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超軽量サスペンション搭載 キャノンデールのグラベルバイク「トップストーンカーボン」

アルミフレームのグラベルロードとしてラインナップされていた「トップストーン」に、ニューモデルが登場。フルカーボンフレームに「キングピン」という独自のサスペンションを備えた個性的な一台の詳細と試乗記を、アメリカからお伝えする。
 

 
text:安井行生 photo:キャノンデール

リヤ三角に抱いた違和感の正体


昨年、この日本でもプチブレークを果たしたトップストーン。キャノンデールが得意のアルミで作った正統派グラベルロードだ。
バーモント州のストウというグラベル天国で開催されたローンチイベントで、そんなトップストーンの上位モデル、トップストーンカーボンが発表された。モデル名からトップストーンのフレーム素材をそのままカーボンに置き換えた物体を想像したが、全然違った。
見どころはリヤセクション。チェーンステーをしなりやすく作り、低い位置に設けられるシートステーとシートチューブの交点はピボットで締結、ベアリングが入る。アルミ版とは別物である。なるほど今流行りのショートストロークサスか……と思ったが、どうもおかしい。
一見、チェーンステーのしなりをベアリングが補助するように見えるが、これではベアリングを中心にエンド部が描く軌跡と、チェーンステーがしなることでエンド部が描く軌跡が一致しない。この構造でチェーンステーが上下にたわむと、ピボットが回転するような動きにはならず、チェーンステーがピボット部を前方に押す動きになってしまうはず。だから第一印象は「ちゃんと動かねぇじゃんこれじゃ」だった。
しかし、それこそがキャノンデール技術陣が意図したことだったようだ。


 

トラス構造からの脱却


キングピンサスペンションと名付けられたこのシステムは、以下のようなプロセスで働く。まずリヤホイールが凹凸に突き上げられると、チェーンステーが上下にしなる(=ラフロードにおける路面追従性の向上)。それに伴い、シートステーが突っ張り棒となってシートチューブ中心を前方に押す。それによってシートチューブは後方にベンドしやすくなり、サドル部が大きく上下に動く(=快適性の向上)。
ベアリング採用のピボット部に目が行きがちだが、要するにこれはあくまでリーフサスペンションである。ベアリングはただシートステーとシートチューブの動きを阻害しないためのものにすぎない。実際、このベアリングは最大でも2度しか回転しないという。ベアリングの使い方としてはトレックのISOスピードに近い。
ロードバイクにサスペンションを仕込むという設計は、エンデュランスロード、グラベルロードを中心に各メーカーが試みているが、このキングピンシステムのメリットは、シッティングでもダンシングでも快適性と路面追従性が高いこと、バネ下重量を小さくできること、ヘッド~エンドのねじり剛性が犠牲になりにくいことだという。
一方、フロントセクションはオーソドックスに見えるが、ヘッドチューブの中に思いもよらない秘密が隠されていたりする(写真とそのキャプション参照)。


 

リヤ三角


リヤエンド~サドル間のトラベル量は約30mm。フレームサイズ毎にライダーの平均体重を想定し、チューニングされている。シートステーには「シートチューブを押す」という任務が与えられているため、あえて剛性を高くしてあるという。シートチューブ下端、トップチューブ後端は扁平形状となってフレックスゾーンとして働く。

リンク部分


ベアリングに目が行きがちだが、これはあくまでシートステーとシートチューブの動きを阻害しないためのもの。左右のシートステーはベアリング内部を貫通するシャフトで剛結されているため、ねじり剛性も高いという(左右のシートステーがバラバラに動かない)。ベアリングの調整やメンテナンスは不要。

フォークコラム


フレームの下側ベアリング径は1.5インチだが、なんとフォークのコラム径はテーパーではなくストレート(上から下まで1-1/8インチ)。「こうすることで過剛性を避け、柔軟性を稼いでいるんです。だから極端に荒れた路面でなければフロントサスは必要ないと考えています」と担当エンジニア。

ボトルマウント


ボトルマウントは、トップチューブ、シートチューブ、ダウンチューブ、ダウンチューブ下の4か所。ラックやフェンダーの取り付けも可能だ。「これはグラベルロードであり、あくまでロードバイクの一種として作った」とのことだが、これを見る限り使用用途はかなり広い。
 

キャノンデール独自のAIテクノロジー


リヤエンドを右に6mmオフセットさせるキャノンデール独自のAIテクノロジーが採用されていることも注目ポイント。これにより、ホイール左右バランスの是正、短いチェーンステー長、タイヤのクリアランス確保などを実現。タイヤクリアランスは、700Cの場合は最大40mm、650Cの場合は最大48mm。

 

試乗でオフロードの才能が開花!?

 
正直に告白するとダートの走行は数年ぶりで、出国前に慌ててSPDシューズとペダルを買うという有様。そんな筆者でもトップストーンカーボンの快適性と路面追従性の高さには驚かされた。
各国ジャーナリストと一緒に走り出してすぐ、草木をかき分けて進むようなシングルトラックに連れていかれたのだが、意外にスイスイ走れるので自分でびっくりした。自分にもオフロードの才能が備わっていた……のではなく、バイクの性能のおかげだろう。キングピンシステムの効果だが、確かにリヤセクションの快適性は非常に高く、悪路でもリヤホイールが路面から離れないためトラクションが途切れない。これは誰でも実感できるレベルだと思う。ダートの下りコーナーでも、寝ているヘッドと長いフォークオフセット(=長いホイールベース)の効果か、コントロール性が非常に高い。直進安定志向ながらハンドリングも自然。グラベル初心者でもオフロードを楽しめる懐の広いバイクである。
乗り始めて数分後には久々のオフロードライドを心から楽しんでいた。日本にもこんなオフロードがたくさんあったらなぁ……このバイクの上では、そんなことを強く願わずにいられなかった。
 
 

ラインナップは4種類

フレームは一種類でハイモッドバージョンは設定されない。完成車ラインナップは、上からフォースeタップAXS仕様、アルテグラRX仕様(パーツ違いで2モデル)、105仕様の4種類。トップモデルには快適なSAVEハンドルバーが装備される。当然全車ディスクブレーキで、エンドにはスピードリリーススルーアクスルを採用する。


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問い合わせ先

キャノンデールジャパン
http://www.cannondale.com/ja-JP/Japan