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フルカスタムのカーボンフレーム PARLEE Z1

アメリカはもとより世界のマニアックなロードバイカーから高い評価を受けるカーボンフレームブランドが、マサチューセッツ州に本拠を構えるパーリーだ。2000年に登場した処女作「Z1」は、2004年という早い段階で900gを下まわる超軽量を実現し、それ以降も進化を続けて今なお同社のフラッグシップに位置づけられる。
text:吉本 司 photo:山内 潤也/岡 拓

フルカスタムによる至高のカーボンフレーム

Z1はオリジナルのカーボン製のチューブと外ラグが接着工法によってフレーム体となる。ブレーキブリッジとワイヤストッパーもカーボン製で、金属部はヘッドチューブとBBシェルのパーツ挿入部、ボトル台座とチタン製のリヤエンドぐらいのものだ。ヘッド部は一般的なアヘッドタイプだが、1.125インチ径コラムを装備するタイプにより必要とされる剛性を確保している。シートポストは31.6mm径のノーマルタイプもしくはインテグレーテッドタイプ。BBシェルの規格についてはPF30が標準となる。そして、フレームサイズはレディメイドで48~62まで15種類という豊富さだ。 だが、もっとも特筆すべき点は、フルカスタムで自分だけの一台を作れることだ。創業者のB・パーリーがZ1をラグ工法で設計したのは、フルカスタムのカーボンフレームを実現するためだった。オーダー方法は体の各部を計測、体の柔軟性、用途や好みのハンドリング、剛性レベル、現在乗るバイクの各部のサイズなど15項目以上のアンケートに回答する。ジオメトリーは各部の寸法を長さ1mm、角度0.1度単位で調整可能。フレーム剛性はUD(標準)、SL(UDの軽量版)、XL(UDよりも40%高剛性)、CL(乗り心地を重視)という4種類のチューブの組合せにより、ライダーに最適なレベルを実現する。 今回の試乗は、テスターの仕様でフルカスタムしたモデルで行なったが、レース使用を前提とした仕様だけにフレーム剛性はかなり高めに設計されている。しかしながら、各部の剛性バランスが優れるためにペダリングにクセはなく、軽いギヤを回せばスッと軽く進み、重いギヤを踏めば力強くバイクが前に出る。反応性のよさは、まさにレース向きだ。パーリーが考えるレース用というのは、パフォーマンスの高いライダーを想定しているのだろう。とはいえフルカスタムのZ1なら、自分の脚力に合わせて剛性をアレンジできるので、剛性面での心配はない。一般的なホビーライダーなら、剛性を多少抑えてオーダーしてみてもいいだろう。 ハンドリングは反応性を重視して軽めの設計だが、重心位置も的確なので、高い運動性能を得ながらも安心感に優れる走りができる。剛性バランスのよさを含めて全体的に扱いやすく、スムーズで軽く乗れるというのがZ1の印象だ。おそらくこの全体的なバランスのよさはZ1の特徴であり、レディメイドでも得られる感覚だろう。とはいえZ1に乗るならフルカスタムを選びたい。フレームセットで約80万円の価格は破格だが、ジオメトリーから剛性、カラーリングに至るまで自分だけの一台を作れるカーボンフレームはこの世にわずかしかなく、付加価値はきわめて高い。レディメイドのカーボンバイクに飽きてしまった自転車道楽を追求するサイクリストには、至高の存在となるに違いない。

パーリー ゼットワン

フレーム価格 78万7500円~ ■フレーム:パーリーUD、パーリーSL、パーリーXL、パーリーCL ■コンポーネント:カンパニョーロ・スーパーレコード ■ホイール:マヴィック・キシリウムSLR ■タイヤ:マヴィック・イクシオンプロ パワーリンク&同グリップリンク ■ハンドルバー:3T・ロートゥンドゥLTD ■ステム:3T・アークスチーム ■サドル:フィジーク・アリオネカーボン ブレーデッド ■シートポスト:3T・ドーリッコチーム ■試乗車実測重量:6.72kg(ペダルなし) ■サイズ:フルカスタム・ジオメトリー ■カラー:ヌード仕上げ(UVプロテクション加工済み)
■写真下・左:リヤエンドは6/4チタンの削りだし。CNCを駆使して徹底的に小型化され、美しいフォルムを実現している。 ■写真下・右:ラグ部分は万が一のアクシデントでも破断の危険性を低減できるクロスタイプのMDカーボンを使用。
■フロントフォークは、重量約300gのエンヴィ・ロードフォーク1.0を装備。軽快なハンドリングを演出する。

問い合わせ先

RGTエンタープライズ
052-871-7155
http://www.parleecycles.com/