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新型シヴ 国内初お披露目で実車をチェックしてきた!

10月9日に全世界で同時にヴェールを脱いだスペシャライズドの新しいトライアスロン専用バイクS-WORKS SHIV(シヴ) DISC。愛知県小牧市のカミハギサイクル小牧本店で10月10日、日本国内では初となる実車のお披露目が行われた。先に報じた新型シヴのプレビューを踏まえ、実車の詳細をレポートする。

 
text&photo:浅野真則

ヴェンジとターマックのいいとこ取りをしつつ、ゼロから設計


「すごみはあるけれど、意外に見た目はオーソドックスだな」

来場者の多くがSワークスシヴディスクを見た第一印象としてこのように話していた。各社から発表されている最新のトライアスロンバイクは、従来のスポーツバイクの延長線上にあるダイヤモンドフレームではなく、サーヴェロ・P5Xやシーポ・シャドウRのようなシートステーを持たない独自形状のフレームが増えていることを受けた発言だろう。

トライアスロンバイクとロードレース用のTTバイクは、似て非なるものだ。

ロードレースのTTバイクは、UCI規定にフレーム形状やチューブ断面の形状について細かいルールが設けられているが、トライアスロンバイクはその規則に縛られる必要はない。その流れを作ったのは、極太のダウンチューブの中にハイドレーションバッグを仕込ませてトライアスロンに必要な積載性と空力を高い次元で両立した2011年発表の先代シヴだった。

新しいシヴを見ると、フロントフォークの形状こそダブルクラウンタイプで全く異なるものの、ヘッドまわりはエアロロード・ヴェンジの形状に似ているし、シートチューブからシートポストにかけては軽量オールラウンドロード・ターマックの形状に似ている。元プロトライアスリートでもあるスペシャライズドの益田大貴さんによると、「エアロと快適性、扱いやすさを高い次元で両立することを狙ったもの」だという。

「トライアスロンはバイクの後にランを走ることになるため、速さだけでなく、身体にダメージを蓄積しない快適性も追求する必要があります。なので、空力や剛性といった要素も大事なのですが、パワーを出しながらもストレスの少ないポジションを実現するためにポジションの調整幅が広く、快適性が高いフレームであることも重要なのです。さらに市民トライアスリートなら自分でバイクを梱包して輸送する必要もありますが、そのあたりもストレスなく誰でも簡単にできるよう配慮されているのが新しいシヴの特徴です」

新しいシヴは「エアロ」「フューエル」「フィット」という3つのキーワードに象徴される性能を追求している。フレーム設計には、自転車メーカーで唯一の自社風洞実験施設や、同社傘下のフィッティングシステム・リトゥールの膨大なデータ、同社のサポートを受けるトップ選手のフィードバックも活用されている。

また、一見オーソドックスではあるが、ディスクブレーキ専用フレームとしてゼロから設計されているのは重要なポイントだ。既存のバイクにディスクブレーキ台座を設けたのとは違い、ディスクブレーキの持つ強みを最大限に生かして自由な設計ができることになるからだ。そのおかげで、重量も実測9kgと、ディスクブレーキ仕様のトライアスロンバイクとしては軽量に仕上がっている。

 
DHバーの高さは4種類のスペーサーを組み合わせることで、最も低いポジションから最大115mm高くすることができる
DHバーの高さは4種類のスペーサーを組み合わせることで、最も低いポジションから最大115mm高くすることができる
DHバーはごく一般的な22.2mm径のものを使っており、サードパーティ製のものに交換することも可能
DHバーはごく一般的な22.2mm径のものを使っており、サードパーティ製のものに交換することも可能
ベースバーは前後の位置調整はできないが、高さを3段階に調整することができる。両側のベースバーをアーレンキーでボルトを緩めるだけで簡単に折りたたむことができ、輸送時にコンパクトになるのは便利だ
ベースバーは前後の位置調整はできないが、高さを3段階に調整することができる。両側のベースバーをアーレンキーでボルトを緩めるだけで簡単に折りたたむことができ、輸送時にコンパクトになるのは便利だ
アームレストの取り付け穴は全部で16カ所ある。ハンドル側の装着位置も複数用意されているので、細やかなポジション調整が可能だ
アームレストの取り付け穴は全部で16カ所ある。ハンドル側の装着位置も複数用意されているので、細やかなポジション調整が可能だ

ハンドルまわり調整幅の広さと扱いやすさは魅力


新型シヴを見ていくと、トライアスロンバイクとして完成度の高かった先代シヴをさらに進化させ、より戦闘力を高めつつ、ユーザーフレンドリーにもなっていることが分かる。

象徴的なのは、ハンドルまわりの調整幅の広さだ。ベースバーは高さを3段階で調整でき、DHバーやアームレストは4種類のスペーサーで最大115mmの範囲で高さを調整できる。アームレストの取り付け位置も幅広く、DHバーはごく一般的な22.2mm径でサードパーティ製のものに交換することも可能だ。これらの調整は、すべてアーレンキーだけで簡単にできる。

ベースバーは輪行時には折りたたむこともできる。もちろんこの作業もアーレンキーだけでできる。輪行バッグに収納するときもコンパクトになるのは便利だ。ちなみに世界限定500台の初回限定モデルには、専用輪行バッグも付いていて、バイクがピッタリと収まる。

シートポストは標準で25mmセットバックのタイプが付いてくるが、オプションで0mmセットバックのタイプと前に25mmオフセットしたタイプの2種類のシートポストが販売される予定という。

一方で実車を見て分かった気になる点も出てきた。その点についても正直に記そうと思う。

ひとつはシートポスト後ろのハイドレーション用のストレージがあることでサドルの調整幅が制約されてしまうという点だ。展示されていたMサイズのバイクと25mmセットバックのシートポストとの組み合わせでは、サドル高が最低で720mmまでしか下げられないとのことなので、小柄なサイクリストの場合、そのままでは適正なサドル高さに調整できない可能性がある。ハイドレーション用ストレージはアーレンキーで簡単に外せるので、外してしまえばサドルは下げられる。この問題に関しては、スペシャライズドジャパンから本社開発陣にフィードバックが行われているので、より小型のストレージが追加されるなど、何らかの対策が行われる可能性が高そうだ。

そしてもうひとつは、ベースバーの前後位置を調整できないことだ。トライアスロンでは巡航中はほぼDHバーを持って走るが、上りやコーナー、加速時などはベースバーを持つこともあるはずだ。ベースバーの前後位置も調整できれば、ポジションの調整幅も広がり、より多くのサイクリストに合うバイクになると思う。

 

実機を動画で!





シヴの初回限定モデルは買いか?

シヴの初回限定モデルは全世界で500台限定。見る角度によって紫や緑に見えるカメレオンカラーが採用されている。これは2018年のアイアンマン・コナで選手たちに供給されるバイクと同じカラーで、初回限定モデルだけの色だ。

さらに初回限定モデルには、専用のキャリーバッグも付いてくる。これも初回限定モデルだけの特典だ。

つまり、このカラーのシヴを手に入れられるのも、専用のバッグが手に入れられるのも今だけなのだ。ちなみに、実車が国内で初お披露目された10月10日朝の時点で、すでに日本だけで80台以上のオーダーが入っているとのことだった。決断の時期が迫っていることは間違いない。

 
スルーアクスルはロードで一般的な12mmタイプだが、ボルトの頭がフォークブレード内に埋め込まれるようになっていて空力性能を追求している。一般的なレバーがあるタイプに交換することも可能だ
スルーアクスルはロードで一般的な12mmタイプだが、ボルトの頭がフォークブレード内に埋め込まれるようになっていて空力性能を追求している。一般的なレバーがあるタイプに交換することも可能だ
Sワークスパワークランクが標準装備されている。通信規格はANT+で左右にセンサーを内蔵し両足のデータを計測可能。重量はクランク長172.5mmで440gと超軽量
Sワークスパワークランクが標準装備されている。通信規格はANT+で左右にセンサーを内蔵し両足のデータを計測可能。重量はクランク長172.5mmで440gと超軽量
シートチューブ後方にはハイドレーション用のストレージ。最大容量1.5Lの専用バッグを中に収納し、飲み口はダウンチューブを経由してDHバーの中央から出せる。飲み口が改良され、中身が減っても飲みやすい
シートチューブ後方にはハイドレーション用のストレージ。最大容量1.5Lの専用バッグを中に収納し、飲み口はダウンチューブを経由してDHバーの中央から出せる。飲み口が改良され、中身が減っても飲みやすい
トップチューブのハンドル側にはトップチューブバッグやボトルケージを装着するための台座が設けられている
トップチューブのハンドル側にはトップチューブバッグやボトルケージを装着するための台座が設けられている
全長20cmほどのシリコン製のストレージが設けられている。バータイプの補給食なら5本程度、ジェルタイプの補給食なら10本近く収納できる。ストレージはマグネットで装着されており、簡単に取り外せる
全長20cmほどのシリコン製のストレージが設けられている。バータイプの補給食なら5本程度、ジェルタイプの補給食なら10本近く収納できる。ストレージはマグネットで装着されており、簡単に取り外せる
ストレージを外すと、Di2ケーブルやディスクブレーキのオイルライン、ハイドレーション用のチューブなどを通すスペースにアクセスできる。Di2のジャンクションは、ストレージのスペースの上部に設けられている
ストレージを外すと、Di2ケーブルやディスクブレーキのオイルライン、ハイドレーション用のチューブなどを通すスペースにアクセスできる。Di2のジャンクションは、ストレージのスペースの上部に設けられている
標準では25mmセットバックの専用シートポストが付属する。オプションでセットバックなしのタイプや25mm前方にオフセットしたシートポストも販売される予定
標準では25mmセットバックの専用シートポストが付属する。オプションでセットバックなしのタイプや25mm前方にオフセットしたシートポストも販売される予定

カミハギサイクル・上萩泰司社長コメント

先代のシヴより全方位的に進化していると感じさせますね。市民アスリート目線で特にいいなと思ったのは、ハンドルが簡単に折りたためて輸送時のストレスが少ないところ。元に戻すのもアーレンキーがあればできるので、メカいじりが得意でない人にもおすすめできますね。個人的にも早く乗ってみたいです。

 

注文方法

シブの初回生産分は、特別に遠征用ケースが付属する限定500台。購入希望には先行予約が必要になる。そのうちの6台を6人のトライアスリート(ルーシー、ハビエル、ベン、ティム、ブレーデン、サラ)がコナで使用する。残りは10月31日(日本時間)まで注文を受け付け(数量なくなり次第終了)。 
 

■注文の流れ 
1. Specialized.com特設ページにて、申し込みフォームに連絡先情報を登録。 
2. Sワークスリテーラーへ来店。予約を成立させるためには来店が必要になる。(来店がない場合、スペシャライズド・ジャパンより電話で連絡をする場合がある) 
3. 店頭にてリテーラーがオンラインで在庫を確認。在庫が確認できた場合、前金として10万円(税込)を支払い注文確定。 
  
注文の締め切りは10月31日(水)だが、全世界500台限定、先着順のため数量に達し次第終了。
サイズ選び、店舗選びなどの相談は「SHIVサポートセンター」まで。
 
スペシャライズド・ジャパン「SHIVサポートセンター」 
メールアドレス: info.japan@specialized.com 
☎: 046-297-4373 営業時間:10:00~17:00(月~金)

 

問い合わせ先

スペシャライズド・ジャパン「SHIVサポートセンター」
046-297-4373