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残暑を涼しく・快適に走る4つのロードバイクテクニック〜後編

8月も終わりに近づきやや暑さも和らいできたが、まだまだロードバイクに乗るには暑い時期が続く。そこで、残暑を涼しく・快適に走るための4つのテクニックを、前編と後編の2回に分けて紹介しよう。今回は後編。日焼け対策とウェアリングについて解説する。
text:大宅宏幸(サイクルスポーツ編集部) photo:佐藤竜太

3.日焼け対策〜日光で体力が奪われるのを防ぐ

慶應義塾医学部・國見洋光医師
慶應義塾医学部・國見洋光医師
前編に引き続き、慶応義塾医学部の研究医であり、RoppongiExpress所属のレーサー、國見洋光医師にレクチャーしてもらう。

前編では、気温が高く日差しが強いときに走るときのポイントは熱中症とパフォーマンス低下を防ぐことであり、そのためには
1.クーリング
2.補給
3.日焼け対策
4.ウェアリング
の4つが大切であることを教えてもらい、1.と2.について紹介した。

では、続きの3.日焼け対策から見ていきたい。強い日差しを浴びると、どのような影響があるのだろうか?

「強い日光を直接肌に体に浴びると、熱として吸収したエネルギーによる体温の上昇、そして日光のダメージを処理するための疲労の2つの影響があります。

前者はクーリング(前編で紹介)で和らげられるとして、問題は後者の日光のダメージによる体力の消耗です。日光に含まれる紫外線を肌に浴びると、活性酸素が発生します。これを処理するのにビタミンCが使われるのですが、その処理が追いつかないと炎症を起こし、結果としてそれが疲労につながります。水分補給がうまくいっていないと、血流が低下してなおさら処理を遅らせ、疲労につながることもあります」。
 
日光を浴びることで疲労する仕組み
日光を浴びることで疲労する仕組み

では、それを防ぐ方法とは?

日焼け止めを塗る

「日焼けによる疲労を防ぐ方法は、第一に日焼け止めを塗ることです。シンプルな方法ですが、使う種類や塗り方に注意しないと、その効果が得られにくいです。次の2つに気をつけましょう」。

どんな日焼け止めを選べばいいのか?

「まず、汗でどんどん流れ落ちてしまうので、ウォータープルーフは必須です。ただ落ちにくいので、クレンジングしないと肌荒れの原因となるので、そこは注意です。

もう一つはSPFとPAの両方が高いものを選ぶことです。色素沈着の原因となる対UV-Bの強さを示すのがSPFで、しわなどの原因となるUV-Aへの強さを示すのがPAです。SPFは50+、PAは++++が最強の値です」。
 
日焼け止めはウォータープルーフで、SPFとPAの両方が高いものを選ぼう
日焼け止めはウォータープルーフで、SPFとPAの両方が高いものを選ぼう

使い方のこつ

「次に使い方についてです。よく薄く伸ばして刷り込むように塗っている人がいますが、それはNGです。長時間日光にさらされる自転車スポーツでは、この塗り方では紫外線をよく防げない可能性があります」。
 
薄く伸ばして刷り込むように日焼け止めを塗るのは効果を薄めてしまうのでNGだ
薄く伸ばして刷り込むように日焼け止めを塗るのは効果を薄めてしまうのでNGだ

「適切な塗り方は、軽くとんとんと叩いて"置いていく"ようなイメージで行うことです。肌に日焼け止めの皮膜を作ってあげることで、効果が高まります。むらができるくらいでOKです。ツール・ド・フランスに出ている選手なんて、顔が真っ白になるくらいに塗っているのを見かけますよね」。
 
日焼け止めの被膜ができるように塗るのがこつで、むらになるくらいで良い
日焼け止めの被膜ができるように塗るのがこつで、むらになるくらいで良い

「また、こまめに塗り直すのも大切です。ウォータープルーフで強力な日焼け止めとはいえ、ライド中まったく落ちないわけではありません。日焼け止めを携行し、こまめに塗り直すのがベストな方法です」。
 
日焼け止めはライド中も携行し、こまめに塗り直そう
日焼け止めはライド中も携行し、こまめに塗り直そう

自転車に向いた日焼け止め

ここで、自転車に向いた日焼け止めをいくつか紹介しよう。
 
キャットアイ・サイクリストアイ
キャットアイ・サイクリストアイ
アグレッシブデザイン・トップアスリート サンプロテクト ファイター
アグレッシブデザイン・トップアスリート サンプロテクト ファイター

キャットアイのサイクリストアイは、国内で唯一の自転車専用日焼け止めだ。強力な防御力とウォータープルーフ力で、かつせっけんで簡単に落とすことができるのが特徴。

アグレッシブデザインのトップアスリート サンプロテクト ファイターは、持久系スポーツ全般に向く日焼け止めだ。強力な防御力はさることながら、とにかく落ちにくいのが魅力だ。

また、敏感肌の人はSPFとSPAが強いと肌が荒れることがあるので、"防御力が高いけど敏感肌用"のものを選ぶのがいいと國見さん。お薦めは資生堂のドゥーエ日やけ止めだ。
資生堂・ドゥーエ日やけ止め
資生堂・ドゥーエ日やけ止め

UVカバーを使う

「もう一つの日焼けを防ぐ方法は、UVカバーを使うことです。ただ、これは着けるかどうか好みが分かれるところですね。着けると暑いとか、逆に着けた方が暑くないとか、いろいろな意見があるようです。

もちろん、確実に日焼けを防ぐ効果はありますので、着けるかどうかは好みでいいと思います。ただ、お薦めは白色のものです。黒系は熱を吸収しやすいためです。その点はメーカーによって、いろいろと工夫を凝らしているようではありますが」。
 
UVカバーは確実に日焼けを防ぐ効果があるが、着けるかどうかは好みでいい。写真はパールイズミ・コールドブラック®アームカバー
UVカバーは確実に日焼けを防ぐ効果があるが、着けるかどうかは好みでいい。写真はパールイズミ・コールドブラック®アームカバー

TOPIC 日焼け防止にアイウェアが意外と有効

「意外とアイウェアも重要です。目から紫外線が入ると脳が認識し、体内でそれに対処する働きが勝手に始まってしまし、体力を消耗することが分かっています。なので、UVカット率が100%に近いアイウェアを着用するのも大切なんです」。
 
UVカット率の高いアイウェアを着用すると、結果として体力の消耗を抑えられる
UVカット率の高いアイウェアを着用すると、結果として体力の消耗を抑えられる

4.ウェアリング 〜通気性を確保しよう

最後にウェアリングだ。割と軽視する人が多いように思わるが、どうなのだろうか。

「最近は夏用ウェアの性能進化が著しく、使っているのと使っていないのとで涼しさにかなり差が出るようです。ポイントは5つあります」。

通気性の高い素材のものを選ぶ

「最も大切なポイントです。体温は、汗が気化することによって冷やされます。ですから、汗がたまってしまう生地だと、いつまでたっても体が冷えず、体温が余計に上がってしまうのです」。
 
ウェアの通気性についてシンプルに示した図
ウェアの通気性についてシンプルに示した図

エアロワンピースは使ってみる価値大!!

「そこで、お薦めしたいのはエアロワンピースです。純競技用のイメージがありますが、実は清涼効果が高いのです。生地の重なる部分が少ないことと、薄手の生地が使われているものが多いためです。私自身も着ていて明らかに涼しさが違うと感じられます」。

オーダーウェアだけでなく、既製ウェアで販売されているものもあるので、ぜひチェックしてみてほしい。
 
実は清涼効果が高いエアロワンピース。写真はレリック・タウルス エアロスーツ
実は清涼効果が高いエアロワンピース。写真はレリック・タウルス エアロスーツ

アンダーウェアは着た方が良いとされるが好みと状況によりけりで

「アンダーウェアは着た方が良いとされていますが、トップ選手でも着ない人もいます。これはアウター側の素材に左右されるのだと思います。そもそもサイクリングジャージの通気性がものすごく高いものは、アンダーウェアを着なくてもいいと感じられるためでしょう。

ですから、予算の都合であまり通気性の高くないベーシックなジャージを着ているという人は、アンダーウェアを組み合わせることで、汗の発散を助ける効果が期待できます。また、通気性の高いジャージを着ていても、さらに下にアンダーウェアを着た方がいいと感じられる人は、着ればいいでしょう。好みで選んでください」。
 
アンダーウェアを着用することで汗の気化を助けてくれる。ただし着るかは好みでいい
アンダーウェアを着用することで汗の気化を助けてくれる。ただし着るかは好みでいい

黒系のウェアは避けるべき

「次に、ウェアの通気性と並ぶ重要なポイントで、黒系のウェアは避けた方がいいということです。黒は日光を熱として吸収しやすいという性質があるので、体温が上がる原因の一つになりやすいです。できれば白系か明るめのウェアにしましょう。ただ、各メーカー工夫を凝らしてはいるようです」。
 
黒色は日光を熱として吸収しやすい性格を持つ
黒色は日光を熱として吸収しやすい性格を持つ

冷感素材は効果あり

「最近各メーカーで取り入れられるようになってきた冷感素材ですが、これは熱伝導によって熱を外に逃がす仕組みで、冷却効果が期待できます。一度試してみる価値ありです」。
 
最近各メーカーで取り入れられるようになってきた冷感素材
最近各メーカーで取り入れられるようになってきた冷感素材

TOPIC 通気性の高いヘルメットにした方がいいのか?

ヘルメットについても、とにかく通気性の高いものにした方がいいのだろうか?
 
軽量で通気性も高いカブト・フレア
軽量で通気性も高いカブト・フレア

「もちろん頭を冷やす効果は間違いありませんが、実は頭を優先して冷やすことの効果は学術的によく分かっていないんです。前編で紹介したように、やはり大切なのは体全体を冷やすことです。最近はエアロヘルメットでも通気性が高くなっているので、気温の高いときでもこれで問題ないと感じます。

ヒルクライムなど、速度が落ちる状況なら、通気性が最大のものにすれば良いでしょう」。


いかがだっただろうか。今回の記事を参考に、残暑の中でも快適な走りを楽しんでほしい。

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