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イゾアール山頂ゴールのツール・ド・フランス第18ステージでマイヨ・アポワのバルギルが区間優勝

レース

第104回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月20日にブリアンソンから標高2360メートルのイゾアール山頂までの179.5kmでアルプス山岳最終日の第18ステージを競い、マイヨ・アポワを着たフランスのワレン・バルギル(チームサンウェブ)が独走で区間優勝した。彼は革命記念日にピレネーでも区間優勝していて、これが今大会2勝目だった。

マイヨ・ジョーヌを着た英国のクリストファー・フルーム(チームスカイ)は、総合を争うフランスのロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル)、コロンビアのリゴベルト・ウラン(キャノンデール・ドラパック)と区間3位争いの山頂スプリントを競い、区間4位でゴール。山岳最終日に総合首位の座を守りきった。

区間3位に入ったフランスのバルデは4秒のボーナスタイムを獲得。ウランを抜いて総合2位になった。
 
 
 
photo : Luca Bettini/BettiniPhoto©2017
photo : Luca Bettini/BettiniPhoto©2017
 
 
 
MAP : ASO
MAP : ASO
第18ステージは169選手が出走。5km地点でトマス・デヘント(ロット・スーダル)、アレッサンドロ・デマルキ(BMCレーシングチーム)、リリアン・カルメジャーヌ(ディレクトエネルジー)、エリー・ジェスベール(チームフォルテュネオ・オスカロ)がアタックし、集団は分断。9km地点で50人の集団が4人に追いつき、54人の先頭集団が作られた。

逃げ集団で最も総合成績が上位だったのはブリース・フェイユー(チームフォルテュネオ・オスカロ)で、33分32秒遅れの総合16位だった。最初の1時間の平均時速は46.1km/hで、チームスカイがコントロールするメイン集団と逃げ集団のタイム差は50km地点で5分になっていた。

60km地点のカテゴリー3の丘はデヘントが1位で通過。91.5km地点の中間スプリントはソンニ・コルブレッリ(バーレーン・メリダ)が先頭で通過し、ここでメイン集団とのタイム差は8分以上になっていた。

集団では、逃げ集団に選手を送り込めなかったボーラ・ハンスグローエが先頭を引き始め、ゴールまで残り68kmで7分半にまで差を縮めた。カテゴリー1のバール峠へと向かう上り坂で先頭集団は25人に減っていた。

バール峠の登坂が始まると、逃げ集団はセルジュ・パウエルス(ディメンションデータ)が先頭を引き、選手が次々と脱落。しかし、ロマン・シカール(ディレクトエネルジー)とアタプマがアタックすると、付いて行けたのはアレクセイ・ルツェンコ(アスタナプロチーム)とトニー・ガロパン(ロット・スーダル)だけだった。

ゴールまで残り50kmのバール峠山頂はルツェンコが先頭で通過。この時点で、今年のツールはバルギルの山岳賞総合1位が確定した。メイン集団はAG2R・ラモンディアルが引き、山頂で逃げとのタイム差を6分15秒までに縮めていた。

バール峠を下りきったところで先頭にはニコラ・エデとダニエル・ナバロ(コフィディス)、ツガブ・グルマイ (バーレーン・メリダ)、ロマン・アルディ(チームフォルテュネオ・オスカロ)が追いつき、遅れてリュディ・モラール(FDJ)、ディエゴ・ウリッシ(UAE・チームエミレーツ)が合流して10人になった。

しかし、最後のイゾアールへと向かう道はもう上り坂になっていた。残り23kmで先頭はエデ、ルツェンコ、アルディになり、6km先でアルディが遅れ2人になった。そして残り15kmになるとエデも遅れてしまい、先頭はカザフスタンのルツェンコ1人になった。

初めてゴールになったイゾアール山頂をフランスのバルギルが制した

ゴールまで先でカテゴリー超級のイゾアール登坂が始まったとき、逃げるルツェンコとAG2R・ラモンディアルが引くメイン集団のタイム差はまだ4分以上あった。

残り10kmで、逃げるルツェンコの後方には46秒遅れでガロパン、ナバロ、アタプマが追走していた。そこからアタプマが抜け出し、単独でルツェンコを追い始めた。イゾアールは後半の傾斜がよりキツく、残り7kmを切って勾配が10%を越えるとルツェンコは失速し始め、アタプマに追いつかれてしまった。

ゴールまで残り6kmで、先頭のアタプマが独走を始めた頃、2分後方を走っていたメイン集団からマイヨ・アポワのバルギルが弾丸のようにアタック。すぐにアルベルト・コンタドール(トレック・セガフレード)が付いて出た。このアタックで集団は崩壊し、チームスカイのミハウ・クフィアトコフスキーが先頭を引き始めた。

この日の逃げに加わっていたバウケ・モレマ(トレック・セガフレード)がコンタドールのエスコートに付いたが、バルギルはすぐに2人を置き去りにしてイゾアール山を駆け上がった。ゴールまで残り5kmで、アタプマとバルギルのタイム差は1分17秒にまで縮まっていた。

マイヨ・ジョーヌ集団ではダニエル・マーティン(クイックステップフロアーズ)が攻撃を仕掛けたが誰も反応せず、クフィアトコフスキーが先頭を引き続けて彼を吸収した。しかし、後方ではファビオ・アルー(アスタナプロチーム)が遅れ始めていた。

そこからチームスカイはミケル・ランダをアタックさせる奇襲に出た。アタプマが残り3km地点を通過した時、30秒後方にバルギル、50秒後方にランダ、そして1分5秒後方にマイヨ・ジョーヌ集団という展開になった。

その3km地点を通過する時、マイヨ・ジョーヌ集団ではバルデが攻撃を開始し、フルームとウランが応戦した。3人は前を走っていたガロパンに追いついたが、そこからフルームがアタック。彼はイゾアール峠の山頂まで残り2kmにあった息抜きのような下り坂を利用してバルデとウランに一瞬差を付けたが、すぐに追いつかれてしまった。

しかしそこで待っていたランダがフルームのアシストを開始。4人でイゾアール山頂を目指した。先頭では残り1.5kmでアタプマがバルギルに追い抜かれてしまった。この日コロンビアは独立記念日の祝日だったが、アタプマは祖国にツール区間優勝をもたらすことができなかった。彼はその代わりに敢闘賞を獲得した。

バルギルは後方の総合争いグループに30秒近い差を付けたままフラム・ルージュを通過し、そのまま独走でフィニッシュラインを通過した。彼はこの日の走りで、総合成績でも10位から9位へと浮上した。



■ツールで初めてゴールになったイゾアールを制したバルギルのコメント
「はっきり理解するのは難しい。僕は総合成績でコンタドールを抜いて1つ上に行きたくてアタックしたんだ。彼を蹴落とした後も進み続けたけど、前にまだ何人選手がいるのかわからなかった。ガロパンを捕まえた時、彼が最後の1人だと思ったんだけど、その後、アタプマが前にいるのを見つけた。

去年のツール・ド・スイスでは彼を打ち負かすことができなかったから、そのリベンジをしたいと思った。ここで勝つのは格別だ。まずはパリでマイヨ・アポワでいることを楽しみたい。そして僕はツール・ド・フランスに、総合争いをするために戻ってくるだろう」


■山岳最終日にマイヨ・ジョーヌを守ったフルームのコメント
「この大会で最も象徴的な上りで勝てれば素晴らしかったのは確かだが、僕の目標はマイヨ・ジョーヌだ。パリにマイヨ・ジョーヌで到着できたら、区間を1つも勝てなくても何の後悔もない。このツールで最も難しい部分はこれで終わった。我々はピレネーを越え、アルプスも越えた。

ウランは間違いなく僕の最大の脅威だ。総合を争う選手の中で、彼は次に最強のタイムトライアリストだ。しかも彼は29秒しか遅れていない。彼はマルセイユで注目すべき選手だと思っている」
 
 
photo : Herman Seidl/BettiniPhoto©2017
photo : Herman Seidl/BettiniPhoto©2017


■第18ステージ結果[7月20日/ブリアンソン~イゾアール/179.5km]
1 ワレン・バルギル(チームサンウェブ/フランス)4時間40分33秒
2 ダーウィン・アタプマ(UAE・チームエミレーツ/コロンビア)+20秒
3 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)+20秒
4 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)+20秒
5 リゴベルト・ウラン(キャノンデール・ドラパック/コロンビア)+22秒
6 ミケル・ランダ(チームスカイ/スペイン)+32秒
7 ルイ・メインティス(UAE・チームエミレーツ/南アフリカ)+37秒
8 ダニエル・マーティン(クイックステップフロアーズ/アイルランド)+39秒
9 サイモン・イエーツ(オリカ・スコット/英国)+59秒
10 アルベルト・コンタドール(トレック・セガフレード/スペイン)+1分09秒
11 ナイロ・キンタナ(モビスターチーム/コロンビア)+1分18秒
13 ファビオ・アルー(アスタナプロチーム/イタリア)+1分22秒
105 新城幸也(バーレーン・メリダ/日本)+23分50秒
■第18ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)78時間08分19秒
2 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)+23秒
3 リゴベルト・ウラン(キャノンデール・ドラパック/コロンビア)+29秒
4 ミケル・ランダ(チームスカイ/スペイン)+1分36秒
5 ファビオ・アルー(アスタナプロチーム/イタリア)+1分55秒
6 ダニエル・マーティン(クイックステップフロアーズ/アイルランド)+2分56秒
7 サイモン・イエーツ(オリカ・スコット/英国)+4分46秒
8 ルイ・メインティス(UAE・チームエミレーツ/南アフリカ)+6分52秒
9 ワレン・バルギル(チームサンウェブ/フランス)+8分22秒
10 アルベルト・コンタドール(トレック・セガフレード/スペイン)+8分34秒
12 ナイロ・キンタナ(モビスターチーム/コロンビア)+13分52秒
108 新城幸也(バーレーン・メリダ/日本)+3時間15分17秒
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):マイケル・マシューズ(チームサンウェブ/オーストラリア)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):ワレン・バルギル(チームサンウェブ/フランス)
■新人賞(マイヨ・ブラン):サイモン・イエーツ(オリカ・スコット/英国)
■チーム成績:チームスカイ(英国)
■敢闘賞:ダーウィン・アタプマ(UAE・チームエミレーツ/コロンビア)
(http://www.letour.fr/le-tour/2017/us/)
 
 
MAP : GEOATRAS / ASO
MAP : GEOATRAS / ASO
MAP : ASO
MAP : ASO
 
7月21日はアンブランからサロン・ド・プロバンスまでの222.5kmで今年最長区間の第19ステージが行われる。カテゴリー3の峠が序盤に2カ所、後半にも1カ所あるが、平坦区間に区分されている。
 
 

第18ステージのハイライト映像


Summary - Stage 18 - Tour de France 2017 投稿者 tourdefrance_en