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100年の歴史とプロ選手に鍛え上げられた革新的ヘルメットブランド「レイザー」

ベルギーのヘルメットメーカー「レイザー」は、独自の機構とデザインによってヨーロッパはもちろん、国内プロからも支持を得ている。それは創業の地が自転車競技の盛んなフランドル地方アントワープであることが起因しているのは言うまでもないことだ。
 
text:中島丈博
presented by シマノ

プロレースと共に進化し続けるテクノロジー



パオロ・ベッティーニ、トム・ボーネン、フィリッポ・ポッツァートら有名選手がかつて着用し、今年のツール・ド・フランスではロット・NLユンボが使用している。国内では宇都宮ブリッツェンが採用しているブランドでもある。

その創業は1919年と古く、80年にモーターサイクル用ヘルメット、87年からは自転車用ヘルメットの製造がスタートした。現在はシマノグループの一角を成しており、よりワールドワイドに販売網を拡大している勢いのあるメーカーである。

製品開発のプロセスは2Dデザイン、3Dモールドを製作して強度のシミュレーションを行なう。それを元に、ヘルメット本体に使うEPSフォームのボリュームなどを調整。その後サンプルを作って風洞実験を行ったり、耐衝撃テストも自社内のラボで行っている。

空力のテストはレイザーをはじめとしてベルギーのバイクや、ウエアブランドが共同で建設した「フランドルバイクバレー」という風洞実験施設で行っている。最終段階で安全性の検証を行なう(ここは最終的には外部の公正な機関に依頼する)。

100年企業として蓄積された大量のノウハウがあるので、開発のかなりのプロセスをシミューレーションで行い、開発期間の短縮を実現しているという。つまりは歴史と最先端技術の両方を持っているヘルメットメーカーなのだ。

そんなレイザーの新作をユーロバイクでチェック。

 
フランドルバイクバレーでのテストの様子
フランドルバイクバレーでのテストの様子
フランドルバイクバレーの風洞実験施設内にある風洞。4機のファンが実験に必要な風をおこす
フランドルバイクバレーの風洞実験施設内にある風洞。4機のファンが実験に必要な風をおこす
TTヘルメットの開発風景。バイクにまたがった状態のマネキンを使用し、より実際の走行状態に近い環境でテストしている
TTヘルメットの開発風景。バイクにまたがった状態のマネキンを使用し、より実際の走行状態に近い環境でテストしている

ツール・ド・フランスでも活躍

 (©Bettiniphoto)
(©Bettiniphoto)
今年のツールで第7、8ステージを連勝したオランダのディラン・フルーネウェーヘン(チームロットNL・ユンボ)は、エアロモデル「バレット」を使用
今年のツールで第7、8ステージを連勝したオランダのディラン・フルーネウェーヘン(チームロットNL・ユンボ)は、エアロモデル「バレット」を使用
ツール・ド・フランスに出場したチームロットNL・ユンボをサポート。プリモシュ・ログリッチェが2度の区間優勝を果たした
ツール・ド・フランスに出場したチームロットNL・ユンボをサポート。プリモシュ・ログリッチェが2度の区間優勝を果たした
本社ラボにある耐衝撃テストマシン
本社ラボにある耐衝撃テストマシン

新作はセミエアロモデル「センチュリー」

ミドルレンジモデルの「センチュリーAF」。エアロ効果とクーリング性能を両立する「ツインキャップ」という機構を備えている
ミドルレンジモデルの「センチュリーAF」。エアロ効果とクーリング性能を両立する「ツインキャップ」という機構を備えている

昨今のロードバイクマーケットにおいて、”エアロ”は重要なキーワードである。それはバイクのフレームだけではなく、ヘルメット市場においても同じだ。もちろん安全性は言うまでもない。

レイザーはそれらを備えたアイテムとしてラインナップのミドルレンジのアイテムとして「センチュリーAF」を用意した。AFはアジアンフィットの略。

特徴は2つ。1つは本体前面にある「ツイストキャップ」というカバーだ。カバーの前後をひっくり返すことで、穴が開いたほうを前にすればベンチレーションが多くなるので、クーリング優先。逆にすればベンチレーションが少なくなり空力を優先する状態を作り出せる。マグネットで取り付けられるようになっているので、着脱は簡単だ。

2つ目の特徴は、本体後部にあるテールライト。ヘルメットの内側に小型LEDが内蔵されており、それがクリアパーツに反射して広範囲を発光させる。頭部という高い部分が光ることでクルマからの被視認性を高めてくれるので、日が暮れてからのライドでも安全性が高まる。転倒時に衝撃から頭を守ってくれるのはもちろん、事故のリスクも減らしてくれる。ライダーの安全のためには何が必要なのかを追い求めたスペックといえる。

後頭部に搭載されるLEDは充電式のバッテリーを搭載しているので、電池交換の手間がないのも魅力。USBジャックから充電できる。例えば通勤で使用する時は、就業中に充電しておくことも可能。

 
本体中央にあるのがツイストキャップ。穴が正面に少ないこの状態はもっともエアロ効果が高い
本体中央にあるのがツイストキャップ。穴が正面に少ないこの状態はもっともエアロ効果が高い
ツイストキャップの前後をひっくり返した状態。ベンチレーションホールが前にくる
ツイストキャップの前後をひっくり返した状態。ベンチレーションホールが前にくる
ツイストキャップ単体はこのようなデザイン
ツイストキャップ単体はこのようなデザイン
ツイストキャップを外して、いちばんクーリング性能を高めた状態
ツイストキャップを外して、いちばんクーリング性能を高めた状態
リヤビュー。丸みを帯びたデザイン
リヤビュー。丸みを帯びたデザイン
テールライトを点灯させた状態。スイッチは本体内側にある
テールライトを点灯させた状態。スイッチは本体内側にある
レイザーのマーケティングマネージャーであるマイク・スミンク氏に話を聞いた。ライダーを守ることに心血を注いで開発していると語る
レイザーのマーケティングマネージャーであるマイク・スミンク氏に話を聞いた。ライダーを守ることに心血を注いで開発していると語る
ユーロバイクのレイザーブース。新製品の「センチュリー」が大きくアピールされていた
ユーロバイクのレイザーブース。新製品の「センチュリー」が大きくアピールされていた
ロード用ラインナップのほか、オフロードモデルもあるラインナップがずらり揃う。総合ヘルメットメーカーだ
ロード用ラインナップのほか、オフロードモデルもあるラインナップがずらり揃う。総合ヘルメットメーカーだ


century AF
センチュリーアジアンフィット

価格:1万7500円(税抜)
ベンチレーション:31個
重量:277g(M)
サイズ:S、M、L

※12月発売予定
ブルーブラック
ブルーブラック
レッド
レッド
フラッシュイエロー
フラッシュイエロー
マットブラック
マットブラック
ホワイト
ホワイト

エアロのトップモデルが「BULLET2.0」

カバーを前後にスライドさせることでベンチレーションを開閉できる
カバーを前後にスライドさせることでベンチレーションを開閉できる
空力性能をアップするレンズが付属する
空力性能をアップするレンズが付属する
エアロヘルメットのトップモデルが「バレット」。最大の特徴は「エアースライド」という機構だ。前面にあるハニカムホールをもつプレートを前後にスライドさせることで、ベンチレーションを開閉できるのだ。エアロヘルメットの空力とクーリングという両立の難しい2つの要素を同時に手に入れるべく考案された構造だ。

ベンチレーションから入った風は後方に効率よく抜け、ヘルメット内をクーリングするようにチャネルがデザインされており、走るシチュエーションに合わせて調整できるというわけだ。

 
本体前目にあるエアースライド。センチュリーAFとはちがいスライドするだけで空気の流量を調整できる。これはオープンの状態
本体前目にあるエアースライド。センチュリーAFとはちがいスライドするだけで空気の流量を調整できる。これはオープンの状態
エアースライドが閉じている状態
エアースライドが閉じている状態
バックル部分にはテールライトを装着することができるほか、頭部で心拍を測定できるセンサー「ライフビーム」や、平衡センサーを簡単に追加することが可能
バックル部分にはテールライトを装着することができるほか、頭部で心拍を測定できるセンサー「ライフビーム」や、平衡センサーを簡単に追加することが可能


BULLET2.0 AF
バレット2.0アジアンフィット

価格:2万7000円(税抜) ※クロームカラーのみ価格:2万8000円(税抜、1月発売)
ベンチレーション:8個+エアースライド
重量:315g
サイズ:S、M、L

※12月発売予定

 
クローム
クローム
マットブラック
マットブラック
レッド
レッド
ホワイト
ホワイト

トップレンジのひとつである「Z1」は、被視認性を向上

後頭部にバックル調整ダイヤルがないすっきりしたデザイン。ポニーテールでもヘルメットを被りやすい
後頭部にバックル調整ダイヤルがないすっきりしたデザイン。ポニーテールでもヘルメットを被りやすい
レイザーといえばこれ「アドバンスドロールシスシステム」
レイザーといえばこれ「アドバンスドロールシスシステム」

プロ選手たちも使用するトップレンジのオールラウンドモデルがこの「Z1」。31個のベンチレーションをもち、レイザーのアイコン的機構であるフィッティングシステム「アドバンスドロールシスシステム」を採用。これは頭頂部のダイヤルを回すと、ヘルメット内周にあるワイヤが引っ張られて、頭部全体を締めることから、高いフィット感を実現するシステム。他のヘルメットにある後頭部のダイヤルがないので、女性の場合ポニーテールにしてもかぶりやすいというメリットも。ラインナップで最軽量のモデルだ。

ユーロバイクではマイナーチェンジモデルが発表された。基本構造は同じだが、後部にテールライトを内蔵して被視認性を向上している。「プロ選手から、トレーニング中の安全性を高めたい」という要望を受けてのアップデートだという。

 
オプション装備のテールライト。クリアパーツ部分全体が光るようになっている。目立つが、見た目に溶け込むデザインでフォルムを崩さないのが魅力
オプション装備のテールライト。クリアパーツ部分全体が光るようになっている。目立つが、見た目に溶け込むデザインでフォルムを崩さないのが魅力

Z1
価格:2万2000円(税抜)
ベンチレーション:31個
重量:190g(S)
サイズ:S、M、L

 
マットブラックイエロー
マットブラックイエロー
マットブラックレッド
マットブラックレッド
マットチタニウム
マットチタニウム
ホワイトシルバー
ホワイトシルバー
マットブラック
マットブラック
マットブルーブラック
マットブルーブラック

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