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世界最小ベロドロームが東京に初上陸! Red Bull MINI DROME 2012

全長25メートルの世界最小ベロドロームを舞台に繰り広げられた固定ギアバイクの異種ジャンルバトル!

世界最小ベロドロームが東京・竹芝に出現!


『翼を授ける』でおなじみのエナジードリンク、レッドブルが主催するRed Bull MINI DROME (レッドブル・ミニドローム)が、11月23日に東京の竹芝ニューピアホールで開催された。世界標準である250メートルのトラックを、レースが可能な最小限にまで縮小させてできあがったのが、全長25メートルトラックのミニドローム。横長の小さなすり鉢のようなトラックは、幅が最小1.8メートルで、両サイドの高さは約2メートル、最大傾斜角度は42度! 昨年静岡県伊豆市に誕生した伊豆ベロドロームの250メートルトラック(最大傾斜角度45度)をミニチュアにしたような競技場が竹芝ニューピアホールに出現した。日本初上陸のミニドロームを制するチャンピオンはオレだ! と、名乗りを上げたさまざまなジャンルのライダーたちが、この舞台で固定ギアバイクレースに挑戦した。
『SMALLER. FASTER. HARDER.(より小さく、より速く、より過酷に)』をコンセプトにしたレッドブル・ミニドロームは、海外ではすでに英国、フランス、ベルギー、米国、カナダ、メキシコ、コロンビアなどで開催されている人気イベントで、今回が日本初上陸。使用できるのはタイヤが26インチ/700C以上の固定ギアバイクのみで、一般公募でエントリーした99人の挑戦者は、ロード、MTB、BMX、シクロクロス、競輪、ピスト、メッセンジャーと、さまざまなジャンルから集まっていた。この99人に、米国から招待されたレッドブル・アスリートのオースティン・ホースを加えた100人で予選が行われた。 100人のチャレンジャーを32人に絞り込む予選は、ミニドロームを10周する個人タイムトライアルで競われた。米国大会に参加した経験があるゲストライダーのホース以外は、とにかく全長25メートルのトラックを走るのは初めて。絶対的なバランス感覚と同時にスピードも要求されるが、調子に乗って速度を上げるとコースアウトの落とし穴が待ち受けている。しかし、真剣に走る挑戦者には申し訳ないが、会場が最高に盛り上がるのは派手な落車シーンだ。予選が進行するにつれて観ている側も目が肥えてきて、危なっかしい走りの挑戦者は6周する試走の段階でわかってしまうので、ついついコースアウトを期待してしまったり…。朝10時にスタートした予選のタイムトライアルは5時間以上の長丁場で行われたが、個性的な挑戦者たちのアグレッシブな走りがつづき、ハラハラドキドキの連続であっという間に終わってしまった。






■とにかく盛り上がるのは転倒シーン。バランス感覚に長けたBMXライダーでも、ほとんどぶっつけ本番のミニドロームには苦戦し、有名選手が予選であっけなく脱落していった




■今回使用されたミニドロームは、オリジナルの設計図を元に日本国内で制作されたもの。海外ではこの骨組みがむき出しのままで使われていたが、日本では黒幕がかけられ、まるで宙に浮いているような演出がほどこされていた





■レッドブル・ミニドロームは観戦無料。しかもエナジードリンクのレッドブルが飲み放題!会場内ではこんな可愛いコが冷え冷えのレッドブルを配ってくれていた

ミニドロームには個性的なチャレンジャーが勢揃い!


レッドブル・ミニドロームに挑戦したライダーたちは、とにかくバラエティに富んでいた。自転車乗りであるということ以外は、まったく共通点がなさそうな異種ジャンルの挑戦者たちが、ミニドロームという1つの舞台で闘うのは非常にめずらしいことだろう。その闘いをさらに特徴づけていたのは、エントリー時に登録されたニックネームだ。進行役をつとめていたMCは参加者をニックネームで連呼し、会場をさらに盛り上げていた。さらにビートの効いた音楽がレースに合わせて流され、レッドブル・ミニドロームはライブハウスのような空間と化していた。 その中を予選をトップタイムで通過したのは、ただ一人39秒台を出したBMXレーサーのスースーこと佐伯進(CREDIT Racing)。慣れないトラックでとにかく転ばないことを心がけて走った選手が最速での1位通過だった。2位で通過したのはトリックピストの人気ライダー、MARCOだった。







■数少ない女性チャレンジャーが登場すると会場内は盛り上がる!







■元競輪選手という参加者。本職のはずなのにこの舞台ではちょっと浮いていたり…








■中にはこんな個性的な方もいたりして…

ゲストライダーのホースがまさかの予選落ち!


ゲストライダーとして米国から招待されていたオースティン・ホース(レッドブル・アスリート)は、ニューヨーク在住のメッセンジャー。北米メッセンジャー選手権で2006年と2008年に優勝し、今年8月にシカゴで開催されたメッセンジャー世界選手権でも4位になった実力者は、1週間前に野辺山シクロクロスのカテゴリー2をシングルスピード車で制していた。米国で行われたレッドブル・ミニドロームの参加経験もあった招待選手のホースは、シードで決勝トーナメントから参加してもおかしくなかったが、99人のチャレンジャーと同じように予選のタイムトライアルから走った。しかし、これが大番狂わせの原因になってしまった。 5組に分けられた行われた予選で、3組目の最後に登場したホースは予想通りの俊足っぷりを見せつけ、3周目に3.576秒という最速ラップタイムを叩き出した。ところがその直後にコーナーで転倒。何を考えたのかシクロクロスのように自転車を担いでコースを回る一幕もあった。結局ホースは最低でも40秒台が要求されていた予選で53.276秒になり、あっけなく予選敗退となってしまった。レッドブル・ミニドロームを制するには、テクニックだけでなく運も必要なことがよくわかった瞬間だった。メッセンジャーチャンピオンのホースの走りに期待して来場していたファンにはがっかりの番狂わせだったが、絶対的な優勝候補がいなくなり、レースは一段と面白くなったのだ!

熱戦を制したのはBMXライダーのスースー!


レッドブル・ミニドロームは観戦無料ということもあって、決勝トーナメントが始まった夕方5時には、500席用意された観覧席からあふれるほどの観客が駆けつけ、誰もが目前で繰り広げられる熱戦を楽しんでいた。予選タイムトライアルで勝ち残った32人で競われた決勝は、1対1の個人パーシュートで競われた。予選では転倒してもレース復帰が認められたが、決勝ではその時点で失格となる。たった25メートルのトラックで、追いつ追われつのレースはプレッシャーとの闘いになり、10周を完了するレースよりも、途中でどちらかが転倒して終わる場面が多かった。 厳しい闘いを勝ち抜き、セミファイナルに残った4人は、奇しくもBMXレーサーとピストのライダーが2人ずつ。そしてセミファイナルは、それぞれのジャンルでのトップを決める闘いになった。予選1位通過だったBMXレーサーのスースーは後輩のコーヘイを下し、予選2位通過のMARCOは、DUNCANとの闘いを制した。結局予選で1位と2位の挑戦者が、決勝へと駒を進める結果となったのだ。そして迎えた決勝戦。BMX対ピストの闘いでまず先行したのはMARCOだったが、その直後に転倒。勝負はあっけなく決着し、BMXレーサーのスースーが東京大会の初代王者に輝いた。日本で初めて開催されたレッドブル・ミニドロームは、セミファイナルの2戦、コーヘイが勝った3位決定戦、そして決勝戦のすべてが、相手の転倒で終了するという結果で終わっている。 異種ジャンルによる熱いバトルが繰り広げられたレッドブル・ミニドローム。すでに次はお隣韓国での開催が決定しているが、日本でも是非つづけてほしいエキサイティングなイベントたった。