ニュース

真夏のお台場で自転車を満喫!湾岸サイクルフェスティバル2016 レポート

イベント
7月30日(土)、31日(日)の2日間。東京お台場にあるシンボルプロムナード公園セントラル広場にて湾岸サイクルフェスティバル2016が開催された。

30日はキッズレースから学連のシリーズ戦、31日はJBCF主催の湾岸クリテリウムやレジェンドたちが参加するスペシャルステージが行われ、多くの来場者が訪れた。2日間合わせて3万8700人の観客数を動員し、真夏のビッグイベントは大きな盛り上がりを見せた。


 

2011年に初開催を迎えてから毎夏恒例のイベントとなった湾岸サイクルフェスティバル。6回目の開催となった今年は、ダイバーシティ東京の真横に1周800mのコースが設置され、ガンダム立像が見下ろす中でそれぞれのレースが行われた。夏休み期間中ということもあり、終始多くの人で賑わった。

30日には小学生、中学生のレースや学連主催の全日本学生ロードレース・カップ・シリーズ第5戦が開催された。キッズレースでも通過時に風を感じるほどのハイスピードな展開。炎天下にも関わらず懸命に勝負をする姿を見て、観客の声援にも熱がこもっていった。

 
キッズ・スポーツ高学年の部で後続を引き離して優勝したのは女の子
キッズ・スポーツ高学年の部で後続を引き離して優勝したのは女の子
キッズ・ロード低学年の表彰式
キッズ・ロード低学年の表彰式


31日午前中には実業団のE1カテゴリーの決勝戦が3組に分けて行われた。シリーズ戦通して活躍を見せている弱虫ペダルサイクリングチームがここでもひときわ大きい存在感を見せた。3組とも展開の仕方は異なるものの、弱虫ペダルのメンバーが集団を牽引、あるいは逃げに乗るという展開で、強さを見せつける。

1組目は少人数で何度か逃げを試みるものの、集団がなかなか抜け出すことを許さず、最後まで集団のままスプリントゴールになると思われたが、LinkTOHOKUの渡邊正光が最後に鋭いコーナリングで集団を引き離して優勝。

2組目は序盤に弱虫ペダルの大場政登志を含む少人数で逃げが決まり、その後元全日本TTチャンピオンでもある大場がさらにそこから単独での抜け出しを図る。中盤になるといったん集団に飲み込まれるが、終盤にまた大場を含む3人での逃げが決まる。3人は息のあったローテーションで集団を引き離していき、逃げ切りが濃厚となる。一人だけ重いギアを踏み続けていた大場が最終周回でそれまで続いていた均衡を打ち破り、逃げ切って勝利を手中に収めた。

 
E1決勝1組目、渡邊が集団から抜け出し一番にゴールラインを切る
E1決勝1組目、渡邊が集団から抜け出し一番にゴールラインを切る
E1決勝2組目、大場が逃げ切りを決める
E1決勝2組目、大場が逃げ切りを決める
下りではクラウチングスタイルで集団とのタイム差を広げる岡
下りではクラウチングスタイルで集団とのタイム差を広げる岡
E1決勝3組目、岡が安定して圧倒的な強さを見せつける
E1決勝3組目、岡が安定して圧倒的な強さを見せつける
途中落車もあったが逃げ切った長塚が2位でゴール
途中落車もあったが逃げ切った長塚が2位でゴール
フェミニンツアーでは日本体育大学の岡本二菜がスプリントで差し切り笑顔を見せる
フェミニンツアーでは日本体育大学の岡本二菜がスプリントで差し切り笑顔を見せる


午後からはJプロツアーの予選が3組に分けて行われた。30周回で行われる予選でそれぞれ上位13人ずつが勝ち上がり、39人が決勝戦へとコマを進めた。

Jプロツアーの予選と決勝の間の時間には、シマノレーシングの野寺秀徳監督、マトリックスパワータグの安原昌弘監督、宇都宮ブリッツェンの廣瀬佳正GM、なるしまフレンドレーシングチームの藤野智一、弱虫ペダルサイクリングチームの唐見実世子、今中大介、栗村修、安田大サーカスの団長安田というなんとも豪華な8人による10周回でのスペシャルステージが行われた。

なかなか見られないメンバーがスタートラインに並ぶということで多くの観客が詰めかけた。レジェンドたちも久々のレースに緊張の面持ちで、Jプロツアーの予選そっちのけで自分のレースのためにアップをするという人も(笑)。レースが始まるとにこやかだった表情が次第に勝負の顔に変わっていく。中盤になると、唯一現役選手である唐見が切れ味のある単独アタック。数周回単独で逃げ続けるが、集団から栗村が飛び出し、勢いそのままに集団に唐見が捕まる。最終周回、集団から抜け出し、大きくガッツポーズを見せたのは、会場で行われた1着予想投票でも一番人気であった廣瀬だった。

 
スペシャルステージでフライングで飛び出し、総ツッコミを食らうマトリックスパワータグの安原昌弘監督
スペシャルステージでフライングで飛び出し、総ツッコミを食らうマトリックスパワータグの安原昌弘監督
スペシャルステージでは宇都宮ブリッツェンの廣瀬佳正GMが現役さながらのガッツポーズでゴール
スペシャルステージでは宇都宮ブリッツェンの廣瀬佳正GMが現役さながらのガッツポーズでゴール


気温は30度を超え、照りつける日差しがジリジリと肌を焼き付けたかと思えば雨が降ったり。時折風も強く吹き付け、コロコロと変わる天候の中、湾岸サイクルフェスティバル最後のレースとなるJプロツアー決勝が始まった。予選で全員が残り、出場チームの中で最大の人数を揃えたチームUKYO。対するは1戦前の石川ロードレースまでチーム総合1位を奪取していた宇都宮ブリッツェン、また、個人総合1位の座をキープするマトリックスパワータグと見られた。

40周回で争われる決勝は、チームUKYOが序盤から集団を牽引し続け、なんとラスト3周まで一人のアタックも逃さない完全なコントロール配下に置かれた。Jプロツアーでは群馬CSCでの2日間連続優勝以来の出走となったチームUKYOの最強スプリンター、ジョン・アベラストゥリのために完璧なレース運びがなされていった。

その均衡を崩しにかかったのはブリッツェンの増田成幸。ラスト2周、緩い上り勾配でアタックを仕掛け、すかさずUKYOのメンバーが反応する。しかし、時同じくして集団後方でコース内に設置されていたカラーコーンが強風で飛び、ウォークライド・シクロアカデミアの小室雅成らがそれに絡む形で大きな落車が発生してしまう。これによってレースはニュートラルの状態になり、一時中断。協議の結果、残り周回数も鑑み、落車発生場所付近から再スタートして5周回で争われることになった。

再スタート後、前方に位置取るのはやはりUKYOとブリッツェンとマトリックス。増田がチームメートの鈴木譲や阿部嵩之を連れ、ペースを上げる。しかし、しっかりとそのペースについていくUKYOのアシスト陣。そのままラスト1周を迎え、もう雨は降らないだろうと思われた青空から一転、大粒の雨が降り始めた。

最後のコーナーを一番最初に抜けてくるのは一体誰なのか、多くの観客が身を乗り出して注目する。最初に姿を現したのはUKYOのグアルディオラ・サルバドールだった。後ろにつけていたアベラストゥリが発射する。阿部、鈴木譲がスプリントをかけるもアベラストゥリとの差はみるみる広がっていく。フィニッシュライン数m手前で後ろを振り返り、勝利を確信したスプリンターは両手を高々と上げてゴールラインを切った。(text&photo:滝沢佳奈子)

 
完全なチームUKYOの支配下で終盤までレースが進む
完全なチームUKYOの支配下で終盤までレースが進む
ラスト1周、ペースを上げる増田と鈴木譲
ラスト1周、ペースを上げる増田と鈴木譲
強烈なスプリントを見せつけジョン・アベラストゥリが優勝
強烈なスプリントを見せつけジョン・アベラストゥリが優勝


名称:湾岸クリテリウム 2016
開催日程:2016年 7月30日(土)・31日(日) 
会場:東京都シンボルプロムナード公園セントラル広場・特設コース/1 周 800m(東京都江東区青海 1 丁目) 
参加費:1000円〜6480円
詳細 http://www.jbcf.or.jp/races/20160731_id=8404

主催:湾岸サイクルフェスティバル実行委員会、一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟、日本学生自転車競技連盟 
競技主管:一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟、日本学生自転車競技連盟
協力:東京都自転車競技連盟