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「ご朱印サイクルラリー」が開催される横須賀の魅力を実走レポート!

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お寺を巡ってご朱印を集める「ご朱印巡り」が、サイクルスタンプラリーと一緒になったイベントが4月28日より一か月間限定で開催される。その内容を探るべく、編集部員が訪れた神奈川県・横須賀市は自転車ならではの魅力が盛りだくさん!各観光スポットとともに紹介しよう。
text&photo:江里口恭平

ご朱印巡りを自転車で

横須賀市の鈴木さんと満願寺に到着
横須賀市の鈴木さんと満願寺に到着
こちらがスタンプラリーのチラシと満願寺の「三」のスタンプ。各寺ごとに番号が振り分けられている
こちらがスタンプラリーのチラシと満願寺の「三」のスタンプ。各寺ごとに番号が振り分けられている
ご朱印帳にご朱印を押してもらおう。スタンプラリーはこのご朱印帳とセットとなる
ご朱印帳にご朱印を押してもらおう。スタンプラリーはこのご朱印帳とセットとなる
運慶作と伝えられる観音菩薩と地蔵菩薩、不動明王、毘沙門天の仏像が立ち並ぶ
運慶作と伝えられる観音菩薩と地蔵菩薩、不動明王、毘沙門天の仏像が立ち並ぶ
現在静かなブームとなっている「ご朱印巡り」。ある土地に点在するお寺を巡って、そのお寺ごとのご朱印をご朱印帳に押してもらうことで「私は実際にそのお寺にお参りをしましたよ」という証明を受けることができるのがご朱印巡りだ。もともとは印を集めたご朱印帳を持っていることで極楽に行くときのパスポートになった、というのがその由縁だ。なんだかとっても遊び心あふれたことではないだろうか。さまざまな場所の寺院を巡ってスタンプを集めるなんて、まさに現代の「スタンプラリー」みたいなもの。旅ゴコロとコレクション欲が刺激されてしまうのは筆者だけだろうか。
そんな「ご朱印巡り」の「スタンプラリー」を「自転車」で巡ってもらおう。そんなアイデアを形にしたのが、神奈川県は三浦半島の中央部に位置する横須賀市だ。
 
横須賀市は4月28日~5月28日の一か月間、「ご朱印サイクルラリー」を開催する(関連記事はこちら)。132年に一度の三浦薬師如来・三浦不動尊の大開帳にちなんだイベントだ。それぞれのお寺ごとに定められたご朱印と一緒に専用のチラシにスタンプを集めると豪華記念品を手に入れることができるのだ。
そんな話が舞い込んできたサイスポ編集部。貴重な仏像が見れるということでテンションが上がった編集部員が、さっそく横須賀市に足を伸ばした。


京急・北久里浜駅まで輪行し、今回の案内役となる横須賀市役所観光企画課の鈴木さんと合流。自転車で南下して少し道をそれると、竹林が風に揺られる音と景色が静かに広がる満願寺に到着だ。ここでご朱印とスタンプをゲットする。
住職に話を聞くと、この横須賀は鎌倉からほど近く、鎌倉幕府成立の立役者である三浦一族ゆかりの寺には、貴重な仏像郡や立派な寺院が残る。
奥の収蔵庫へ進むと、三浦不動尊第三番の不動明王に出会える。この満願寺には仏師・運慶作と伝えられる仏像が立ち並び、国の重要文化財にも指定されている。これらの仏像を見るだけでも訪れる価値がある。
また、​毎月第1日曜日には境内で座禅会も行われており、座禅を体験することができる。今回は筆者も特別に座禅体験を受けてみた。ゆっくりと深呼吸して座禅を組むと、まるで風の音や遠くの人の動きが自分の中から聞こえてくるよう。朝イチからすっきりした気分で、次のライドへ出発だ。
 
くりはま花の国ではこれからポピーが一面に広がる
くりはま花の国ではこれからポピーが一面に広がる
三浦半島の各地に設置されている「マイルストーン」。こちらは水仙。それぞれをまわって写真に納めたい
三浦半島の各地に設置されている「マイルストーン」。こちらは水仙。それぞれをまわって写真に納めたい
道沿いのコンビニにはサイクルラックだけでなく、ポンプや緊急用修理キットが用意されている
道沿いのコンビニにはサイクルラックだけでなく、ポンプや緊急用修理キットが用意されている

渡し舟に乗って願いを叶える神社へ

こちらは浦賀港西側の「西叶神社」
こちらは浦賀港西側の「西叶神社」
左が西叶神社の袋、右は東側の勾玉
左が西叶神社の袋、右は東側の勾玉
浦賀の渡しは乗船場にあるボタンを押すと対岸からすぐに来てくれる
浦賀の渡しは乗船場にあるボタンを押すと対岸からすぐに来てくれる
自転車を固定して、対岸へ進む
自転車を固定して、対岸へ進む
満願寺を出ると、鈴木さんは「横須賀は寺院も良いですが、神社にも面白い場所がありますよ」とのこと。江戸末期にペリーが上陸した久里浜港を抜け、浦賀の港へ。西叶神社を訪れた。
名前からしてイチオシのパワースポットのこの神社、浦賀港の対岸には対になっているとされる東叶神社がある。西叶神社で勾玉(まがたま)を、対岸の東叶神社で巾着を手に入れると、その願いが「叶う」というのがこの横須賀では有名な話。

ちなみに西岸から東岸まで行くにはぐるっと遠回りして地道で対岸まで行くのも良いけれど、せっかくなら渡し舟に乗ってみよう。
「浦賀の渡し」は現在も地元の人に利用されている渡し船。自転車も乗せて運んでくれるので、ちょっとした寄り道にぴったりだ。ものの3分で向こう岸に到着するが、何とものんびりした気分を味わうことができる。
 

東京湾ならではのグルメとアートに寄り道

味美食堂の穴子天丼はどんぶりに収まりきらないサイズ
味美食堂の穴子天丼はどんぶりに収まりきらないサイズ
名所・観音崎を抜けてそろそろおなかが空いてきた頃。鈴木さんにちょっと穴場はないかと尋ねてみると、「地元の人もイチオシの、食堂がありますよ!」と連れてきてくれたのは、走水の「味美食堂」。
知らずに走っていると気づかないような食堂に入ってみると、お昼時ということもあるがほぼ満席。これは期待が高まるとそわそわしていると目の前に出てきたのは、東京湾でとれた穴子の天丼。しかもどんぶりからはみ出してしまうような巨大さだ!

一口でかぶりつくと、てんぷらのサクサクの衣と中の肉厚でふわりとした穴子がベストマッチ。しかもお値段は880円ときた。これはもう走って腹を減らしたサイクリストにはたまらない。他にも新鮮な海鮮を使った刺身や、常連さんにはアジフライも人気という。これを目当てでサイクリングというだけでも来る価値アリだ。
 
横須賀美術館外観
横須賀美術館外観
館内の丸窓から東京湾を眺めていると、大小さまざまな船が入り込んでは過ぎて行く
館内の丸窓から東京湾を眺めていると、大小さまざまな船が入り込んでは過ぎて行く
店を出て少しのんびりした気分になってきたところで味美食堂からすぐの横須賀美術館に寄り道だ。開演10周年を迎えるこの横須賀美術館は、後方は観音崎公園の新緑が控え、前方には東京湾が広がる絶好のロケーション。ガラスを一面に使った開放的な構えももちろんだが、内部から大小さまざまな丸穴越しに見える海は、特別な清々しさを感じることができる。

展示の中心となるのは近・現代日本美術となり、横須賀市にゆかりのある谷内六郎をはじめとした作家による絵画作品が展示されている。それら所蔵作品の常設展だけでなく、北欧家具などのデザインから現在のアーティスト、絵本の世界など、幅の広い層が楽しむことができる内容の企画展も年6回開催。
どんなタイミングで訪れても、新しいアート体験を味わえる。
ちなみに美術館正面には東京・広尾の有名レストランのシェフがプロデュースした「レストラン・アクアマーレ」が据えられており。こちらでサイクリング中のちょっと一息にも使えそうだ。

世界三大記念艦三笠と異国情緒あふれる町へ

世界三大記念艦「みかさ」。100年以上前は実際に航行していた
世界三大記念艦「みかさ」。100年以上前は実際に航行していた
世界三大記念艦三笠では、実際の艦内の紹介だけでなく「艦隊コレクション展」なども開催されている
世界三大記念艦三笠では、実際の艦内の紹介だけでなく「艦隊コレクション展」なども開催されている
海風が気持ちの良い海岸線を北上していくと、横須賀の市街地区間に入る。少し裏道に入るだけでアメリカンな店構えが並んでおり、港を眺めると日本の自衛艦や米軍の空母が停泊している姿が。ゴールの横須賀駅はもう目前だが、ここでもう一つ寄り道。英国の「ヴィクトリー号」、米国の「コンスティチーション号」に並んで世界三大記念艦に数えられているのが「三笠」だ。
約100年前の日露戦争時に活躍した三笠がそのまま保存されており、その内部を実際に見て回ることもできる。これはまたマニアにはたまらない。潮風に最上艦橋から東京湾を一望すると、航行していた当時の雰囲気が伝わってくる。当時世界最大級だった30センチ主砲は大迫力だ。

最後に三笠からすぐそばの「よこすかポートマーケット」でサイクルラリーの記念品を受け取ろう。スタンプが1つ以上で、人気アニメ「ろんぐらいだぁす!」のオリジナルビニールバッグが先着1000人にプレゼントされる他、スタンプの数によってメリダ製のクロスバイクの抽選券などを手に入れることができる。

 
今回走った距離は40km程度。けれど1日を使っても周り切れないくらい、濃密な見どころが多かった横須賀。次の大型連休の行き先をまだ迷っているなら、この記事を参考にしてあなただけの横須賀ライドを楽しんではいかがだろうか。

横須賀の情報はこちらから
「よこすかポートマーケット」の案内カウンターでスタンプラリーのチラシと記念品を交換
「よこすかポートマーケット」の案内カウンターでスタンプラリーのチラシと記念品を交換
ゴールのJR横須賀駅には自転車専用の作業スペースが設けられている。ここで輪行のパッキングを行おう
ゴールのJR横須賀駅には自転車専用の作業スペースが設けられている。ここで輪行のパッキングを行おう