ニュース

ヒルクライマーたちの頂上決戦! 第32回マウンテンサイクリングin乗鞍

イベント
当日はこんなにも晴れ、どこまでも見渡せるようであった
今年もヒルクライマーたちがこぞって参加するマウンテンサイクリングin乗鞍が開催された。チャンピオンクラスは森本誠(GOKISO)の4連覇、一般女子クラスでは金子広美(イナーメ信濃山形)が6連覇と連勝記録を伸ばした。
text:滝沢佳奈子 photo:佐藤正巳、滝沢佳奈子
 

ヒルクライマーたちの祭典”乗鞍”

ゴール手前10mでチェーンを落としながらも優勝を手にした森本
各グループに分かれてスタートを待つ参加者たち
スタートでは、地元の学生が参加者たちをアルプホルンで激励
集団前方で様子を伺う森本

8月27日(日)、今年も”乗鞍”こと、マウンテンサイクリングin乗鞍が開催された。近年は、悪天候による短縮コースが続き、天気が心配されたが、なんと清々しいほどの快晴! 昨年に続く20kmのフルコース開催となった。しかも昨年よりもレースコンディションはさらに良い。コースレコードも狙えるほどの好条件で、風もなく、頂上から望める抜群の景色が参加者たちを待ち受けていた。


全部で11クラスに分けられた4433人がスタート地点で待つなか、朝7時、最初にスタートを切ったのは、毎年極限の闘いを繰り広げるチャンピオンクラス。優勝候補は、3連覇中の森本誠(GOKISO)だ。森本は、清宮洋幸(竹芝サイクルレーシング)、実業団では同チームの兼松大和(Team Green Road)、田中裕士(グランペールサイクリング)あたりのメンバーが最後まで残ってきて、独走はできないだろうと踏んでいた。

しかし、優勝候補筆頭の森本が第1チェックポイントの前でチェーンを落とすアクシデントに見舞われる。先頭の集団から15秒ほど遅れてしまい、それを全開で追うことになってしまった。「自分としては仕掛けるポイントだったりをいろいろ考えてたんですけど、まったく仕掛けるどころか……」と森本は話す。1kmほどで追いついたものの、すかさず前方でアタックがかかった。

そのグループにはマークすべき清宮や田中も含まれていた。森本は、「マジかと思って。そこは本当にやばいなと思いました。それで集団の前のほう行っても、皆追いたくても追えない状態になっていて。その二人行かせちゃったらもうだめだと思ったので、なんとか追って。それも結局中間点の前くらいには追いつきました。その時には僕後ろ見てないですけど、もう10人くらいにはなってたんじゃないですかね。

そこからは僕も追いついたはいいですけど、相変わらず限界の状態なので、なんとか危険な選手の飛び出しだけはマークして、できるだけ自分からは動かないでひっそりしとこうっていう感じで、それでゴールまで行ったらスプリントでいいかなと思ってました」と語る。

その後、13km地点の冷泉小屋付近で再び田中がペースアップの動きを見せる。そのペースについていくことができたのは森本と中村俊介(SEKIYA)だけであった。森本はこう振り返る。「意外でした。そこで兼松さんと清宮さんがいないのが本当に意外だったので、一気に自分のなかでは心が軽くなったというか、これはもうスプリントで行けるなと。後ろから追いつかれないように皆で回そうって言って、自分に有利なほうに持って行った」。

森本の思惑通り、ラスト200mに入ると森本が猛スプリント。2人は振り落とされる。しかし森本はその勢いでかゴール手前10mでまたしてもチェーンを落としてしまった。「もう何だかなって感じでしたね。落ちたのがゴール手前10mくらいだったので問題なかったかなと。最悪降りて走ればいいかなと思うくらい後ろは空いていたので」と余裕を持って森本が55分13秒でゴール。コースレコードまであと5秒の記録を叩き出した。
 

一般女子クラスは金子広美の圧倒勝利!

スタート直後は集団で走るもののすぐに独走に入る金子
後方を大きく突き放してゴールに飛び込む金子
続いてもチャンピオンクラスにほど近いタイムで競われる一般参加者Aカテゴリーがスタート。そのあとは一般女子カテゴリーがスタートしていった。ここでは、5連覇中の金子広美(イナーメ信濃山形)が過去のレコードタイムとの闘いをしていた。

スタートから先頭を走っていた金子は、序盤ですでに独走状態に入る。コースレコードは第22回に矢沢みつみが出した1時間8分10秒。金子は昨年、その記録をたった2秒上回ることができず、最高のコンディションで今年こそは、と意気込んでいた。独走のまま後ろが追いつくことなく、単独でゴール。記録は1時間10分57秒。歴代7位に入る記録となった。

優勝したものの、金子は浮かない表情をしていた。「もう全然だめですね。こんなに好記録が狙える天気なのに、上も全然風がなくて。去年より3分遅いです。いろいろ考えないとですね。私、集中しすぎていて、スタートの1分前に(計測用の)アンクルバンドをしていないことに気づいて、車に取りに行ってもらって、10秒前に装着したんです。そこから今日はもうダメでしたね。集中しすぎてたのもありますし、なんとなく自分のいい流れではなかったですね」とレース後に振り返った。
昨年と変えたことについて聞くと、「1週間前の調整方法を去年と変えました。自分に合わなかったみたいですね。脚が緩み過ぎて、最初から結構きつかったです。全日本が終わって、7月にチェコに遠征があって、ちょっと疲れすぎたので1週間ちょっと自転車に乗らなかったんですけど、それが悪かったのか……。難しいですね。この後ジャパンカップ(オープンレース)も(ツール・ド・)おきなわもあるので、リセットしないとです」と答えた。
 
火花を散らしたチャンピオンクラスの表彰台には大きな拍手が送られた
激戦を繰り広げたチャンピオンクラスのトップ6。国内屈指のヒルクライマーたちだ
一般女子クラスの表彰式。皆晴れやかな笑顔を見せた
もちろん乗鞍はタイムを競う人たちだけの大会ではない。多くの人が自身の限界に挑戦するとともに大会そのものを楽しんでいた。なかにはヒルクライムは大嫌いだけど森林限界を見たいがために参加を決めたと話す参加者もいた。
ロシアから十数人で参加していた人たちもロードバイクだけではなくMTBやミニベロなどで日本でも指折りの厳しさを誇るヒルクライムを満喫していた。下山してきた参加者たちは軒並み口をそろえて「また来年も参加したい!」と笑顔で話していた。
 
一般男子クラスも先頭はチャンピオンクラスのタイムに引けを取らないレース展開に
ロシアから団体での参加もあり、思い思いのスピードでヒルクライムを楽しんでいた
参加者たちが森林限界を超え、最高の景色が待つ頂上へ辿り着く

開催日時●2017年8月27日(日)
開催場所●長野県松本市
主催●マウンテンサイクリングin乗鞍実行委員会
問 マウンテンサイクリングin乗鞍