新生サーヴェロ・S5試乗

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新生サーヴェロ・S5試乗

エアロロードが豊作な2019年だが、そのなかでもひときわ個性を放っているのがサーヴェロ・S5だ。V字のステムにTTバイクのようなフレームワークは、見るからに特別なバイクである事がわかる。スペインのジローナで開催された試乗会から、その走りをレポート。

高速領域での安定感は抜群!

今回のテストライドは、スペインはバルセロナの北、ジローナ周辺で行われた。丘陵地帯が続くエリアで、英国人の元選手デイビッド・ミラーも今はこのあたりに住んでいるという。峠がないかわりに、ジェットコースターのようなハイスピードのアップダウンが続くエリアで、エアロロードの試乗にはうってつけのロケーションだ。雨上がり、約170kmを走ることができた。

走り出すと、ディーブリムに反響音が響き渡りエアロロード特有の高揚感がこみ上げてくる。とても硬質な高い剛性を持っているバイクである事を感じさせられる。

まず大きく違いを感じるのはハンドル周りからの反応が自分の知っているバイクのどれとも異なっていることだ。ステムがこの形状なので、ノーマルステムのように1箇所でハンドルをつかんでいるのではなく、2箇所でハンドルを支えることになるのでヘッドからブラケットまでが、より強固な構造体になっているのだ。特にダンシングすると、最初に受けるフィーリングはかなり違う。突っ張り方が違うのだ。リズムを取るのに戸惑う。とはいえ、試乗初日の数キロは違和感があったのは否めないけど、まあなんとなく慣れてしまう。そんなレベルだ。

メリットとして感じたのは、ハイスピード時の安定感だ。直進はもちろん、全走者を抜く時にちょっとラインを変える時や、ハイスピードコーナーはバシッと決まる。時速50kmを超える下りで、さらに加速していってもふらつく感じがない。また、ハンドルのフラット部に腕をおくエアロポジションを取った時の安定感はとても好感が持てた。組み合わされるエンヴィの4.5ホイールセットも、軽快感があっていい。ジャイアント・プロペル、スペシャライズド・ヴェンジ、キャノンデール・システムシックスと試乗したがどこもリヤホイールのリムハイト60mmを採用していた。巡航している時は確かに味方になってくれるが、自分の体格やパワーだと速度の上げ下げが必要な時にちょっと重いなと思わなくはなかった(キャノンデールはそれが少なかった)。それと比べると、軽快感があるのはS5のパッケージではないだろうか。

新生サーヴェロ・S5試乗

新生サーヴェロ・S5試乗

低速タイトコーナーは、乗り手自身のスキルがやや求められる。自分がぶれればバイクもぶれる。そんなシビアな面もあるように思った。R5のテストライドの時にも感じたことだが、”サーヴェロらしさ”と自分が思っていた非常にクイックなハンドリング、ひと踏み目からバイクが出ていく”パリッ”と乾いた加速感がかなりなくなっている。ジオメトリ変更により、BBハイトが低くなりトレイル値も各サイズに適正化がなされたことが要因と考えられるが、自分は歓迎すべき変更点だと思う。かねてからのサーヴェロファンはどう受けるだろうか。最初は、うーん違う。と思うかもしれないが、これが最速化へのサーヴェロの回答なのだ。

快適性向上についての言及はない。でもプレゼンテーションの言葉を借りるなら「レースのため、速く走るために作った。」と言い切っている。速くないと文句を言うなら聞くけど、快適じゃないと言うのはお門違いってことだ。その場合はRシリーズでもCシリーズでも選択できるというわけ。「ただ」と付け加えられていたのは、ポジションの調整幅を持たせているので、正しいポジション=快適性と言えるのではないかということ。うむ。ポジションの調整範囲が確保されているとはいえ、やはりある程度ポジションが固まっている人にお勧めしたい。そして、今乗っているバイクからポジションをキレイにコピーしてくれるショップでの購入をお薦めしたい。レーシングマシンは、しっかりと手を入れてやってこそ完成するのだ。そのハードルを越えればバイクのパフォーマンスを十二分に味わえる。

S5ディスクスペック

シマノ・デュラエースDi2ディスク完成車価格:158万円(税抜)
シマノ・アルテグラDi2ディスク完成車価格:115万円(税抜)
シマノ・アルテグラディスク完成車価格:79万円(税抜)
スラム・レッドeタップディスク完成車価格:142万円(税抜)
フレームセット価格:59万円(税抜)

サイズ:48、51、54、56
フレームセット重量:975g(サイズ56)
カラーバリエーション