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eバイクのサイクリングツアー 伊豆半島で実証実験

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静岡県伊豆市を拠点に自転車観光に取り組んでいるNPO法人「ステキな・ごえん」は、電動アシスト自転車(以下 eバイク)利用で巡る伊豆半島サイクリング実証実験の第2弾を12月5日に催行した。

発着は、伊豆箱根鉄道修善寺駅。女性サイクリスト4人が参加して船原峠越えの片道コース62kmを完走した。

 
修善寺駅前を出発。eバイクはヤマハのスポーティタイプ

第1弾は天城峠越えコース

実証実験第1弾のコースは、伊豆半島の縦断方向。11月14日に、伊豆市から旧天城峠越えで河津町まで40kmを走行、河津駅から下田駅まで伊豆急行のサイクルトレインを利用する行程で行われ、6人の男女が参加した。

主催は、修善寺駅前でレンタルサイクル施設「伊豆ベロ」を運営して自転車による観光に取り組んでいるNPO「ステキな・ごえん」。伊豆全体の観光と地域振興の組織「伊豆半島創造研究所(伊豆創研)」が協力した。

ごえん理事長の後藤順一氏によれば「バッテリー交換なしで走れた。新聞に載ったので反響があった」という。参加者からは「意外と楽だった、難しくなかった」という反応があった。

山坂が多い伊豆半島は自転車走行に不向きな地形だが、eバイクを利用して、バスや鉄道など公共交通と組み合わせればだれでも長距離サイクリングが楽しめる。こんな仮説に基づいた実証実験を行ったわけだ。
 

船原峠越えもeバイクでクリア

第2弾は、コースを半島横断方向にして、女性でも参加可能かを検証するために、参加者を女性に絞った。そのためスローペースの行程にして、見学メニューを組み込んで実施した。そのほか、実働するシステム作りとして、乗り捨てと配送、公共交通との連携の可能性、トンネル走行対策も検証した。

行程は、修善寺駅から国道136号線で南下して西に折れ船原峠へ向かう。峠は北側の旧道を通行。峠を下って西海岸の土肥(とい)へ、海岸線を南下して西伊豆町の宇久須、堂ヶ島を経て終点は松崎町。サイクリングは片道で、帰りは路線バスを利用する。スタッフは2人、自転車ガイドが1人と伴走する軽トラックの運転手が1人。参加者の荷物は軽トラックに積めるので、身軽な格好で走れる。

 
落ち葉が敷き詰められた船原峠旧道


出発した修善寺駅は標高54mで、587mの船原峠は標高587m。標高差が533mになる。さらに、西海岸では3箇所の長い上り坂が待ち構える。峠越えとアップダウンがある、サイクリング愛好者以外の人には厳しいコースだが、電動アシストの威力で、全員が乗車したまま上り坂をクリアした。

船原峠旧道は通行する車が少なく、まるでサイクリング専用道のよう。136号線にはトンネルが3箇所ある。それを避けられる旧道の選択は安全性の点でも正解。

峠を下って136号に合流した先にある「伊豆手作り菓子工房グリーンヒル土肥」で休憩。びわアンパン、椎茸パン、伊豆牛乳、ミルクプリン、牛乳ラーメンなど地元の産物を利用して作った食べ物を味わえる。

 
手作りのパン・菓子工房のグリーンヒル土肥

予備バッテリーに交換と見学中の充電

下りきった西海岸の土肥からは、駿河湾越しの富士ビューポイントが連続して現れる。ハンドルを取られるほどの強い西風が吹いたが、引き換えに富士山が北斎の浮世絵のように現れた。

ビューポイントの一つ、恋人岬で富士を背景に記念撮影ができた。ここまでで、バッテリー残量は20〜30%程度になっていたため、伴走車に積んできた予備バッテリーに交換。

 
恋人岬で予備バッテリーに交換
富士山のビューポイント恋人岬


見学ポイントは、西伊豆町田子にあるカネサ鰹節商店。百三十余年、かつお加工一筋の工房で、本枯れ節と保存食「潮かつお」の加工作業を見学することができた。腹を割いたカツオが壁一面に吊るされ、西伊豆名物の強風を浴びていた。
 
伊豆創研に所属しているカネサはバッテリーの充電ステーションとして協力。伴走車が先回りしてバッテリーを届け、見学時間中に充電した。

参加者が使用したeバイクはすべてヤマハの変速機付スポーティタイプ。1充電当たりの航続距離は、クロスバイクのYPJ-Cが22km、シティスポーツのパス・ブレイスが71㎞、同パス・ヴィエンタ5が54km(いずれも標準モード)。YPJ-Cは1時間でフル充電、ブレイスは30分で20%、ヴィエンタは同じく25%の充電が可能。

 
カネサで加工場を見学。潮かつお干場

ネットワークを駆使したツアーの構想

大田子で昼食の後、堂ヶ島、仁科を経て終点の松崎町に到着。修善寺駅を8時30分に出発し、途中、昼食を含め5回休憩して15時30分に到着。所要7時間だった。

松崎でやはり伊豆創研に所属している伊豆バスの営業所に自転車3台を預け、翌日に引き取ることに。残り3台は、軽トラックに積んで伊豆ベロへ持ち帰った。参加者は堂が島で海を赤く照らす夕日をバックに記念撮影したあと、堂ヶ島からバスに乗って修善寺駅へ戻った。

後藤さんは「修善寺から(eバイク利用で峠を越えて土肥へ行く(サイクリングツアーはできると感じた。土肥はクルージングがあるし、キビナゴやあじ寿司が名物。自転車・海・食を組み合わせたツアーを作りたい」という。今回のコース以外にも、富士ビューポイントである達磨山(だるまやま)と西伊豆スカイラインコース経由で土肥に至るコースも設定できるという。

「充電ステーションのネットワークは河津・土肥・下田にはできている。伊豆半島全体につなげて広めていく」後藤さんは、伊豆全体を視野に入れたスケールの大きなサイクリングの構想を抱いている。

text&photo:宮内 忍

 
山が海に迫る西海岸の仁科(にしな)
参加者の荷物と予備バッテリー運びをした軽トラック