで開幕し、米国のフィニーが最初のマリア・ローザを獲得。序盤戦は新しいヒーローたちがレースを盛り上げた
Photo: RCS Sport

フィニーが初日のTTで優勝してマリア・ローザを獲得!

3大ツアーの1つであるジロ・デ・イタリアは、5月5日に北欧デンマークのヘアニンで開幕した。初日に行われた個人タイムトライアルで優勝して最初のマリア・ローザを獲得したのは、米国出身でたった21歳のタイラー・フィニー(BMCレーシング)だった。彼は両親ともに有名な自転車選手という2世選手で、昨年のデビュー前から注目されていて、ビッグレースで頭角をあらわすのは時間の問題だったが、初出場したジロがそのスタート地点になったわけだ。彼は「マリア・ローザを着て、夢が実現したよ。ボクは信じられないくらい幸せだ。ウォーミングアップしていたときに、いい日になるだろうと感じていた。いつだってボクを本当に信じてくれていたチームと家族には感謝しなければならない。これはまだスタートだと願っている」と、勝利の喜びを語った。 しかし、その後のフィニーは不運続きだった。第3ステージではゴール前の落車に巻き込まれて右足首を痛めてしまい、イタリアに渡って行われたチームタイムトライアルでマリア・ローザを失ってしまった。しかしこの経験は、彼をさらに強い選手へと成長させるにちがいない。

世界チャンピオンのカベンディッシュが序盤で区間2勝!

今年最初のスプリント区間となった第2ステージを制したのは、世界チャンピオンの証であるアルカンシエルを着たマーク・カベンディッシュ(スカイ)だった。彼はこれがジロでの区間通算8勝目だったが、最初のスプリント区間で勝ったのはこれが初めてだったとみずから語っていた。 翌日の第3ステージも、カベンディッシュの2連勝が濃厚だと思われていたが、ゴール目前に思わぬ落とし穴があった。残り100メートルで、4番手にいたロベルト・フェッラーリ(アンドロニジョカットリ)が左から右に斜行し、後輪でマリア・ロッサを着たカベンディッシュ(スカイ)をなぎ倒してしまったのだ。世界最速スプリンターがいなくなったゴールスプリントは、オーストラリアのマテューハーレイ・ゴス(オリカ・グリーンエッジ)が優勝し、ジロの直前にチームのタイトルスポンサーになったオリカ社に初優勝をもたらした。 幸いカベンディッシュに骨折はなく、イタリア本土に渡った後の最初のスプリント区間だった第4ステージで今大会2勝目をマーク。この日はゴールにガールフレンドのペタ・トッドさんと、4月に生まれたばかりの娘、デライラちゃんが待っていた。愛娘を抱いて表彰台に上がった世界チャンピオンは「自分の赤ん坊を腕に抱くよりもいい気分なんてないね。娘と一緒の優勝は初めてだ。だからすごく幸せだ」と、喜びに満ちあふれていた。

チームTTを制したガーミン・バラクーダが序盤戦をリード

序盤の総合成績は、イタリア本土へ渡った後、北部ヴェローナで行われた第4ステージのチームタイムトライアルがキーポイントになった。区間優勝したのは米国のガーミン・バラクーダで、総合優勝を狙うアスタナに22秒差、リクィガス・キャノンデールに26秒差、ランプレ・ISDに34秒差をつけることに成功した。チームタイムトライアルでマリア・ローザを着ていたフィニーは、第3ステージの落車で負傷していたため、彼のBMCレーシングは31秒遅れになり、首位の座も失ってしまった。代わってガーミン・バラクーダのラムナス・ナバルドースカスが、リトアニア人として初めてマリア・ローザにソデを通した。24歳のナバルドースカスは、翌日のステージも首位の座を守った。 逃げが決まった第6ステージでは、イタリアのアドリアーノ・マローリ(ランプレ・ISD)がマリア・ローザを獲得したが、翌日に行われた上りゴールの中級山岳ステージで脱落。そこで総合首位に浮上したのは、チームタイムトライアルの成績で総合の上位に付けていたガーミン・バラクーダのライダー・ヘシェダールだった。彼はナバルドースカスと同じように祖国カナダに初めてのマリア・ローザをもたらし、翌日の中級山岳ステージで首位の座をきっちり守り、ジロ1週目を終えている。

イタリア勢が序盤の中級山岳ステージを制覇!

最初の週末には、今年最初の上りゴールが設定されていた。その第7ステージを制したのは、地元イタリアのパオロ・ティラロンゴ(アスタナ)だった。ゴールのロッカ・ディ・カンビオの登坂で、最初にアタックしたのはミケーレ・スカルポーニ(ランプレ・ISD)だったが、ティラロンゴはゴール目前で彼を追い抜き、昨年に続いて2度目の区間優勝を獲得した。ゴールまで400メートルの2人の死闘は、息が詰まりそうな激戦だった。この区間優勝でティラロンゴは総合2位に浮上したが「ボクはチャンピオンではないし、偉大な選手でもないと思っている。ボクはチームのエースのために一生懸命働いて助ける選手なんだ。ボクはチームのために働くためにここいて、この後のレースで先頭に立ちたいとは思わないさ」と、語っている。 翌日の第8ステージでは、小柄なクライマーのドメニコ・ポッゾビーボ(コルナゴ・CSF)が、ゴールまで残り6.8kmのロングアタックを決めて初区間優勝し、イタリアは2日連続で地元勢が区間優勝してお祭り騒ぎだった。現在29歳のポッゾビーボは、2008年のジロで総合9位になっていて、その時は最後の1週間が強かったとみずから明かしている。「だから今年のジロでも最後の週の山岳で自信があるよ」4月中旬にジロ・デル・トレンティーノで総合優勝して好調なポッゾビーポは、1週目を終えてたった55秒遅れの総合13位に付けている。もしかすると彼は、今年のマリア・ローザ争いのダークホースになるかもしれない。

■第8ステージまでの総合成績

1 ライダー・ヘシェダール(ガーミン・バラクーダ/カナダ)32時間23分25秒 2 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+9秒 3 パオロ・ティラロンゴ(アスタナ/イタリア)+15秒 4 ロマン・クロイツィーゲル(アスタナ/チェコ)+35秒 5 ベニャト・インチャウスティ(モビスター/スペイン)+35秒 6 イバン・バッソ(リクィガス・キャノンデール/イタリア)+40秒 7 ダミアーノ・カルーゾ(リクィガス・キャノンデール/イタリア)+45秒 8 ダリオ・カタルド(オメガファルマ・クイックステップ/イタリア)+46秒 9 フランク・シュレク(レディオシャック・ニッサン/ルクセンブルク)+48秒 10 エロス・カペッキ(リクィガス・キャノンデール/イタリア)+52秒 12 ミケーレ・スカルポーニ(ランプレ・ISD/イタリア)+54秒 13 ドメニコ・ポッゾビーボ(コルナゴ・CSF/イタリア)+55秒 25 ダミアーノ・クネゴ(ランプレ・ISD/イタリア)+1分14秒 34 ホセ・ルハノ(アンドロニジョカットリ/ベネズエラ)+2分39秒