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ライター吉本司が“自腹”で買ったアイテムをチェック! 吉本司のジバラン!

サイクルスポーツ本誌をはじめ、自転車関連の記事を執筆するライター吉本司。ロードバイク歴26年の男が“自腹”で手に入れたアイテムについて、思うままに語る新連載がこの「ジバラン!」。まず最初のお題は、今年の相棒「ウィリエール・チェントウノSR」だ。
text&photo●吉本 司

“キャニラー”卒業?

一昨年はキャニオン・エアロードを購入し、ここ数年でキャニオンを4台手にしている自称“キャニラー”の吉本です。そんな僕が今年の相棒に選んだのは、ウィリエールのニューモデル、チェントウノSR(以下SR)。なにせキャニオンのイメージが強いせいか、自転車仲間には「吉本らしくないねぇ」なんて言われたものの、個人的にはいい買い物をした“つもり”だ(まだ自分のバイクに乗っていないので……)。

“手堅い”という個性

SRは新型トレック・マドンのようなざん新さもなければ、キャノンデール・スーパーシックスエボみたいに羽のような軽さもない。では何がいいのかというと、そのコンセプト、仕様、ルックス、価格のバランスを手堅くまとめていると想像されるからだ(本誌で試乗をする前にオーダーしたので、見た目とスペックで判断した)。 フレーム単体重量は995gで、従来のチェントウノよりも剛性が40%向上していることもあってか、最新のハイエンドモデルのなかでは御世辞にも超軽量とはいえない。重量を重視するかは人それぞれだが、僕はよほどの数値でない限り重さにほぼ関心がない。軽量なバイクは平地や下りで流れる(惰性が効く)ような感覚が少ないし、スケルトンにも左右されるとはいえ、とくに下りをはじめバイクの安定性という面でも劣る印象もある。なので、SRの重量は僕にとってネガティブな面は全くない。

完成度の高い各部の作り込み

で、フレームの作り込みを見ると、次世代スタンダードのBB386対応のBB規格や上下異径ヘッド、扁平トップチューブと細身のシートステーなど、優れた重量比剛性と快適性を両立するための構造は、しっかりとトレンドが抑えられている。そして縦方向のチューブはカムテール形状が採用され、“なんとなく”空力への配慮も行なわれている。 細部の作りも完成されている。ケーブルストッパー兼用のディレーラーハンガー、ダウンチューブに装備された電動&機械式兼用のワイヤリードは、機械式用にマイクロアジャスターをしっかり装備するなど、使い勝手を高めつつフレームのシルエットを壊さない美しさが追求されている。こうした機能美を持つ合理的な作りは、イタ車というよりはドイツ車などに見られるような芸の細かさと完成度の高さと言える。
とまあSRをいろいろな面から見てみると、ハイエンドモデルとして比較的手ごろな40万円ほどの価格に、重量比剛性の高さと快適性、エアロダイナミクス、統合設計といった最新ロードバイクのトレンド要素が過不足なく詰め込まれている。そのパッケージのよさは同価格で考えると1、2を争うものだろう。そんなまとまりのよさに惹かれて、僕はチェントウノSRを購入することとなった。果たして走行性能を含めて、チェントウノSRという買い物は手堅かったのか? 今後の連載で明らかにして行こう。
(左写真) ワイヤリードとディレーラーブラケットを一体化したスマートなリヤエンド。ディレーラーハンガーは機械式と電動式でワイヤリード部の形状が異なり、2種類が付属される (右写真) ウィリエールとFSAの共同開発によって誕生したBB386規格に対応するハンガーシェル。チェーンステーは角型のシェイプとして、左右で異なる形状を採用している
(左写真) シフトワイヤは内蔵式。ダウンチューブにある取り外し式のワイヤリードはメンテナンス性にも優れ、マイクロアジャスター装備でスマートにして使い勝手も良さそうな印象だ (右写真) BB下には樹脂製のワイヤリードが装備される。取り外し式でワイヤの組み付けも行ないやすそうだ。電動コンポーネント用のバッテリーはダウンチューブ裏側にボルトオンされる
(左写真) 流行りのカムテールシェイプに成型されたシートチューブ。シートステーは横方向への扁平加工を強めた形状で、快適性に配慮している。こちらも現在のトレンドとなる手法だ (中央写真) 現代ロードバイクの定番的手法である上下異径ベアリングを採用したヘッドまわり。下側のベアリングは、重量増を防ぎつつ必要な剛性をバランスするために1-1/4インチを採用 (右写真) チェントウノSRのカムテール形状のシートチューブに合わせてリッチーが製作したインテグラルシートポスト用のヘッド部。やぐらとボルト以外はカーボン素材なので軽量だ