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奇跡の島 隠岐アースライド試走会レポート

イベント


隠岐ユネスコ世界ジオパークに認定され、手つかずの自然が数多く残る隠岐諸島。同地が、サイクリングに適した地であることを全国に発信するための試走会の模様を、隠岐諸島のエリアガイドと合わせてお届けする。

text●本誌・西村裕貴 photo●本誌・西村裕貴/佐々木哲平/隠岐観光協会
主催者●松江・境港・隠岐観光振興協議会
企画・運営協力●NPO法人サイクリストビュー
開催日●2016年10月1日(土)~2日(日)
隠岐アースライド試走会HP http://plusvalue.co.jp/okiearthride/

 
本大会では全長100kmコースが予定されているが、今回の試走会では短縮版のコース(青色)約80kmを試走した。
 

世界ジオパークを走る

今回の旅の玄関口、おき西郷港。妖怪の像がお出迎え
今回の旅の玄関口、おき西郷港。妖怪の像がお出迎え
スタート地点の西郷港で集合!今回、島根県内の参加者を中心に約20名が参加。全員が見事に完走した
スタート地点の西郷港で集合!今回、島根県内の参加者を中心に約20名が参加。全員が見事に完走した


まだ残暑が続く10月最初の週末。島根県の沖合に浮かぶ隠岐・島後(隠岐の島町)を舞台に「奇跡の島 隠岐アースライド試走会」が行われた。島後の観光を含む2日間の日程で開催され、島根県内から来た参加者を中心に約20人が島後を試走した。

今回の試走会は、2015年に隠岐エリアが「ユネスコ世界ジオパーク」に認定されたことをきっかけとし、同エリアがサイクリングに適した地であることを全国に発信したいという思いから実現。ユネスコ世界ジオパークとは「大地の公園」を意味し、ユネスコが世界的に価値のある地質や地形を含む地域を認定。国内では隠岐以外にも、熊本の阿蘇地方など計8地域が認定されている。

試走は島後エリアの拠点港、西郷港を出発し、島の海岸線を時計回りに一周する約80kmのルートで実施。今回実走したコースは、実際のイベント時とは若干異なっているが、獲得標高が1500mを超え、走り応えのあるルートだ。隠岐では毎年6月に約100kmを走破する「隠岐の島ウルトラマラソン」が開催されており、今回のコースはそのコースをアレンジしたものとなっている。
 
スタート地点の西郷港を出発
スタート地点の西郷港を出発
西郷港のランドマーク的存在「西郷大橋」を渡る
西郷港のランドマーク的存在「西郷大橋」を渡る

奇跡の島を実走!

朝6時に西郷港を出発し、第1エイドである那久(なぐ)岬までの約30kmの区間は緩やかなアップダウンが続く。第2エイドのホテル海音里(うねり)を過ぎると、途中手掘りの福原トンネルを通る。通常は通行止めだが、今回は町のご厚意で特別に通行可能になった。ここを過ぎると今回のコースで最大の難所である5km程度の上りが続く。

ピークを過ぎると、第3エイドのさざえ村までは一気に下る。さざえ村を過ぎるとゴールまでは約25kmで、島東部の海岸線の絶景が続く道だ。後半も小刻みなアップダウンが続くので、前半で脚を使いすぎないようにしたい。12時には全員がゴールの西郷港に到着し、試走会は終了。

島後を走ってみた率直な印象は、道路舗装状態がいいこと。路肩幅が広い道が多く、クルマや信号も少ない。まさにサイクリスト向けの道といえる。ルート上にはトンネルが10か所以上あるので、ライト類は必ず持参しよう。

関係者によると、今回走ったルートを参考とし、来年秋には「第1回隠岐アースライド」開催を計画中という。来年の本大会も要チェックだ!
 
福浦トンネル付近の手押し区間を進む。入り江は「隠岐ブルー」とも呼ばれる美しい色だ
福浦トンネル付近の手押し区間を進む。入り江は「隠岐ブルー」とも呼ばれる美しい色だ
福浦トンネルは土木遺産にも認定されている手掘りのトンネル
福浦トンネルは土木遺産にも認定されている手掘りのトンネル
沿道には稲を干すために竹や木を使ってくんだ「ハデ干し」という  光景が見られた。このエリアの伝統的な製法だ
沿道には稲を干すために竹や木を使ってくんだ「ハデ干し」という  光景が見られた。このエリアの伝統的な製法だ
隠岐諸島は150以上もの神社が建てられており、「隠岐作り」と呼ばれる独特の建築方法を採用。布施地区にある春日神社前を通る。
隠岐諸島は150以上もの神社が建てられており、「隠岐作り」と呼ばれる独特の建築方法を採用。布施地区にある春日神社前を通る。

「隠岐をサイクリストの聖地にしたい!」

今回のサイクリングで走行した隠岐の島町観光課の吉田隆さんに、島の魅力について語っていただいた。

隠岐は、路面状況もすごく良く、信号やクルマも少ないので、自転車乗りにとって最適な環境だと思います。そしてなんといっても人の温かさは島の自慢です。今回の試走は島後だけでしたが、今後は島前や、境港、松江とも連携してやっていきたいです。」

「隠岐では、ウルトラマラソンというイベントを11年もやっているので、島民の間にイベントのノウハウが蓄積されています。当エリアでは今後サイクリング大会を開催すると同時に観光協会のほうでレンタサイクルを実施する予定です。またいずれはブルーラインも整備していきたいと考えています。」

島後エリア以外にも、隠岐周辺には魅力的なエリアが盛りだくさん! 圏域の観光情報やアクセス情報は下記リンクをチェックしてほしい!

松江市観光情報  http://www.kankou-matsue.jp/
境港市観光情報  http://www.sakaiminato.net/
隠岐観光情報   http://e-oki.net/

 
眼下に島前の島々が広がる絶景ポイント、那久(なぐ)岬。今回のエイドスポットでもある。
眼下に島前の島々が広がる絶景ポイント、那久(なぐ)岬。今回のエイドスポットでもある。
西郷港からの出港時には、職員総出で紙テープの見送り!
西郷港からの出港時には、職員総出で紙テープの見送り!
貝の海苔巻きと貝(にいな)の汁物。島の特産物を味わえるのもうれしい
貝の海苔巻きと貝(にいな)の汁物。島の特産物を味わえるのもうれしい

隠岐諸島とは?

島根半島の北方約50kmに位置する約180の島から構成され、有人島である4つの島を中心に島後(どうご)、島前(どうぜん)という2エリアに分けられる。知夫里島(知夫村)、中ノ島(海士町)、西ノ島(西ノ島町)の3島と島後(隠岐の島町)からなる。4島を合わせた人口は2万1000人で、総面積は約350kmだ。