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NJS認定工房が放つフルカーボンフレーム。MAKINO MK01

エム、マキノサイクルファクトリーは千葉県我孫子市にある工房。かの有名な「3Rensho」を生み出したプロショップ「シクロウネ」に23年務めたのち独立した牧野政彦氏が率いている。400人以上の競輪選手を顧客に持つことからもわかるとおり、走る人のためにフレームを生み出すという一貫したコンセプトを持っている。

text::中島丈博、photo:山内潤也

坂西 裕 氏が企画、設計を担当した「MK01」

そんなエム、マキノカーボンファクトリーからフルカーボンフレームが発売されたといったら気にならないわけがない。企画、設計を担当したのは工房スタッフの1人である坂西裕氏。一般ユーザーの採寸などオーダーの窓口を担当、自転車歴25年のベテランである。ロード、トラックレースの経験を持つほか、ブルベなどロングライドへも積極的に参加している。「構造体として、力のかかるところができるだけ直線で結ばれるように気をつけています。それによって、狙ったとおりの乗り味を実現できるからです」と坂西氏は語る。また「しっかりフレーム剛性を出すことで乗り心地を上げています。パイプ同士の接合部剛性を上げ、中間部分の剛性を抑えています」とも。相反する要素だと思われるかもしれないが、これによってフレームが受ける振動の収束を早めることができる。快適性を狙いすぎて、フレームがたわみすぎると振動の収束が悪く、かえって体への負担が増えてしまうのだ。またフレームの「芯」がしっかり出ていることも重視している。

 

サイズは3サイズを展開するが、下にあるジオメトリ表を見てもわかるとおり各部の数値がサイズごとに変えてある。サイズが違っても同じ走行性能を出すための設計だ。もちろん、カーボンのレイヤリングもサイズごとに変えてある。名工房だからこそのこだわりがうかがえる。

マキノ・MK01

フレームセット価格 29万4000円~

 

フレーム:カーボン

フォーク:カーボン

コンポーネント:シマノ・デュラエース9000

ホイール:カンパニョーロ・シャマルウルトラ 2ウェイフィット

タイヤ:ハッチンソン・アトム 700×23C

ハンドルバー:3T・エルゴズムプロ

ステム:ケーシーエヌシー・フライライド

サドル:サンマルコ・コンコール ダイナミックプロテック

シートポスト:3T・ドリコチーム

試乗車実測重量:6.6kg(Mサイズ、ペダルなし)

サイズ:S、M、L

カラー:オーダー可能

■写真下・左:フロントフォークは、ゆるく外側に膨らんだ形状を持つ。サイズごとにフォークオフセットがすべて違う。どのサイズでも最適なハンドリングを提供するためのこだわりだ。

 

■写真下・中:ヘッドチューブは、下ワンのベアリング径に1.5インチを採用。フォークオフセット同様、ヘッドアングルも各サイズごとに変更してある。ビルダーだからこそのこだわりだ。

 

■写真下・右:非常に細かいシートステーは、エンドからチェーンステーまで含めて一体成型される。これは設計どおりの剛性を出すために、なるべく継ぎ目を減らしたいというこだわりだ。

■写真下・左:ダウンチューブの裏側にはネジ穴が4つある。1対はシマノDi2やカンパニョーロEPSのような電動コンポーネント用バッテリー取り付け台座で、もう1対はボトルケージ台座だ。

 

■写真下・右:BBにはあえてスレッドタイプを採用している。プレスフィットタイプではハウジングが広がってしまい、どうしても精度に狂いが出てきてしまう。それがパワーロスにつながるからだ。

■極太のダウンチューブは、ねじれ剛性を高くするために必要なもの。これにより、つねにフロントとリヤのホイールが一直線上になり、高い走行性能を発揮することができる。

CYCLE SPORTS.jp編集長・ナカジの試乗インプレッション

走り慣れたコースに、どうも違和感があった。いつもの下りが怖いのだ。もちろんブレーキが利かないということはない。バイクが不安定ということもない。自分が下手になったのか?と自己嫌悪に陥りかけていたときに、はたと気付いた。「このバイク速い!」惰性で下っているときの加速がいいのだ。数十mの直線のあとにくるコーナーでもそれを実感。いつもより速い速度でコーナーに進入することになり、体が覚えているブレーキングポイントでは間に合わなかったのだ。

 

かつてオーダーフレームが当たり前だった時代には、フレームの芯が出ている(=前後ホイールがぴったり一直線上に並んでいる)ことが重要視されていた。それがビルダーの腕にかかっていたからだ。だが、吊しのフレームが一般的になった現在では語られることが少なくなったし、恥ずかしながら自分にも「芯は出ているものだろう!」という認識があった。だがMK01に乗ってみて「これが芯が出ているってことか!」と教えられた。「フレームを作ってくれた台湾の工場も、NJSトップクラスのビルダーと仕事ができるということで、かなり慎重に生産にあたってくれた」とは坂西氏の言葉。

 

剛性が高く作ってあるということだったが、乗った感じではよくあるガチガチバリバリの高剛性バイクとは異なる。振動収束の早さゆえなのだろう。荒れた路面でもバイクが跳ねる感じもなく、むしろ路面追従性は高い。ロングライドでもレースでもいけるとのことだが、個人的にはぜひレースで使ってみたい一台だ。

 

問い合わせ先

エム、マキノサイクルファクトリー
04-7181-8681
http://www.makino-cf.com/