新流派の折りたたみ自転車「iruka(イルカ)」を知っているか?

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新流派の折りたたみ自転車「iruka(イルカ)」を知っているか?

折りたたみ自転車をデザインする各社は、走行性能を維持しつつ、折りたたんだ状態がいかにコンパクトになるかに腐心している。アイディアを凝らした折りたたみ方法を見るのは楽しいし、折りたたみ自転車としての使い勝手にも直結する。

そんな折りたたみ自転車界に、新たに名乗りを上げたのが「iruka(イルカ)」だ。

自分が欲しい折りたたみ自転車を作ってしまった

新流派の折りたたみ自転車「iruka(イルカ)」を知っているか?

流麗なフォルムを持つ折りたたみ自転車「iruka(イルカ)」は、既存のどの自転車メーカーでもない、イチから起業した株式会社イルカが設計、製造したバイクだ。創業者の小林正樹氏は、自転車界での経験は全くなく、インターネット広告代理店に勤務していた。その当時から折りたたみ自転車で自転車通勤をしていたという。あくまでもユーザーの一人だったのだ。

だが、自転車通勤を続けるうちに自分の理想の折りたたみ自転車が欲しい、そうだ作ってしまおう! という思いに至り、2007年から、独立とプロダクトの設計に取りかかったという。

そうしてできあがったirukaは、18インチホイールの折りたたみ自転車で、そのデザインは独特だ。走行、駐輪、移動、折りたたみという4つのモードを想定して設計されている。この中の移動というのは、走行状態での移動を意味するのではなく、折りたたみ状態で移動しなければいけないシーンを想定している。小林氏が働いていたオフィスビルは、横幅が大きなビルだったそうで、エレベーターがビルの両脇に設置されていた。だが、仕事が遅くなり夜になると片方のエレベーターしか動かなくなる。しかもオフィスからは遠い側のエレベーターしか動いていない・・・。そうすると、オフィスの中で保管している折りたたみ自転車を持って広いビルの遠い方のエレベーターに行かなければならなかったそう。その時の不便さを解決すべく、半折りたたみ状態でも移動しやすいように車輪が回るようになっているのだ。

折りたたみ状態で移動の利便性を上げることの難しさ

新流派の折りたたみ自転車「iruka(イルカ)」を知っているか?

移動モード。この状態で自転車を押しながら移動できる

新流派の折りたたみ自転車「iruka(イルカ)」を知っているか?

前後のホイールを同軸に固定できる工夫が

この移動モードを実現するためには、多くの工夫がなされている。まずは、自転車を転がす時にまっすぐバイクが進むために、前後のホイールが同軸で左右に並行に並ぶ必要がある。そのために、メインフレームの真ん中にリヤホイールがすっぽりとおさまる大きな穴が設けられているのだ。そして、フロントフォークは片持ち。ヘッド周りの折りたたみ機構と相まって、リヤホイールと同軸になる位置に収まる。

流麗なフォルムを描く上で大きな役割を果たしているメインフレームは、その真ん中にリヤホイールを収めるための大きな穴を空けつつ、走行時に必要な剛性、強度を確保するというかなり厳しい条件を満たしていることがわかる。チューブは特注で、内部は二重壁になっている。少しだけ試乗させてもらったが、トップチューブがねじれる感じもなく、安定した街乗りを楽しめた。

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メインフレームに使われるチューブの断面図。内壁が設けられ、強度を上げていることがわかる

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ヘッド〜フォークの折りたたみ機構

ドライブトレイン周りにも、一工夫。コンポーネントはシマノ・アルフィーネの内装8段変速を使っているが、折りたたみ状態を作り出すために必要なチェーンラインを出すため、BBシャフトの長さ、そしてチェーンリングが特注品だ。これによりリヤホイールをメインフレームに収納したときにチェーンとホイールの隙間にフレームが入り込むことでキレイに折りたたみ状態をつくることができる。

移動モードから、完全に折りたたんだ状態にすると、その寸法はW78cm x H48cm x D35cm。このサイズなら、新幹線に輪行で持ち込んだときでも、座席に座り、自分の膝の間にバイクを「縦に」置いておくことができるという。

これらのデザインコンセプトは、既存のメーカーではない新しい流派といえるのではないだろうか。日本での利用環境で生み出されたirukaは、さらに世界展開を視野に入れているという。今後の展開が楽しみな折りたたみ自転車だ。

新流派の折りたたみ自転車「iruka(イルカ)」を知っているか?

折りたたみ状態で、座席に座った時のイメージ

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チェーンとフレーム、クランク、ホイールのクリアランスに注目!

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メインフレームは緩やかなカーブを描く

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折りたたみ状態をコンパクトにするため、シートポストのクランプは2段階で短くなる

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フロントホイールは片持ちフォークで支持される

価格:21万2800円(税抜)
フレーム素材:A6061アルミニウム
カラー:シルバー(酸化皮膜処理)
ホイール径:18インチ
変速方式:シマノ・アルフィーネ内装8段
ブレーキ:機械式ディスクブレーキ(ローター径140mm)
重量(ペダル・カプラー除く):11.9kg
タイヤ:シュワルベ・コジャック 18 x 1.25
ホイールセット:アレックスリムDM24 Double wall F28H/R32H