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「勝利は嬉しいがスッキリしない」全日本XCチャンプ山本幸平に聞く。

レース

ここ数年間を世界チームに所属しながら、9度目の日本人最強レーサーのタイトルを獲った山本幸平。今のその心持ちを、全日本の直後に聞く。

text: Koichiro Nakamura / photo: Ryuta Iwasaki

 

山本幸平(BH SRSUNTOUR KMC)。日本人最強のXCレーサーとして名高い山本だが、そのメインとなる活躍の場は海外であるため、彼の姿を、そしてその言葉を聞ける機会は日本では少ない。しかし山本は、海外で走るためのひとつの通行証とも言える日本チャンピオンのタイトルを獲得するため、全日本選手権には出場する。

この「勝利を義務付けられた」環境のなかで山本は、今日も9度目の勝利をし、またも最強の日本人となった。今シーズン前半は華々しい成績をまだ上げられていない彼だが、そんな状況でも日本では最強のライダーとなる実力を持つ。山本は、今年の全日本選手権でなにを感じたのか。今はどんな状況なのか。レース後のカコミインタビューでの山本幸平の言葉を掲載する。

 

勝利は嬉しいがすっきりしない


この勝利は正直にうれしいですが、なにかすっきりしない部分があるというのが正直なところです。ワールドカップを考えると、今日のような走りでは戦えないのが自分でわかっています。タイトルは獲れたのはいいのですが。世界を考えるとすっきりしないというのが正直なところです。

シーズン初頭からの不調を、修正が出来ていないということで今にいたっています。リオ五輪が終わってモチベーションが落ちたのは間違いないです。レースに対してのワクワク感というか、そういうのが落ちているのが正直な所です。

そういったメンタルな面が結果に大きく影響していると思いますので、東京オリンピックに向けて、自分自身が奮い立ってくれることを願っているという状況です。

今のワールドカップは、インターバルやダッシュ系が使われるコースレイアウトが多いんですね。今日の(富士見パノラマの)コースは、ワールドカップと比べたら、ものすごい上る箇所が長くて。ちょっと世界とは違うコースになっているので、そういう面も変化していきたいという希望もありますけれど。(コース内に)ショートのヒルクライムが多くなっているというのが状況です。そして、そういうカラダを作っていかないと闘えないというのはあります。

 

9月の世界選手権で今年最高の走りを

僕にとっても全日本選手権というのは特別で。勝つのは簡単ではないですよね。もう、プレッシャーというか、勝たないといけないというのもありますし。日本独特の湿気があったりしますので。でも海外レースではない、みんなの応援も多いので、そういう面で特別な想いがありますね。これまで9回勝ちましたが、毎回簡単ではなかったです。

レースが始まったら自分を信じるしかないので、周りを見て、状況を見て、勝つことしかできません。今回も絶対勝つために、そのために走ったということです。誰にも前に行かせないと決めていました。そこは絶対でした。

毎周回、少しずつ離していけばいいかなと思ったんですが、4周目に脚が攣ってしまって。そこで恩田さん(2位の恩田祐一選手)が差を縮めてきました。そこで水分とかをしっかりのんで、ラスト1周半、ペースを上げてゴールしたということですね。

9月の第2週(9月5〜10日)がオーストラリア・ケアンズでの世界選、去年、自己ベストの16位を取ったところで、3年前にスタート後の落車で胸の骨を折ったところ。だから最高と最悪の入り乱れる場所。あと1ヶ月ちょっと、しっかりと過ごして、そこで今年一番の走りを見せたいと思います。

 

山本幸平の2017年 主な戦歴

5月21日 UCIワールドカップ /チェコ・Nove Mesto na Morave 91位
5月28日 UCIワールドカップ /ドイツ・Albstadt 73位
6月18日 Argovia Vittoria-Fischer Bike Cup Lostorf 7位
7月2日 UCIワールドカップ/アンドラ公国・ヴァルノール 61位
7月9日 UCIワールドカップ/スイス・Lenzerheide 62位
7月23日 全日本選手権 優勝(9度目)