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ASUCA HYDRUS 北海道発のロードバイクブランド

2012年のサイクルモードに見慣れないブランドのブースが出展されていた。その名は「アスカ」。北海道の農機商社であるエゾックスが立ち上げた新しい自転車ブランドだ。今から52年前に鍛冶屋として創業、現在は斜里町に本社を構え、ヨーロッパをはじめアジアや南米に農機の販売を行なっている。現社長・毛利剛氏が自転車の魅力に惹かれて「アスカ」が誕生した。
text::中島丈博、photo:山内潤也

イタリアのITMがフレームを製作

自身もホビーサイクリストであった毛利氏。夏になれば多くのサイクリストが会社の目の前を通る国道334号線を知床へ向かって走っていく。そんな北海道発のロードバイクを作りたい、そして日本の技術を取り入れ、世界でも通用するバイクを作りたいという思いを抱いたのだ。 フレームの製作は、かつてロードバイクブランドとしてM・パンターニノグランツール制覇を支えたイタリアのITM。グラフィックデザインは石川県金沢近郊に工房をもつ成田加津利氏が担当。成田氏はケイリン選手として活躍後、国内プロチームのメカニック、ジャージデザインやカスタムペイントを手がける人物だ。 フラッグシップモデルであるハイドラスは、EPSという技術を使って作られたカーボンモノコックフレーム。EPSとはカーボン素材の厚みが均等でなくても、樹脂と繊維を均等に配置し、ストレス点を分散させ続けるITM独自の技術。これにより、軽さと剛性、耐久性を兼ね備えたフレームに仕上がっている。そのジオメトリーも、レースで闘うことを想定したものが採用されている。デザイン、塗装も手が込んでいる。フレーム一本一本が成田氏の工房で塗装され、色が切り替わるところなどを見れば、そのていねいな仕上がりを感じることができるだろう。今までにない成り立ち、コンセプトを有するアスカに注目だ。

アスカ・ハイドラス

フレームセット価格 17万8500円 ※2013年4月以降のフレームセット価格 24万1500円 シマノ・アルテグラDi 2完成車価格 49万7700円 フレーム:カーボン フォーク:カーボン コンポーネント:シマノ・アルテグラ Di 2 ホイール:ITM エアロ3.0 タイヤ:ヴィットリア・オープンコルサエボCX 622×23C ハンドルバー:ITM・パトム2 ステム:ITM・A-ドラコ サドル:サンマルコ・コンコールレーシングチーム シートポスト:ITM・ユニコ 試乗車実測重量:7.59kg(Mサイズ、ペダルなし) サイズ:S、M、L、XL、XXL-01、XXL-02 カラー:オホーツクブルー×クリアブルー×ソリッドホワイト、ゴールド×アップルレッド×ボルドー
■写真下・左:ベンドしたフォークは前後のボリュームは少なめ。フォークの塗り分けに沿って、リブが設けられており、横方向の剛性を確保している。 ■写真下・中:アスカのロゴの象徴となる七稜星があしらわれるヘッドチューブ。下ワンのベアリング径を1.5インチとし、剛性を確保している。上下とも1-1/8インチを選択することもできる。 ■写真下・右:シートステーはモノタイプを採用。幅も厚みもかなりのボリュームがある。シートチューブとの集合部分もまた非常に大きなボリュームだ。かっちりとした乗り味を演出している。
写真下・左:ダウンチューブ裏には電動コンポーネントのバッテリー取り付け台座がある。フレームに開いたケーブル引き込み口も大きいので作業性はいいだろう。シマノ、カンパニョーロ両方に対応する。 社員下・右:BBはオーソドックスなスレッドタイプを採用しているが、シートチューブ集合部分同様、BBもまた非常に大きなボリュームだ。ダウンチューブからチェーンステーへの流れは力強い。
■チームニッポのジャージデザインなどを手がけるカツリーズデザインによって仕上げられたグラフィックデザインと塗装は、他社にはない仕上がり。濃紺に見える部分はカーボン地が薄く透けて見える塗装となっている。

CYCLE SPORTS.jp編集長・ナカジの試乗インプレッション

鮮やかな水色と、わずかに地のカーボンが透ける濃紺に塗り分けられたフレーム。そのポップな見た目は、ともすれば男性よりも女性向けモデルかのようなデザイン。それはまるで、がつがつ走らない、気軽なサイクリングへ誘っているかのような雰囲気を漂わせている。 だが、いざまたがって走り出してみると、そんな印象は吹き飛ばされる。ダウンチューブからBBまわりは、見た目のボリュームどおりペダルに込めた力をしっかりと受け止めてくれる。チューブは極薄軽量というより、しっかりとした厚みのある、硬いというよりはどっしりしている印象だ。 最近のフレームにはダウンチューブ側をがっちりと作って、トップチューブ側をしなやかにしているモデルがいくつも見られるが、ハイドラスはトップ側もがっしりと作ってある。とくに太めのシートステー上部から、シートチューブの集合部分にかけては強烈で、前後からの力を受け止めてぶらさない。また、バックからの反応はシビアだ。その分、踏んだときの反応もしっかりしている。 フォークは横方向にしっかりとしているので、バイクを倒したときも不安定な感じはしない。ベントしているブレードのおかげで、ハンドリングはクイックすぎなくていい。ストレートだとちょっと忙しいバイクになってしまうと思う。セットするホイールをより硬いものに交換すれば、このフレームのスパルタンなキャラクターをより強く味わうことができるだろう。 **************************************

問い合わせ先

エゾックス(アスカ)
0152-23-2255
http://www.asuca.me/