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モゼールがイタリアに初勝利をもたらした! ストラーデ・ビアンケ2013

トスカーナ地方の未舗装路、ストラーデ・ビアンケ(イタリア語で白い道)を舞台に競われたワンデーレースで22歳のモゼールがイタリアに初勝利をもたらした
Photo: Graham Watson / LaPresse(RCS Sport)

地元イタリアが歓喜の初勝利!


シエナのモンテパスキ銀行を冠スポンサーにして、“モンテパスキ・エロイカ” という名称で2007年にスタートしたストラーデ・ビアンケ(ヨーロッパツアー1.1)は、昨年まで地元イタリア勢の優勝者がいなかった。今年も132人の選手たちがガイオーレ・イン・キアンティから白い道(ストラーデ・ビアンケ)と呼ばれるトスカーナ地方の未舗装路の冒険へと旅立って行った時、優勝候補の筆頭は3度目の優勝を狙うスイスのファビアン・カンチェッラーラ(レディオシャック・レオパード)で、その有力なライバルと考えられていたのはスロバキアのペーテル・サガン(キャノンデール)だった。しかし、ゴールがあるカンポ広場へと向かう迷宮のようなシエナ市街地の坂を単独で駆け上がってきたのは、プロ3年目で22歳のモレノ・モゼール(キャノンデール)だった。カンポ広場を埋め尽くした地元ファンの熱狂的な声援に包まれて、“フランチェスコ・モゼールの甥っ子”はストラーデ・ビアンケで初めて優勝したイタリア人になった。

第7回大会で序盤から逃げ出したのは、ジャイロ・エルメティ(アンドロニジョカットリ)、アレクセイス・サラモンティンス(IAMサイクリング)、マクシム・ベルコフ(カチューシャ)、ミヒャエル・シャール(BMCレーシング)の4人だった。彼らは最大で10分近いタイム差をつけて逃げ続け、残り50kmでもその差はまだ4分あった。ここで集団からは、まずフアンアントニオ・フレチャ(バカンソレイユ・DCM)がアタックし、しばらく単独で前の4人を追いかけたが、その差は思うように縮められなかった。 決定的な動きが生まれたのはゴールまで残り17.4kmだった。精鋭グループに絞りこまれた集団からモゼールがアタックし、フレチャに追いついて2人で追走を開始した。残り13kmでフレチャは脱落したが、モゼールは追走の脚を休めることはなかった。先頭の4人にも動きがあり、BMCのシャールのアタックにカチューシャのベルコフが付き従い、2人で先頭を逃げ始めた。残り6kmを切った所で、この2人にIAMのサラモンティンスと合流したモゼールが追いついた。残り5kmでモゼール、サラモンティンス、シャール、ベルコフの4人は後続に20秒差でゴールを目指していた。

後方では残り8kmでカンチェッラーラがアタックを試みたが、サガン、フランチェスコ・レダ(アンドロニジョカットリ)、リナルド・ノチェンティーニ(AG2R・ラモンディアル)に追いつかれ、単独で抜け出すことはできなかった。先頭は4人で残り1kmのフラム・ルージュを通過。ゴールがあるシエナの有名なカンポ広場までの道程は、市街地の細い坂道を駆け上がっていくコースで、ここをトップで上り始めたのはモゼールだった。先頭グループには彼の勝利を脅かす存在はなく、背後に迫った追走集団を尻目に、モゼールは歓喜につつまれてカンポ広場のゴールへと飛び込んだ。その7秒後に、ライバルたちを置き去りにしてゴールへと現れたのは、モゼールのチームメートであるサガンだった。3位にはスプリントでノチェンティーニが入った。

■優勝したモゼールのコメント「ボクのアタックは本能的なものだった。こういうレースでは戦術のための時間も余地もないものだ。ペースが一瞬落ちたのに気がついてアタックした。サガンはみんなからマークされていたから、ボクはそれを利用したのさ。残り1kmでは、負ける危険を犯さなければならなかった。誰もボクを助けてはくれなかったが、彼らは正しかったと思う。後ろに追走グループが追いついてきたのが見えた時、心配したけどパニックには陥らなかった。もし追いつかれても、ボクの後ろにいたサガンは確実にこのレースで勝つだろうと思っていたからボクは冷静でいられたのだと言わなければならないね。それが今日のチームだった。このレースはボクに向いているといつも思っていた。アマチュア時代にも、レースが個人戦になるとボクはいつもよく走れた。そういう意味では、叔父のフランチェスコに似ていると思うよ。ボクはベルギーのクラシック後半戦に焦点を絞っている。ティレーノ~アドリアーティコとミラノ~サンレモを走って、そのあとでフレッシュ・ワロンヌとリエージュ~バストーニュ~リエージュのことを考えるつもりだ」

第7回ストラーデ・ビアンケ結果

1 モレノ・モゼール(キャノンデール/イタリア)5時間01分53秒 2 ペーテル・サガン(キャノンデール/スロバキア)+7秒 3 リナルド・ノチェンティーニ(AG2R・ラモンディアル/イタリア)+7秒 4 ファビアン・カンチェッラーラ(レディオシャック・レオパード/スイス)+7秒 5 アレクセイス・サラモンティンス(IAMサイクリング/ラトビア)+7秒 6 グレッグ・バンアーベルマート(BMCレーシング/ベルギー)+7秒 7 アレクサンドル・コロブネフ(カチューシャ/ロシア)+7秒 8 フランチェスコ・レダ(アンドロニジョカットリ/イタリア)+7秒 9 ジャンパオロ・カルーゾ(カチューシャ/イタリア)+10秒 10 マクシム・ベルコフ(カチューシャ/ロシア)+13秒