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あの男が国内ロードレースシーンに帰ってくる! 土井雪広インタビュー

2012年のロード全日本チャンピオンである土井雪広。ロード選手として絶頂期の彼が、チームアルゴスシマノから、チームUKYOに移籍。チームのエースとして国内ロードレースシーンに帰ってくる。それは、今年の大きなトピックである。ロードレース台風の目となるであろう、話題の男の心境を、2月20日に東京の代官山で行なわれたチームプレゼンテーションで聞いた。
 
text&photo●ナカジ

衝撃の通達

CS:チーム右京に入るきっかけはなんですか?どちらから声をかけたんでしょうか?

土井:お互いですねー。まあいろいろあるんですけど・・・。 いま、こうやってチーム右京に入れてもらえたことに感謝しています。ただ、本来であればまだまだ僕は(欧州で)走れた。走れるって言う自身があった。あったなかで、こういう風に日本に帰ってくることになった。その理由は、スポンサー企業の営業方針の切り替えというのがありました。

一昨年の11月、契約更新の時には、日本人選手に対してのスポンサードを打ち切るっていう話は聞いていました。でも、結果出して、死ぬほど結果出して、死ぬほど活躍すればそんな話もくつがえって、従来のサポートのなかで自分の力を高められるって思ってたんです。でも結果的にはね、大企業の……、なんていうんですかプロジェクトは全然変わらなかった。 「契約打ち切り」それを言い渡されたのが去年の9月。世界選の前の日だったんです。

 

本場で生き残ることの厳しさ

チームのディレクターも僕を残したかったと思うんです。ただチームも予算があって、選手の給料と、それに対してスポンサーからどれくらい収入を得られるのかっていうのをもちろん考える。選手自身がスポンサーを連れてこられるかっていうのも重要になってくるんです。 まあ、そういうのがあって結局移籍先が見つけられなかった。そこでもう完全にやる気がなくなっちゃったんですよ。結構、自信があったんで。 今だから言えるんですけど、ガーミンとかカチューシャとか声を掛けました。でも、時期的には遅くて。

僕らみたいなアシストの選手っていうのは、4月5月からもう来期の契約に向けて動かなきゃいけないんです。プロツアーでポイントを取っていればすんなりと行けたと思うんですけど……。グランツールとか見ていてわかるとおり、アシストばっかりやっていると結果的にこうなっちゃう。

なんでこんなことを言うのか。それは、僕が全部話しちゃえば、日本人が欧州のロードレース界で生き残るということが、どれだけ厳しいことなのかっていうことがわかるし、そういうのを少しずつ伝えていきたいと思っているからです。けっして簡単に僕らが向こうで残っていたわけじゃないんです。ユキヤとかフミとかがどれだけ苦労して闘っているのか、わかって欲しいし。

スポーツ選手がどんどん活躍すると、日本のファンは感覚が麻痺してくる。柔道見ても、金メダル獲れなかったらぼろくそ言われて、アイスホッケーの女子みたいに、オリンピック出られたらわーっと盛り上がって。 グランツールに出ているのが当たり前ではないし、ヨーロッパでもそれは同じ。わかってもらいたい。そういう文化を根付かせるためにも、日本に帰ってきて、もういちど走ろうって思ったんですよね。 (写真はナショナルチャンピオンジャージを着用した土井選手。)

 

成せばなる!

CS:宇都宮ブリッツェンの栗村監督が「土井選手が国内レースシーンに復帰してくれて嬉しい」といっていました。「世界のトップクラスで走っていた経験を持って帰ってくれた。」と

土井:(栗村監督からは)すごい口説かれました。もう2012年の世界選の時点では、自転車をやめようと思ってたんですよ。正直な話、別にやっても意味ないなと思って。大企業の戦略ひとつで選手の運命はどうにでもなってしまう。もちろんスポンサーあってのことですし、そういうのもわかります。 ただ、僕ら選手がスポンサーを背負って、一生懸命世界で活躍しているっていうことを忘れて欲しくなかった。でも結果的には契約更新にはつながらなかった。そういう対応をされたので、もう自転車界なんてつぶれてしまえと、もう自転車やめようと思ったんですけどね。普通に働いて、自転車なんかやったって意味ねえよって言ってやりたかった。 でもまあなかなかね、結果的には、やっぱり自転車好きなんで。やめられなかった。 それはケガしたときもそうだったんです。ヒザの皿を割ったときも。もう自転車には戻らないなって思ったんです。でも、戻ってきた。やっぱり、成せばなるんで!

CS:右京監督からは何か言われているんでしょうか? 土井:いやー、右京さんも心の中に秘めている気持ちあると思うんです。なかなか口に出して言う人じゃないので、それは僕が走りで答えていこうと思っています!

 

使用バイク

チームとしてはインターマックスのセルビーノカーボンを使用する。しかし、土井選手だけは剛性を優先してヴァルブレンボをチョイス。コンポーネントはシマノの9000系デュラエース。ホイールはイーストン。
ハンドルはデダエレメンティのアラネラRHMカーボンコンパクト、シートピラーは同・ゼロ100。サドルはプロロゴ・ナゴエボ。タイヤはヴィットリアを使用する。

問い合わせ先

チームUKYO
http://www.teamukyo.com/