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メイドインジャパンエアロロード「ヨネックス・エアロフライト」

ヨネックスからエアロロードバイク「エアロフライト」が発表された! これまで処女作「カーボネックス」やその高剛性モデル「カーボネックスHR」で高い評価を得てきたジャパンブランド「ヨネックス」が送り出す第二作目は、現在高い人気を誇るエアロロードとなった。10月24日(水)にヨネックス本社で行われた発表会から詳細をお届けする。
 
text&photo:江里口恭平

空力性能とともに、軽さと快適性を追求

「ヨネックス・エアロフライト」フレームセット価格:70万円(税抜)。コーポレートカラーのブルー×グリーンがエアロロードフレームに鮮やかに映える
「ヨネックス・エアロフライト」フレームセット価格:70万円(税抜)。コーポレートカラーのブルー×グリーンがエアロロードフレームに鮮やかに映える

2014年、重量650gという超軽量カーボンフレーム「カーボネックス」を発表。これまでテニス、バトミントン、ゴルフ、スノーボードなど多彩な分野で高い技術を培ってきたヨネックスの送り出したカーボネックスは、当初の予想を上回る乗り心地や軽さを備え、その完成度の高さから、プロアマ問わず高く評価されるモデルとなった。それに伴いディスクブレーキ搭載モデル「カーボネックスディスク」や、プロの要求に応える高剛性モデル「カーボネックスHR」を発表してきた。

2018年はキナンサイクリングチームの使用バイクとして、マルコス・ガルシア選手によるTOJ個人総合優勝&チーム総合1位を獲得。山本元喜選手による全日本選手権制覇など、そのフレームの持つポテンシャルを存分に発揮。もはや新興ブランドといわせないほどの輝かしい戦績を手に入れている。

そのヨネックスが新作として送り出すモデルは、まさに2018年自転車界の流行と言えるであろう空力性能を追求したエアロロード。その名も「エアロフライト」だ。

 
フロントフォークにもカムテール形状を採用
フロントフォークにもカムテール形状を採用
ダウンチューブとタイヤとの間隔を近づける
ダウンチューブとタイヤとの間隔を近づける
ユーザーのパーツ載せ替え要望があったとき、互換性を高めるために前後ともノーマルキャリパーブレーキを採用
ユーザーのパーツ載せ替え要望があったとき、互換性を高めるために前後ともノーマルキャリパーブレーキを採用
トップチューブにはモデル名「エアロフライト」が大きく入る
トップチューブにはモデル名「エアロフライト」が大きく入る

2015年より、モータースポーツに造詣が深いデザイナーとともに開発をスタートしたエアロフライト。空力特性を高めるべく30種類以上の1/3サイズスケールモデルを作成し、それぞれで風洞実験を重ねることで、理想的な空力性能を持つフレーム形状を作成した。

風洞実験から導き出した形状というのは、カーボネックスと比較して ①ヘッドチューブの中央幅を20mm細く、②フロントフォークとシートステーアーチのタイヤクリアランスを狭く、③各チューブ形状をカムテール化、④ダウンチューブ、シートチューブと各ホイールの間隔を狭める。という4点であり、それらの結果カーボネックスに比べて18%の空気抵抗を低減。

時速45kmでの走行時に15w、横風(迎角15°)を受けた際に22wのパワーが低減されることとなる。
これらはスケールモデル上で計測されたものであるため、ホイールやタイヤ、パーツは特定のブランドのものに定めてはおらず、またライダーの存在もなしという前提ではあるが、フレーム単体としてエアロダイナミクスを追い求めた形状となった。

形状が導き出された上で次なる課題となるのが、ロードバイクの勘所である乗り味、そして軽さである。

一般的にエアロロードとなるとその形状からタテ剛性が高く、横には柔らかい。つまりは路面からの突き上げや乱雑なペダリングのうえでは、あまり評価できるとは言いがたいものである。

そこで、テニスやバトミントンのラケットなどでさまざまな基礎研究や技術的経験の蓄積を持つヨネックスは、エアロフライトでロードバイクでは初となる素材を導入した。

その一つが「エヌアムド」という、炭素繊維表面にカーボンナノチューブを吸着させた材料を採用。従来のカーボン素材に比べて、荷重がかかった速度が速くなればなるほど硬くなりにくい、つまりは衝撃を受けた瞬間に柔らかく反応し衝撃を緩和してくれるというものだ。

もう一つは「バイブスレイヤーカーボン」。カーボン素材の中に複数の層で衝撃吸収材を重ねることで、通常のカーボン素材よりも衝撃を20%も削減しつつ、反発性は保ってくれる。

前者はフロントフォークのコラムとフォークブレードの前後に、後者はトップチューブ、シートチューブ、シートステーのレイヤーに組み込まれている。

それらによって路面からの突き上げやサドルに伝わる振動を軽減。これまでカーボネックスに搭載されたゴムメタルなどの技術と組み合わせることで、フレーム重量も830g(Sサイズ、未塗装時)と軽量に仕上がった。

 
ヘッド中央の幅を狭めて前面投影面積を小さくした
ヘッド中央の幅を狭めて前面投影面積を小さくした
タイヤ幅は最大28Cまで許容する。写真は22C幅を履いた状態
タイヤ幅は最大28Cまで許容する。写真は22C幅を履いた状態
メイドインジャパンの文字がブレーキアーチ上部に
メイドインジャパンの文字がブレーキアーチ上部に
フォーク裏に入る「エヌアムド」ロゴなど、各所にテクノロジーのロゴがワンポイントで入る
フォーク裏に入る「エヌアムド」ロゴなど、各所にテクノロジーのロゴがワンポイントで入る
BB規格はPF86を採用
BB規格はPF86を採用
リヤトライアングルにも「マイクロコア」、「O.P.S」といったヨネックス独自技術を搭載
リヤトライアングルにも「マイクロコア」、「O.P.S」といったヨネックス独自技術を搭載
付属するシートポストはオフセットを0mmと20mmから選択可能
付属するシートポストはオフセットを0mmと20mmから選択可能
リヤの変速ワイヤーはフルアウターで内装式。空力を優先したチェーンステーの形状が特殊ゆえワイヤとの干渉を防ぐのが目的
リヤの変速ワイヤーはフルアウターで内装式。空力を優先したチェーンステーの形状が特殊ゆえワイヤとの干渉を防ぐのが目的

開発に携わったキナンキナンサイクリングチームの中島選手が語る

キナンサイクリングチームの中島康晴選手。メガネと自転車といえばナカジ、とは本人談
キナンサイクリングチームの中島康晴選手。メガネと自転車といえばナカジ、とは本人談

以上のスペックを手に入れたエアロフライト。しかしバイクの最終評価を下すのはあくまで人間の感覚だ。

そこで今回同モデルのテストインプレッションを担当し、そのライドフィールの実現に携わったキナンキナンサイクリングチームの中島康晴選手に話を聞いた。

「私はこれまで、カーボネックスのようなオールラウンドタイプのロードバイクを好んで乗ってきたので、正直エアロロードバイクというものがあまり好きではありませんでした。そんな自分がエアロロードの開発に携わることとなるなんて(笑)。

けれど引き受けた以上はエアロロードをただ平地で速いだけではない、上りで軽く、あらゆる状況で扱いやすいバイクとなることを目指しました。

はじめに受け取ったテストバイクは、極端と言えるくらいに硬すぎて、とてもじゃないけど上り下りのあるコースで使えないもの。現在キナンを引退しヨネックスに勤める野中(竜馬)さんを通していろいろと気兼ねなくコメントを出すと、また次のバイクがやってきました。それにはエヌアムドを新しく採用していて。でもまだなんだか芯のある硬さが残っていたのです。

私の中でカーボネックスの乗り味やリズム感といったイメージが頭に残っていたので、ヨネックスさんはまだまだできると思い。結果、何本もテストバイクを作ってもらうこととなりました。

その結果完成したのがエアロフライトです。やっぱり平地では同じパワーで踏んでいても明らかにカーボネックスよりも楽。そして上りも十分にこなせます。プロライダーだけでなく、ホビーレーサーからエンデューロに参加する人まで、誰にでも勧めることができるフレームに仕上がったと思います。

現在、様々な海外ブランドからエアロロードバイクが続々と発表されています。けれどそれらは世界レベルのトップ選手に合わせて作られた剛性や乗り味のものが多い。このエアロフライトは、日本のプロアマ選手にとってすごく合ったエアロロードとなったのではないでしょうか。

今テニス界の大坂なおみ選手やバトミントン界の桃田賢斗選手と同じ、ヨネックスというブランドでこのカラーというのも目立ってイイですしね(笑)」
 

spec.

塗装重量を非常に軽量に抑えた特殊塗装「フェザーライトコート」を纏う「グラファイトカラー」モデル
塗装重量を非常に軽量に抑えた特殊塗装「フェザーライトコート」を纏う「グラファイトカラー」モデル

「ヨネックス・エアロフライト」
フレームセット価格:70万円(税抜)

カラー:ブルー×グリーン、グラファイト
サイズ:XS、S、M、L
フレーム重量:830g(Sサイズ、未塗装時)
2019年1月発売予定

2018年11月9日〜11日まで開催されるサイクルモードにて、一般ユーザー向けに初展示予定!

 

問い合わせ先

ヨネックス
http://www.yonex.co.jp