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バッソが4度目の挑戦で優勝 ジャパンカップ2012

秋晴れに恵まれた第21回ジャパンカップサイクルロードレースは、イタリアのバッソがマーティンとのゴール勝負を制して初優勝を手中に収めた

バッソ対マーティン! 白熱のゴールスプリント

ジロ・デ・イタリアで2006年に総合優勝したイバン・バッソが、2008年の秋に“新たな出発の地”として選んだのは、故郷イタリアから遠く離れた日本のジャパンカップだった。リクイガスのジャージを着て初めて走ったレースで、バッソは3位になって表彰台に上がり、日本の大勢のファンに復活を祝福された。彼にとってジャパンカップは、他の誰よりも思い入れの強いレースだった。その後、バッソはトップシーンへと復帰し、2010年にはふたたびジロで栄光をつかんだ。しかし今年は、望んでいたものを得られず、無勝でこの日を迎えていた。初来日してスポットライトを浴びたペーター・サガンの影で、バッソは勝利に飢えていたのだ。 秋晴れに恵まれたレースは、今年も最初の1周目から日本勢のアタックが決まった。メンバーはチームNIPPOの中根英登、内間康平、小森亮平の3人、地元宇都宮ブリッツェンの初山翔、シマノレーシングの阿部崇之、チームブリヂストン・アンカーの井上和郎、日本ナショナルチームの福島晋一と六峰亘。8人はUCIプロチーム勢がコントロールする集団に最大で3分差を付けて逃げ続けた。途中、山岳賞は3周目と6周目をチームNIPPOの中根が獲得し、9周目はこの8人から逃げ続けたチームブリヂストン・アンカー井上とチームNIPPO内間の闘いになり、井上が獲得した。 メイン集団は9周目が始まった段階で逃げる2人とのタイム差が1分34秒あったが、古賀志林道で加速し、フリアンダビド・アレドンド(チームNIPPO)、ダミアーノ・カルーゾ(リクイガス・キャノンデール)、ブライアン・バンボワ(スパイターテック・パワードバイC10)、クリスティアン・マイアー(オリカ・グリーンエッジ)、ヤロスラフ・マリチュ(チームサクソバンク・ティンコフバンク)らが先行。古賀志林道の山頂をトップで通過した井上と内間を下りで捕まえた。メイン集団からはサイモン・クラーク(オリカ・グリーンエッジ)、平塚吉光(シマノレーシング)もアタックして先頭グループを追走した。
そこから最初に仕掛けたのは、今年のツアー・オブ・ジャパンで山岳賞を獲得したコロンビアのアレドンドだった。彼はバンボワ、マリチュ、マイアー、クリストフ・ルメベル(ガーミン・シャープ)、平塚、カルーゾ、クラークの7人に20秒差を付け、単独でフィニッシュ地点を通過し、残り2周目に入った。メイン集団は宮澤崇史(チームサクソバンク・ティンコフバンク)が先頭を引き、1分差でフィニッシュ地点を通過。リクイガス・キャノンデールのペーテル・サガンとイバン・バッソ、ダニエル・マーティン(ガーミン・シャープ)、ラファウ・マイカ(チームサクソバンク・ティンコフバンク)が前方に顔を揃えていた。アレドンドはリードを守って古賀志林道の山頂を通過したが、下りでクラーク、マイアー、カルーゾ、バンボワ、平塚、マイカ、ルメベルに追いつかれてしまった。しかしメイン集団はペーテル・サガンがバッソを引き、逃げ集団を最終周回へと突入する前にとらえた。そして大観衆が見守るなか、フィニッシュ地点を先頭で通過して最終周回のはバッソ、マイカ、アレドンド、マーティン、マイアーの5人だった。古賀志林道の最後の上り坂で、2度目の優勝を狙うマーティンがアタックして先頭に立ったが、マイカ、バッソ、アレドンドは彼の独走を許さなかった。最後はこの4人でのゴールスプリントになり、先行したマーティンをバッソが右後方からさして初優勝を飾った。それは2008年以来、4度目の挑戦でついに手にした勝利だった。 「このレースは素晴らしい観客に恵まれた大好きなコースだし、ヨーロッパの選手にとってシーズンの最後をこういう形で終われるのはとてもうれしいよ。これはただの勝利ではなかった。リクイガスとして走る最後のレースだったから、とてもモチベーションがあったんだ。2008年にリクイガスで初めて走ったのがこのレースだったし、リクイガスでの最後のレースにもなったから特別な勝利だったんだ」と、バッソは初優勝の喜びを語った。来季チームはリクイガスがスポンサーを降り、キャノンデールプロサイクリングになることがすでに決まっている。

第21回ジャパンカップサイクルロードレース結果

1 イバン・バッソ(リクイガス・キャノンデール/イタリア)4時間01分58秒 2 ダニエル・マーティン(ガーミン・シャープ/アイルランド) 3 ラファウ・マイカ(チームサクソバンク・ティンコフバンク/ポーランド) 4 フリアンダビド・アレドンド(チームNIPPO/コロンビア) 5 クリスティアン・マイアー(オリカ・グリーンエッジ/カナダ)+46秒 6 清水都貴(チームブリヂストン・アンカー/日本)+59秒 7 サイモン・クラーク(オリカ・グリーンエッジ/オーストラリア)+59秒 8 クリストフ・ルメベル(ガーミン・シャープ/フランス)+1分38秒 9 畑中勇介(シマノレーシング/日本)+1分39秒 10 ネイザン・ハース(ガーミン・シャープ/オーストラリア)+1分39秒







■山岳賞を獲得した中根英登(チームNIPPO)と井上和郎(チームブリヂストン・アンカー)








■6位でアジア最優秀選手賞を受賞した清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)







■25位でU23最優秀選手賞を獲得した20歳のメキシコ人、ルイスエンリケ・レムス(ジェリーベリーサイクリング)

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