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自転車活用推進法案が国会で可決、成立へ――自転車活用の意義を明記

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自転車活用推進法案の採決が9日に参院本会議で行われ、全会一致で可決し成立した。基本理念として、自転車の活用が「公共の利益の増進に資する」と初めて法で定義した。公布から半年以内に施行される。国に新たに設けられる自転車活用推進本部を司令塔に、国や自治体が自転車活用推進計画をまとめ、実行するしくみだ。

「自転車道の整備」など15項目を重点実施へ

自転車活用推進法案が9日、参院本会議において全会一致で可決成立した(Wikimedia Commons.)
自転車活用推進法案が9日、参院本会議において全会一致で可決成立した(Wikimedia Commons.)
自転車活用推進法では、自転車の活用が公共の利益を増進するとの基本理念にのっとり、自転車活用のための施策を進めることを国や自治体の責務として定めている。
また、そのための重点施策として◇自転車専用道路や自転車専用通行帯などの整備◇路外駐車場の整備によるパーキングメーター等(時間制限駐車区間)の削減◇シェアサイクル施設の整備◇自転車競技施設の整備◇自転車を活用した国内外からの観光客誘致の促進、など15項目を行うとした。

この内、路外駐車場の整備によるパーキングメーター等の削減は、路上駐車が自転車の車道左側通行の妨げになっていることから盛り込まれた。
さらに同法は、上記の施策を進めるため、国や自治体が目標、法制上および財政上の措置などを定めた「自転車活用推進計画」を定めることとしている。このほか、5月を「自転車月間」とし、5月5日を「自転車の日」とすることも定められた。また法案では当初、自転車活用推進本部の設置期間を10年としていたが、成立した条文では削除されている。

同法の施行にともない、自転車の利用環境が短期的に変化することはないとみられる。しかし、同法の成立を支援してきたNPO自転車活用推進研究会の小林成基理事長は、成立の意義を「自転車の利用が公共の利益に資する、と法で初めて明文化されたことで、自転車が路上の厄介者とは見なされなくなることが期待される」と指摘。その上で、「自転車利用に市民権が生まれた」と評価した。(斉藤円華)


NPO自転車活用推進研究会
http://www.cyclists.jp/index.html

 
同法では重点施策として、路外駐車場の整備によるパーキングメーター等(時間制限駐車区間)の削減が盛り込まれた(Wikimedia Commons.)
同法では重点施策として、路外駐車場の整備によるパーキングメーター等(時間制限駐車区間)の削減が盛り込まれた(Wikimedia Commons.)