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自転車旅人・西川昌徳「中南米縦断自転車旅レポート」第3弾 エルサルバドルに滞在中

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世界を自転車で旅し、学校講師の経歴を生かし、途中で授業も行う独自のスタイルで旅を続けている自転車旅人・西川昌徳さんからレポート第3弾が届いた。

2017年6月26日よりメキシコシティから自転車旅をスタートし、10月26日現在は中米エルサルバドルの首都サンサルバドルに滞在中。

メキシコ後、ベリーズ、グアテマラと旅し、現在の総走行距離は6363km。ここからホンジュラス、ニカラグア、コスタリカを経由し、中米最後の国パナマを目指す。


 

旅の概要

前回の旅を区切ったメキシコより、約6カ月かけて中南米大陸を縦断する自転車旅。 各地で起こる出来事や生まれる物語、その国の現実を共有するプログラムを西川さんが講師を務める小中学校で行う。LIVE でつなぐテレビ電話だけでなく、メッセージアプリを利用した生徒との直接的な会話やりとりや、動画のやりとりなどをすることで、よりリアルに近いかたちでその国の実情や旅を伝えることを目的とする。 
 

自転車旅のコンセプト

テント、調理道具などアウトドアで使用するキャンプ装備を持ちながら、最低限のパッキングサイズで旅をするための可能性を探る。具体的には、バイクパッキングと呼ばれる自転車に荷台を取り付 けず、フレームやハンドルにバッグを直接取り付けるパッキングスタイルを選ぶことにより、シンプルで軽く、走る場所を選ばない自転車旅の可能性を広げるスタイルでの長期ツーリングを確立する。 バイクは悪路での走破性もあり、オンロードでもしっかり走るKONA社のグラベルロード「ROVE ST」を使用する。 
 

学校授業のコンセプト

これまで実施してきた「世界を伝える」というコンセプトだけでなく、子どもたちの知らない世界への興味関心を生み出すきっかけづくりや、自分の思いや考えを表現するという部分をしっかりと育んでいけるよう、授業の枠にとらわれない関わり方を目指す。具体的には、子どもたちが自由に使える iPad のメッセージ機能を利用し教室と旅先の西川をつなぐ、直接的なコミュニケーション環境を作ったり、メッセージのやりとりだけでなく写真や動画のやりとりをすることでより分かりやすく伝えられる環境づくりを行う。インターネットテレビ電話での交流には状況に応じて、iPad、iPhoneを使い分けて実施。インターネット環境は現地キャリアSIMやWi-Fiを利用。 
 

旅の進捗状況


走行距離が 5000kmを越え、チェーンを交換。また 6000kmのタイミングでタイヤを交換した。ともに日本から受け取った装備。チェーンに比べ、タイヤは 35c 程度のグラベルロード用のタイヤは現地調達が難しいので、6000kmまで前後ローテーションし使用した。今回の旅の全走行距離の想定が 1万2000kmなので、交換したタイヤでゴールのペルーまで走り切れればと思う。

キャンプについて。中米での治安を考え、宿を確保できる場合は、宿を利用しながら旅を続けている。グアテマラシティへ向かう途中では、宿のある町がなく、現地のガソリンスタンドにキャンプのお願いをし、屋根のあるところでテントを張らせてもらった。この地域のキャンプでの安全性を考えると、誰もいないところでのキャンプよりも、ガソリンスタンド、民家、警察や消防署など24時間人がいる環境でのキャンプがベター。リスクを最小限に抑える手段を考え旅を続けている。
 

学校授業レポート

講師を務める群馬県伊勢崎市立北小学校・徳島県牟岐町立牟岐中学校とのLIVE授業を実施した。

【牟岐中学校】
実施日:2017年10月16日
ロケーション:グアテマラ 世界遺産アンティグア市街地のカフェ
対象:中学3年生

グアテマラの世界遺産に登録されている都市アンティグアの市街地より LIVE 授業を実施した。ロケーションは、通りに面したカフェ。Wi-Fi を利用し、カフェスタッフ・お客さんにもゲスト出演してもらいLIVE授業が実現した。ゲストは英語が話せる方々だったので、日本のことで知っていることはありますか?、どんなスポーツが人気ですか?、ポケモンは知っていますか?など中学生と現地の方との英語での質問のやりとりなどをすることができた。

【伊勢崎市立北小学校】
実施日:2017年10月25日
ロケーション:エルサルバドル・サンタアナ宿泊したゲストハウスより
対象:小学5年生

エルサルバドルの都市サンタアナのゲストハウスのオーナーamiさんにゲスト出演していただき、LIVE授業が実現した。授業のテーマは【ともに生きる】この日の授業に先立って、児童が学んだ世界の子どもたちの暮らしから、宗教や文化の違う世界とともに生きるためのアイデアを発表したり、彼らの日常を朝から学校、ごはん、習い事など実技を交えて紹介した。Amiさんが学校教員ということもあり、エルサルバドルの教育や課題についてもお話をしてもらった。情報でとらえる世界と、実際にその国で生きる人との交流を通して得られる世界との違いを感じてもらえたらと願う。
 

旅での出会い

キューバからメキシコに戻り、ベリーズ、グアテマラ、エルサルバドルへ。だんだんと治安の面でも気をつけなければいけないようになっているが、その上で、この国々の人たちは良い意味で僕の期待を裏切ってくれる。街を歩きながら、食堂で、自転車で走っている時に声をかけられて、たくさんの笑顔と優しさに人を信じるという気持ちが湧いてくる。

 

旅の心模様

キューバからメキシコに戻り、日本からのクレジットカード(現地で現金を引き出すために必要)を受け取るためにカンクンに滞在していたが、受け取りが予定より大幅に遅れた。その期間を利用し、島へ渡ったり、海へ潜ったり、釣りをしたりと普段の旅では、あまり機会のなかったことをやってみた。

なかでも自分の体と心に大きな変化が起こったことは、日々を丁寧に過ごすこと、そして料理。自分の心を見つめながら、丁寧にひとつひとつのことを行うこと、人のために気兼ねなく時間を使うこと、そして料理をすること。そうしているうちに、どんどんと体が、そして心の感度がしっかりしてくるように感じる。

ゆっくりものごとをこなすと、見えるものが変わってくる。小さな変化や、景色の移り変わりに心動くようになる。そして、人になにかをするときに損得を考えることが少なくなった。料理は、段取りを頭に描きながらひとつひとつこなしていくことで、毎日小さな冒険をしているようだし、同じ宿の宿泊客の分も料理を作っていたのだが、単純に誰かに喜んでもらえることがうれしい。そして、自分で選んで食材を買うこと、自分の手で刻み料理をすること、そしてシンプルな調味料で味付けすること。当たり前かもしれないけれど、こんなことを繰り返すうちに、どんどん味覚が冴えてくる、体の調子がよくなってくる、たくさん食べなくても満足できるようになり、体重も自然と落ちてきた。

体が調子よくあることで、心にも余裕が生まれる。心動くことで笑顔が生まれ、またそれが人との出会いにつながる。こんなに旅をしてきても、まだまだ発見があり、学ぶことがある。そのことが素直に嬉しい。

中米から南米にかけて、少し治安の面でも気をつけないといけない。しかし、SNSに寄せられる心配や不安の声を良い意味で裏切る素敵な出会いがたくさんある。治安や国の情勢とはなんだろう。それはもちろんその国の現状をあらわすことかもしれない。けれどそれはその国に生きる人「ひとりひとり」をあらわすものではない。じゅうぶんに気をつけながら、しかしそこに生きる人を信じながら、これから南米に向けての旅を続けていきたいと思う。こうして、自分の足で走り、出会うことができる環境に、そして支えてくださる方々に感謝をしながら。

 

自転車旅人・西川昌徳「中南米大陸縦断自転車旅レポート」
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