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アソスマニアのライターアサノがS9ビブショーツを試す

アソスからこのほど発表された最新のショーツ・S9ショーツ。ハイエンドモデルのエキップRSRとベーシックモデルのエキップRSの2モデルがラインナップされ、いよいよ店頭にも並びはじめた。長年にわたってアソスのショーツを愛用し、昨年の夏からエキップRSショーツを先行テストさせてもらっていたライター浅野が、半年以上使ってみての印象をレポートする。

 

パッドをずれにくくするビブまわりの新デザイン

S9世代のビブショーツは、従来のS7世代までのものとは見た目からして大きく変わっている。ビブショーツだが、背中部分のバックパネルが廃されたことで、ノーマルショーツにサスペンダーを付けたようなデザインになった。

この特徴的なデザインにより、背中部分の通気性が格段にアップしている。従来のショーツより汗をかきにくく、夏はより涼しく、冬も汗冷えしにくくなっていると感じた。冬はパッドなしのタイツの下にはいても、背中を風上にして立つと若干スースーする気がするが、これはこれまでのビブにつきものだったバックパネルが通気性を妨げていたことの裏返し。上りでひとモガキした後の下りや麓での休憩後に背中が汗冷えで寒いと感じることは少なくなった。

ビブ部をよく見ると、前と後ろのビブと両者の接合部と3種類の生地を使い分けている。フロントビブは、カーボンを混合した新素材を使っており、左右の脇腹の前側に1本ずつ縫い付けられている。これに対し、バックビブは一本の素材を折り返したものを腰の後ろ、パッドの左右の後端のほぼ真上に縫い付けている。さらに前後のビブは、ごく小さなほとんど伸縮性のない小さなパネルでひとつになっている。


 


バックビブの縫い付け部は、今回のS9ショーツの最新テクノロジーが凝縮された部分のひとつだ。バックビブは、左右とも腰のパネルの背中側上端付近と、パッドが縫い付けられているお尻のパネルとの縫製付近の上下2箇所で縫い付けられている。縫い付けられているのは横方向だけで、縦方向には縫い付けられておらず、ビブの一部がショーツから浮いている。これはロールバーテクノロジーというS9ビブショーツのアイコンで、クルマのアンチロールバーに着想を得た特許取得済みのテクノロジーだ。ペダリング時の脚の動きやライド中の姿勢変化によってパッドが動くのを防ぐ効果がある。腰のパネルが左右を横断するように1枚になったことも、ライド中でも常にパッドを安定させることに貢献している。

これらの相乗効果により、ハードなペダリングでも勾配変化やペースの変化によってサドルの上で腰を動かしても、パッドがずれにくくなった。これまでのモデルよりさらに着ていてストレスを感じにくくなり、サイクルショーツで重要なライド時のフィット感は旧モデルより確実に高まっている。

もちろん普通に着用したときのフィット感も改良されている。わずか2つのパターンだけで作られたバタフライパターンを採用することで、縫い目を30%減らして快適な着心地と包まれるようなホールド感を実現している。先代S7ショーツでもパターンが少なくなって旧モデルより着心地がよくなったと感じたが、S9世代はその上を行く。


 

フロントビブの装着部は、他社のモデルより少し外にオフセットされていて、開口部もU字型ではなくコの字型に近くなっている。このため、自転車に乗るときにお腹を膨らませて腹圧で体幹を支えるブレーシングをしたときに生地が突っ張ってお腹がつっかえる感じがなく、呼吸が深く、ラクにできる。また、用を足すときにも、ビブがつっかえることがないのでラクだ。これは先代S7ショーツ時代から個人的にアソスのショーツのお気に入りポイントだ。



 

より軽くなり、通気性が向上したエキップRSパッド


パッドもS7から改良され、エキップRSパッドに進化している。S7パッドと比べて主要部分の幅を狭くしてサイズをコンパクトにすることで軽量化を果たしたレース仕様の8mm厚パッドだ。

このパッドでは通気性も向上している。主にフロント部分のエアベンチレーションを大型化し、夏などウェアの中が汗や熱気で蒸れてしまうようなシチュエーションでも快適な着心地を保ちやすいと感じた。

S7ショーツの主要テクノロジーのひとつだったゴールデンゲートテクノロジー(=パッドの全周を縫い付けずペダリング時のパッドのフィット感を高めるデザイン)や、高いクッション製と通気性を両立する3Dワッフル構造などのテクノロジーを継承しているのも特筆すべきポイントだ。これまで培ってきたテクノロジーを生かしつつ、S9ショーツのアイコンであるロールバーテクノロジーをはじめとする最新テクノロジーとの相乗効果によって、ペダリングのしやすさ、ライド中のパッドのフィット感、パッドの通気性も確実に進化していると感じる。

ちなみに、アソスのS9ショーツは、ブルガリアの自社工場で熟練の職人が各パネルやビブ、パッドなどを一つひとつミシンで縫い合わせ、1着ずつ手作業で作っているそうだ。アソスの最新テクノロジーの結晶たるバックビブまわりもパッドの縫製も、手間暇かけて職人の手で仕上げられているのだ。そう考えるといっそう愛着も増す。

 

おすすめしたいのは「性能がいいから」だけではない



「S9ショーツは、旧モデルより大幅に性能が進化しました。だから本当におすすめです」


とこの原稿を締めくくりたいところだが、アソスのショーツの魅力を性能だけで語ってしまっては本当のアソスの魅力を伝えたことにならない。15年以上、個人的にアソスの製品を愛し、購入して使い続けているひとりのアソスファン(アンバサダーではない!)として、アソスの魅力を伝える個人的なエピソードを紹介したい。

アソスのウェアは、他のブランドのウェアと比べてかなり耐久性が高い。半年もするとビブや生地が伸びてしまうそこらのビブショーツとは違い、僕の私物のS7ショーツは4年ほどかなりの頻度ではき続けても、ビブはおろか、生地もほぼ伸びていない。パッドもそれほどへたっておらず、若干の色あせは見られるが着用するには問題ないレベルだ。

そのS7ショーツに先日小さな穴が開いた。普通なら自分で当て布をして直すか、新しいものに買い換えるかだが、アソスのウェアは正規販売店を通じて無料でリペアすることが可能だ。ただし、購入時に付いている商品タグが必要で、状態によってはリペア不可の場合もある。幸い僕のS7ショーツは無料でリペアしてもらえた。それも穴の開いた部分のパネルを新しいものに交換するという手の込んだ作業だった。これでまたしばらくこのショーツをはき続けることができるだろう。

アソスのショーツは価格だけを見ると確かに高いかもしれない。しかし、個人的実感だが、耐久性が控えめに見積もっても他のブランドのショーツの2倍はあるので、ランニングコストを比較すれば、安いショーツを何度もはきつぶすのとそれほど変わらないのだ。そのうえ、アソスのショーツは極上の履き心地が約束されている。最新のS9ショーツであればなおさらだ。

ランニングコストと履き心地を総合的に考えたら、アソスのショーツは最高レベルにあると思う。だから僕はアソスのショーツ、中でも最新のS9ショーツを強くおすすめしたい。


 


EQUIPE RS BIB SHORTS S9
価格:2万8600円(税抜)
サイズ:XS-S-M-L-XL-XLG
カラー:ブラック・レッド




問・ダイアテック(アソス)