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マーティンがサプライズ優勝! リエージュ2013

春のクラシックシーズンを締めくくるリエージュ~バストーニュ~リエージュで、アイルランドのマーティンがサプライズな初優勝を果たした

Photo: Graham Watson

ショーン・ケリー以来のクラシック勝利をアイルランドにもたらしたマーティン


春のクラシックシーズンを締めくくるリエージュ~バストーニュ~リエージュは、ここまで1勝もしていないベルギー勢にとって最後のチャンスであり、地元ワロン出身の世界チャンピオン、フィリップ・ジルベール(BMCレーシング)に大きな期待がかけられていた。しかし、リエージュ郊外のアンスにあるゴールの坂を最初に駆け上がってきたのはアルカンシエルではなく、アイルランドのダニエル・マーティン(ガーミン・シャープ)だった。彼はゴール手前残り1kmでアタックしたホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)を最後の坂で逆転し、悲願の勝利を手に入れた。アイルランド出身の選手が“ラ・ドワイヨンヌ(長老)”を制したのは、1984年と1989年に優勝したショーン・ケリー以来のことだった。

第99回大会には25チームの199選手が参加。肌寒い曇り空のリエージュから261.5kmの長旅に出発した。スタートしてたった4kmでバルト・ドクラルク(ロット・ベリソル)が集団からアタックし、バンサン・ジェローム(チームヨーロッパカー)、ジョナタン・フモーとピルミン・ラング(IAMサイクリング)、フレデック・ブーヒェレン(バカンソレイユ・DCM)、サンデル・アルメー(トップスポルトブラーンデレン)が合流して先頭集団を形成した。6人は43km地点で最大14分差を付けて逃げ続けた。しかし、1つ目の丘を越えて最南端のバストーニュから折り返し、ルクセンブルクのシュレク兄弟ファンクラブが占拠している有名なサン・ロッシュの丘(116.5km地点)を通過したときには、その差は8分45秒にまで縮まっていた。そして丘を通過した通過するたびに、逃げと集団のタイム差は削られていった。


ゴールまで残り64kmのマキザールの丘で最初にアルメーが逃げグループから脱落し、スカイが引く集団に吸収された。つづいてドクラルクがパンクで遅れてしまい、前に戻ることはできなかった。ジルベールの家族がふもとの村に住んでいるラ・ルドゥトの丘(残り38.5km地点)で、逃げグループと集団のタイム差はたった40秒しかなかった。逃げが吸収されたあと、集団では闘いの火ぶたが切って落とされた。今年、初めてリエージュ~バストーニュ~リエージュのコースに加わったコロンステルの丘(残り17km地点)で、アルベルト・コンタドール(チームサクソ・ティンコフ)がアタック。リゴベルト・ウラン(スカイ)、イゴール・アントン(エウスカルテル・エウスカディ)、ライダー・ヘシェダール(ガーミン・シャープ)、ジャンパオロ・カルーゾ(カチューシャ)、ルイ・コスタ(モビスターチーム)が合流。このグループからマーティンのチームメートで昨年のジロ・デ・イタリアの覇者であるヘシェダールがアタックして先行し、残り10kmで後続に20秒差を付けていた。

最後のサンニコラの丘で、ヘシェダールのタイム差は15秒あった。ここで後続からは、フレッシュ・ワロンヌで3位になったカルロスアルベルト・ベタンクール(AG2R・ラモンディアル)がアタック。ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)、アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)、ミケーレ・スカルポーニ(ランプレ・メリダ)、マーティンが合流し、サンニコラの丘のトップで先行していたヘシェダールを捕まえた。この精鋭グループから、ゴール手前1.2kmでアタックしたのはロドリゲスだった。しかし彼は、アムステル・ゴールド・レースを落車で途中棄権し、コンディションは万全な状態ではなかった。ロドリゲスはゴールへと向かう最後の坂でマーティンに追いつかれてしまった。そしてゴール手前250メートルでマーティンが仕掛けた時には、それに応えることはできなかった。マーティンはロドリゲスに3秒差を付け、両手を広げてゴールへと飛び込んだ。
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■優勝したマーティンのコメント「誰かが前に行くアイディアがあって、それをヘシェダールがしてくれた。だからボクは他の選手たちと一緒に後ろに留まっていたんだ。サンニコラの丘で簡単にできたことは信じられなかった。ボクは完全にコントロールしていて、すべての攻撃に反応できた。前にヘシェダールがいたからボクはパーフェクトなポジションだった。ボクたちは丘のトップで彼を捕まえたけど、彼はボクのために全力で走ってくれた。チームの素晴らしい努力のたまものだった。ショーン・ケリーが初めてカタルーニャで優勝したとき、その後でリエージュでも勝ったと教えてもらった。それはちょっとした予兆のようなもので、今週はずっとそれを考えていた。フレッシュ・ワロンヌで4位になったあとで、多分勝てるだろうと思ったよ」

第99回リエージュ~バストーニュ~リエージュ結果

1 ダニエル・マーティン(ガーミン・シャープ/アイルランド)6時間38分07秒

2 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+3秒

3 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+9秒

4 カルロスアルベルト・ベタンクール(AG2R・ラモンディアル/コロンビア)+9秒

5 ミケーレ・スカルポーニ(ランプレ・メリダ/イタリア)+9秒

6 エンリーコ・ガスパロット(アスタナ/イタリア)+18秒

7 フィリップ・ジルベール(BMCレーシング/ベルギー)+18秒

8 ライダー・ヘシェダール(ガーミン・シャープ/カナダ)+18秒

9 ルイ・コスタ(モビスター/コロンビア)+18秒

10 サイモン・ゲランズ(オリカ・グリーンエッジ/オーストラリア)+18秒