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ペンナローラ RC-4 ロードライドの真髄を感じるイタリアンバイク

イタリアの工業都市トリノに本拠を構えるペンナローラは、カーボンフレームの製造にオートクレーブを積極的に取り入れ、規模こそ大きくはないがていねいな製品作りでマニアに支持されている。2012年は、レーシングモデルの旗艦機としてRC-8を投入したが、2013年は弟分にあたる「RC-4」を新たにラインナップしてきた。
text:吉本 司 photo:岡 拓

コンセプトは「マイルドレーシング」

照準としているのは、ロードレースからグランフォンドに挑戦するようなライダー。レースを前提にするため、基本構造はRC-8を受け継いでいる。ヘッドからチェーンステーまでのロワー部に高剛性を与えてパワーラインとし、柔軟性を備えたアッパー部でフレーム全体の剛性をバランスさせる構造が採用される。 両者を見比べるとわかるが、RC-4のほうが全体的なボリューム感は抑えられており、その分だけ剛性はマイルドになっている。もちろん上下異径ベアリングのヘッド部やBB86のオーバーサイズハンガーシェル、左右異形チェーンステーなど、フレームの要となる部分にはトレンドとなる構造をしっかりと反映させ、必要な運動性能が追求されている。 ジオメトリーについても見直しが図られており、45mmオフセットのフロントフォークを装備することでトレール値を比較的大きく確保している。スペシャライズド・ルーベなどと同じトレール値(近似値のトップチューブ長のサイズで比較)を実現しており、これにより安定感に秀でたハンドリング性能をもたらしている。 1100gの重量はミッドレンジとしては標準的な数値であり、堅牢性の面でも安心感は高いといえるだろう。電動と機械式兼用のワイヤ内蔵工作などトレンドを押さえた仕様も反映され、照準とする中級レベルのユーザーには十分なパッケージに仕上げられている。 ***************************************
■写真下・左:扁平形状が際立つストレートブレードを備えたフロントフォーク。横方向に対してもしっかりとした剛性を持ち、コーナリングやダンシングでの挙動は安定している。 ■写真下・中:下側のベアリングにワンポイントファイブ規格を採用した上下異径ヘッドチューブ。ボリューム感にあふれ、高いヘッド剛性により正確なハンドリングがもたらされる。 ■写真下・右:横方向への扁平を協調した2本タイプのシートステーが振動吸収性とねじれ剛性をバランスする。肉厚に設計されたブレーキブリッジは安定した制動力の発揮に貢献する。
■写真下・左:トップチューブはヘッドチューブに近い部分から、かなり思い切った横方向への扁平形状としている。同時にアーチシェイプを与えることで最大限の快適性が追求されている。 ■写真下・右:根元をボックス状に成型し、内側に反りながらリヤエンドに向かう左右非対称設計のチェーンステー。効率性の高いペダリングのための剛性と快適性を両立している。
■ハンガー規格は軽量化と剛性アップを採用した。内蔵されるシフトワイヤは、ハンガーシェル手前のダウンチューブ裏側から外側に出されている。

ペンナローラ RC-4

フレーム価格 24万1500円 フレーム:カーボン フォーク:カーボン コンポーネント:カンパニョーロ・コーラス ホイール:マヴィック・キシリウムSL タイヤ:マヴィック・K10 700×23C ハンドルバー:3T・エルゴノヴァ・プロ ステム:3T・アークス-プロ サドル:プロロゴ・ゼロパスジェル Ti 1.4 シートポスト:オリジナルカーボンシートポスト 試乗車実測重量:7.19kg(Mサイズ、ペダルなし) サイズ:XS、S、M、L カラー:ブラック×レッド、ブラック×ブルー

吉本 司の試乗インプレッション

RC-8の剛性レベルはかなり高く、パワー系ライダーに適していると感じたが、それに比べてRC-4の剛性感はより万人向きに調整されており、設計どおりの性能といえるだろう。出足の俊敏さなどは上位機種に及ばないが、それでもこのクラスのレースバイクとしては納得できる加速性を有している。また、ある程度の出力で踏み続けるような場面では、一般レベルのライダーはRC-4のほうが速度を維持できる時間が長いだろう。パワーラインとアッパーラインの剛性バランスが適切なので、脚への不快なストレスが抑えられているからだ。 快適性は設計を見ても明らかだが、バック側は十分な柔軟性を持っておりロングライドにも対応できる。フロント側は大径ヘッドと扁平の強いフォークの影響でやや突き上げ感もあるが、レースバイクと考えれば納得のレベル。そして、秀逸なのは抜群の安定性だ。比較的トレール値を大きく設計しているがハンドリングにもっさり感はなく、ニュートラルさを持ちつつ安定感が際立っている。乗車位置も最適で、つねにバイクの中心にいる感覚を得られる。したがって、まったくといっていいほど下りで恐怖感を覚えることがなく、思いきり攻めることができた。この下りの安定感は、荒れた路面での高速のダウンヒルを強いられることも多いヨーロッパのグランフォンドなどでは絶大な安心感を得られるだろう。加速性能や乗り心地だけでなく、ハイスピードを出したときの操作性の高さを追求しているのは、さすがロードバイクの神髄を知るイタリアンバイクならではだ。

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レクザム スポーツ事業部
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