芝生だから怖くない! 新規オープン《アップMTBパークin神鍋》の走り心地

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芝生だから怖くない! 新規オープン《アップMTBパークin神鍋》の走り心地

新たなマウンテンバイク(MTB)パークが関西にオープンする。MTBを体験してみたい方、そして家族全員でMTBを始めとするアクティビティを楽しみたいご家族にオススメな、《UP MTB PARK IN KANNABE》=『アップMTBパーク イン神鍋』である。大阪・神戸から車で2時間半ほどの距離、主に初級者から中級者が楽しめるコースレイアウトで、芝生の上を思いっきり走れるのが特徴だ。

兵庫県姫路市から車で1時間半ほど北上した場所にあるアップMTBパーク。もともと、グランピング、パラグライダー、プラスキーなど、さまざまなサマーアクティビティが楽しめるオールシーズンリゾート《アップかんなべ》に、新たなアクティビティとしてMTBパークが新設された。2019年6月22日から一部コースがプレオープンとしていたが、7月13日(土)からは本格オープンとなり、レンタルバイクも稼働し始める。

ここの基本コンセプトは、「これからマウンテンバイクを始める人のためのフィールドづくり」。そのコンセプト通り、初級・中級者に優しいMTBパークとなっている。2019年夏時点で関西唯一のリフト付きMTBパークであるのもその理由の一つだが、芝のコースをメインしているのが、最も大きな理由だ。

刈り込まれた芝は走りやすく怪我しにくい!

芝生だから怖くない! 新規オープン《アップMTBパークin神鍋》の走り心地

スタッフが日々汗を流し短く刈り込む芝生。この短く刈られた芝生こそがMTBがとても走りやすいのが、ここを走るとよく分かる

《アップMTBパーク》の大きな特徴は、基本的に芝生の上にコースが設置されていること。コース幅は広めなので、MTBライドに慣れていない初心者もストレスを感じにくく、中上級者は自由にラインを選べるのが気持ち良い。また芝生の上なので、万が一転んでも滑るため怪我をしにくいのも、初級者に嬉しい特徴である。

その自由な広さに加え、緑の上の開放感が心地よい。今あるMTBコースの主流は、その多くが森の中にあるシングルトラック。MTBに熟練していくにつれ、こういったコースを好み楽しめるようになるのだが(誰もがそうなる)、大きく開いたコース上を走るのは純粋に気持ちよい。

現在はあまり見ない芝生コースだが、芝生はMTBで走るととても楽しい路面。しかもここは芝を短く刈り込んであるため、MTBタイヤはがっちりとグリップし、適度なクッション性があり、さらには転んでも滑りやすいため怪我をしにくいという、土のコースにはない利点がある。

芝生だから怖くない! 新規オープン《アップMTBパークin神鍋》の走り心地

リフトを降りると、そこは絶景。写真にある町方面も良いのだが、左奥にある(写真では見えない)山並みは、こんなに街に近いのに不思議に壮大なのだ

コースは芝の2コース、土の1コースがメイン

グランドオープンには、3つの下りコースとパンプトラックがオープンする。3つの下りコースのうち、2つが芝の上の初級・中級向けコース、もうひとつの土コースが、ジャンプやバームなどの付いた、上級者の技術をさらに磨きつつ楽しめるコースとなっている。コースを設定したのは、プロMTBライダーである阿藤寛選手。それぞれのコースの走り心地をお伝えしていこう。

初級用=『マシュマロ』

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幅広く、視界の開けた、しっかりとブレーキの効く芝生のコースを、自由に走っていけるこの気持ちよさを、MTB未経験者にこそ体験して欲しい

「マシュマロのようにふわふわとした走り心地をイメージしました」という阿藤選手の言葉は間違っておらず、下りながらも丘のように隆起する芝の地形を、ふわり、ふわりと下りおりるイメージのコースである。

コース幅は広く、それでも左右にゆるく降ってあり、スピードを出そうと思えば出せるコースだ。だが初めてMTBにライドする人でも、ブレーキを握りながらも、手が痛くならず怖くなく降りれるようなコースともなっている。

ブレーキを離せばスピードが出て、握ればスピードは安全に落ちる。広いコースには圧迫感がなく目にも心にも怖くない。当たり前だが最近なかなか少ないこの手のコースは、「MTBで爽快にダウンヒル!」という言葉がもつイメージそのもの。この開放感とスピード感は、細かな技術取得と速さの追求に躍起なMTBライダーの心をも改めて浄化するかもしれない。

中級用=『カミカゼ』

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スタートして続くつづら折れ。最速のインを攻めるか、アウトアウトで思い切りコーナーで車体を振ってみるか、アナタ次第だ

今も米国カリフォルニア州マンモスにある『カミカゼダウンヒルコース』にオマージュした名前のこの中級コースは、その言葉通り、カミカゼ的なダウンヒルを楽しめるコースとなっている。「世界最高峰のワールドカップ・ダウンヒルで、トップライダーが荒れた路面で行う走りの感覚を、スムーズな路面で誰でも味わえるようにしたイメージです」という阿藤選手。

こちらも路面は100%芝生、途中に細かなコーナーや急斜面などがあり、途中には別ルートとして『ノーリーウッズ』という林間シングルトラックがある。車体を思うよう操れる技術があると、さらに楽しめるので、中級用とされている。

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中級コース途中にある寄り道セクション『ノーリーウッズ』は、ここちよいシングルトラックのコーナーが続く。ここで車体切り返しの練習だ

ここで楽しめるのはコーナリングだ。低速でのスイッチバック(つづら折れ)から始まり、逆バンクコーナー、内足を出しサドルに座っての高速コーナリングまでそろっている。『ノーリーウッズ』のシングルトラック内では、細かな荷重抜重を身につけられそうだ。もちろんほとんどが芝生の上にあるため、転倒してもずりずり滑るだけなので大きな怪我もしにくい(たぶん)。

「ヘッドチューブでバイクのコーナリングをコントロールする、その感覚を身に付けられるコースです」と阿藤選手。もしあなたがまだハンドルを切って曲がっているなら、ヘッドチューブを傾け曲がる感覚をこのコースつかみ、さらなるステップアップを目指そう。

上級用=『キタカベ』

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バームの付いたコーナー、繰り替えす縦の動き、気を抜くと0になるスピード。車体を丁寧に走らせる技術が問われる上級コースだ

ここは阿藤選手が『乗れる』ライダーに向けて作った上級コースだ。路面を掘り起こして土で作ったバームとバンプの連続するコースは、上下左右への3次元挙動とパンピングの感覚を身につけたライダーにこそ面白い。

しかしこの上級コースが他のバーム系コースと異なる点がある。それは、コーナーやバンプ(ジャンプにもなる)を超えた地点で、走行スピードが0に近くなることだ。

芝生だから怖くない! 新規オープン《アップMTBパークin神鍋》の走り心地

ふもと付近には、もちろんパンプトラックもある。初級者でも楽に走れるが、ここから速度を出そうとすると、なかなかに手強い作りとなっている

つまり下りながらバームやパンピングで速度を出しても、登り返しでスピードは落ちる。こがずに下るためには、バイクを走らせるパンピング技術が必要なのだ。ある意味ブレーキを必要としない(いや使うけれど)下りコースなのである。

技術を持つ昔からのMTB好き者ライダーが待ち望んでいた「スピードを自分ではなくコース自体がコントロールしてくれる安全フォーマット」の具現化だ。これは下り慣れたライダーにこそ走ってもらい、もし自身でコースを作ることがあればぜひ参考にしてもらいたい、これからのコース安全性に大切となるコース製作思想の一つであると言える。

芝生だから怖くない! 新規オープン《アップMTBパークin神鍋》の走り心地

途中お腹が空いたら、近くにあるこだわりの蕎麦屋《わらく》で、阿藤選手おすすめの天ぷらそばセット(写真右:1550円)をどうぞ。

兵庫県豊岡市日高町太田1348-1/TEL: 0796-45-0101/営業時間:11:30~14:30、17:30~21:00

景色は最高、アクティビティも楽しいぞ

芝生だから怖くない! 新規オープン《アップMTBパークin神鍋》の走り心地

この乗り物=バギークロス、見ていて楽しそうだったが、乗ってみてもやっぱり楽しいのだ!

芝生だから怖くない! 新規オープン《アップMTBパークin神鍋》の走り心地

スポーツ用トランポリン! 知ってる人は知ってるこの楽しさ。飛んだときの軸を保つ練習にもなる

レンタルバイクなども用意されるので手ぶらでも乗りに来られる。またMTBではないアクティビティもとても楽しそうである。近くには同施設のキャンプサイトもあり、魅惑のグランピングも可能。家族全員で週末を遊びに来ても、みんながへとへとになるまで楽しめそうな、総合アクティビティパークのような、MTBバークの登場である。

芝生だから怖くない! 新規オープン《アップMTBパークin神鍋》の走り心地

アップMTBパーク 受付はここ。広いので「うえ野平ゲレンデ」を目指すと良い

芝生だから怖くない! 新規オープン《アップMTBパークin神鍋》の走り心地

コース監修の阿藤寛選手。「単純に気持ちよさを感じられる場所を目指しました」

アップMTBパーク イン神鍋施設情報

【施設名】《UP MTB PARK in KANNABE》アップMTBパーク イン神鍋
【住所】兵庫県豊岡市日高町太田158-2付近
【TEL】0796-45-1545
【営業日】2019/11/4までの土、日、祝日(2019年度)
※夏休み期間は平日営業も有り。詳しくはwebで

【料金】コース利用料(リフト利用料含む):大人3500円(1日)、子ども3000円(1日)

【レンタルバイク】
フルサスバイク(前後サス)=7000円(1日)、5000円(2時間)
ハードテイル(前サスのみ)=5000円(1日)、3000円(2時間)
キッズ用MTB =4000円(1日)、3000円(2時間)
キッズバイク=3000円(1日)、2000円(2時間)

【レンタルグッズ】
セット(1日)=バイクレンタル+4000円(ヘルメット+グローブ+ゴーグル+肘と膝のプロテクター)
セットキッズ用(1日)=バイクレンタル+3000円(同上)

【その他アクティビティ(*)】
うえの平スーパーウェイ 大人3,000円、子供2,000円でレンタル、使用可能。こちらは搬送料金も含まれる。
*グラススキー、マウンテンボード、バギークロス、キックバイク、パターゴルフ、トランポリンなど。
 
他にもプラスノースキー、熱気球、パラグライダー、キャンプ、グランピングといった施設あり(別料金)。詳細は問い合わせを。