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ツール第18ステージのアップヒル個人TTでマイヨ・ジョーヌのフルームが区間優勝!

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マイヨ・ジョーヌの貫禄を見せつけたフルーム(Photo: YAZUKA WADA)
マイヨ・ジョーヌの貫禄を見せつけたフルーム(Photo: YAZUKA WADA)
第103回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月21日にサランシュからメジェーブまでの17kmでアップヒル個人タイムトライアルの第18ステージを競い、マイヨ・ジョーヌのクリストファー・フルーム(スカイ)が、オランダのトム・ドゥムラン(ジャイアント・アルペシン)に21秒差を付けて区間優勝した。

フルームはピレネー2日目の第8ステージでも区間優勝していて、これが今大会2勝目となった。



ライバルたちに大差を付けて終盤戦を迎えたフルームは「残り2日で大きなアドバンテージを持っていると思う。マイヨ・ジョーヌをキープしているけれど、これからの2日間は本当にタフだ。重要なのはトラブルを回避することだ。僕は山岳ステージで勝とうとするつもりはないよ」と、語っている。
 

ドゥムランVSマイヨ・ジョーヌ

最終走者のフルームに負けてしまったドゥムラン(Photo: YAZUKA WADA)
最終走者のフルームに負けてしまったドゥムラン(Photo: YAZUKA WADA)
TTでも好調だったポート(Photo: YAZUKA WADA)
TTでも好調だったポート(Photo: YAZUKA WADA)
アルーも期待以上の走りを見せた(Photo: YAZUKA WADA)
アルーも期待以上の走りを見せた(Photo: YAZUKA WADA)
第18ステージはスイスからフランスへ戻り、オート・サボワ県のサランシュが個人タイムトライアルのスタート地点だった。

サランシュは1980年にロードレースの世界選手権が行われた町で、今回6.5kmで通過する第1計測ポイントのドマンシーの丘は、当時優勝したベルナール・イノーがアタックしてライバルたちを引き離した場所だった。

その記念として、ドマンシーの丘にはベルナール・イノー賞がかけられ、トップタイムで通過した選手には5000ユーロの賞金が贈られた。

17kmのアップヒル個人タイムトライアルには177選手が出走。リオデジャネイロ・オリンピックの準備を始めるために、スイスのファビアン・カンチェッラーラ(トレック・セガフレード)が出走しなかった。

前日に落車したニュージーランドのシェーン・アーチボルド(ボーラ・アルゴン18)は、ゴール後の検査で骨盤の骨折が見つかり、スタートすることができなかった。

75選手がまだゴールしていない時点で、31分46秒のタイムで暫定トップに立ったのはスペインTTチャンピオンのヨン・イサギレ(モビスター)だったが、ベルギーのトーマス・ドヘント(ロット・ソウダル)にたった1秒差で抜かれてしまった。

しかし、ドヘントがホットシートに座っていられたのは、第13ステージの個人タイムトライアルを制したドゥムランがゴールするまでだった。オランダTTチャンピオンのドゥムランは、ドヘントよりも41秒速い31分04秒で暫定トップに立った。

第1計測ポイントのドマンシーの丘(6.5km)で、最初にドゥムランのタイムを9秒上回ったのは絶好調のリッチー・ポート(BMC)だった。最終走者だったマイヨ・ジョーヌのフルームも、ポートより23秒遅れで“イノーの丘”を通過し、5000ユーロの賞金はポートが獲得した。

しかし、10km地点の第2計測ポイントでは、ポートはドゥムランのタイムより10秒遅れていた。結局彼はドゥムランよりも12秒遅れでゴールした。

ドゥムランの今大会3度目の区間優勝の夢が消えたのは、フルームが13.5km地点の第3計測ポイントで、彼の通過タイムを13秒上回っていた時だった。序盤慎重だったフルームは、第2計測ポイントでドゥムランに10秒遅れていたのだが、いっきに20秒以上ひっくり返していたのだ。

結局マイヨ・ジョーヌのフルームは、ドゥムランよりも21秒速い30分43秒でゴールに飛び込み、ガッツポーズで自らの勝利を祝福した。ホットシートを去るドゥムランは、苦笑いを見せていた。


この日、イタリアのファビオ・アルー(アスタナ)は好調な走りを見せ、フルームに33秒遅れの区間3位でゴール。総合成績を1つ上げて総合7位になった。

地元フランスのロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル)も、追走車にイノーやベルギーのエディ・メルクスが乗車して観戦していた効果があったのか、42秒遅れの区間5位に入ることができた。

一方、コロンビアのナイロ・キンタナ(モビスター)は振るわず、この個人タイムトライアでマイヨ・ジョーヌのフルームに1分10秒の差を付けられてしまった。

総合首位のフルームは2位のバウケ・モレマ(トレック・セガフレード)に3分52秒差、3位のアダム・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ)に4分16秒差、そしてキンタナには4分37秒差という大差を付けて、残り2日となったアルプス山岳区間に臨むことになった。


今年のマイヨ・ジョーヌは、よほどのアクシデントがない限り変動しそうにないが、パリの表彰台でその両脇に立つ権利を得る闘いはアルプスで激化しそうだ。

総合2位のモレマと総合6位のポートのタイム差は、たった1分8秒しかないのだ。第17ステージで調子の悪かったモレマは、この日も個人TTが得意ではないイエーツよりも2秒遅いタイムでゴールし、総合でのタイム差をわずかに縮められてしまっている。総合4位のキンタナがアルプスの山で復調すれば、表彰台の座を奪われてしまう可能性は高い。

地元フランスのバルデはパリの表彰台を狙うと宣言しているので、アルプスでは必ずアタックしてくるにちがいない。しかし、要注意なのはポートだ。第2ステージで不運なパンクに見舞われて1分45秒を失ってしまったポートは、アルプス初日の第17ステージでも絶好調だった。

個人TT終了後にポートは「僕は本当に表彰台に上がりたいんだ。そのために闘うつもりだ」と、宣言している。残りのアルプスステージで、バルデやポートがどんな闘いを仕掛けてくるのか楽しみだ。

 
 
■アップヒルTTを制したフルームのコメント
「今日の成功の大部分は、正しい機材を選んだことだった。このコースを見た時、僕はロードバイクで走ろうと思った。でも、チームと一緒にコースを分析した後、僕たちはTTバイクを選択した。それはもはや9kgではない。

もう一つはペーシングだ。スタートからとても速かった選手はみんな、簡単に調子に乗っていた。僕はそうしなかった。頭の中に目標とする数値があって、多少は調整しなければならなかったが、それはほぼ計画通りにいった」


■区間3勝目を逃したドゥムランのコメント「僕はとても満足しているけど、自分の最高のタイムトライアルではなかったと思う。フルームは単純に彼が最高であることを見せつけた。序盤のとてもキツい場所で、僕は調子がいいと感じて、いいパフォーマンスができた。でもその後、中間地点ではエネルギーをたくさん失ってしまっていた。ホットシートで長い間過ごしたけれど、とても難しいだろうとは予測していた」
 
 
7月22日の第19ステージは今年最後の頂上ゴール区間だ。全長146kmのコースはアルベールビルをスタートし、カテゴリー1のフォルクラ・ド・モンマン峠とカテゴリー2のフォルクラ・ド・ケージュを越えた後、標高1723メートルでカテゴリー超級のビザンヌ山を越える。そして最後は標高1372メートルでカテゴリー1のサン・ジェルベ・モン・ブラン(ル・ベテクス)にゴールする厳しいレイアウトだ。

ビザンヌ山登坂は全長12.4kmで、平均勾配は8.2%。ゴールとなるサン・ジェルベ・モン・ブランは全長9.8kmで平均勾配は8%で、上り始めに13%近い難所がある。
 
MAP : ASO
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■第18ステージ結果[7月21日/サランシュ~メジェーブ/17km(個人TT)]

1 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)30分43秒
2 トム・ドゥムラン(ジャイアント・アルペシン/オランダ)+21秒
3 ファビオ・アルー(アスタナ/イタリア)+33秒
4 リッチー・ポート(BMC/オーストラリア)+33秒
5 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)+42秒
6 トーマス・ドヘント(ロット・ソウダル/ベルギー)+1分02秒
7 ヨン・イサギレ(モビスター/スペイン)+1分03秒
8 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+1分05秒
9 ルイ・メインティス(ランプレ・メリダ/南アフリカ)+1分8秒
10 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+1分10秒
12 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+1分18秒
16 アダム・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ/英国)+1分23秒
17 バウケ・モレマ(トレック・セガフレード/オランダ)+1分25秒
18 ダニエル・マーティン(エティックス・クイックステップ/アイルランド)+1分28秒
141 新城幸也(ランプレ・メリダ/日本)+5分01秒
■第18ステージまでの総合成績
1 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)77時間55分53秒
2 バウケ・モレマ(トレック・セガフレード/オランダ)+3分52秒
3 アダム・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ/英国)+4分16秒
4 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+4分37秒
5 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)+4分57秒
6 リッチー・ポート(BMC/オーストラリア)+5分00秒
7 ファビオ・アルー(アスタナ/イタリア)+6分08秒
8 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+6分37秒
9 ルイ・メインティス(ランプレ・メリダ/南アフリカ)+7分15秒
10 ダニエル・マーティン(エティックス・クイックステップ/アイルランド)+7分18秒
114 新城幸也(ランプレ・メリダ/日本)+3時間00分24秒
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):ペーテル・サガン(ティンコフ/スロバキア)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):ラファウ・マイカ(ティンコフ/ポーランド)
■新人賞(マイヨ・ブラン):アダム・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ/英国)
■チーム成績(黄ゼッケン):モビスターチーム(スペイン)
(http://www.letour.fr/us/)
 












ツール第18ステージの公式ダイジェスト映像


Summary - Stage 18 (Sallanches / Megève) - Tour... 投稿者 tourdefrance_en