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自転車利用の「モデル企業」に認定、クックパッドの自転車通勤制度とは?

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料理レシピ投稿・検索サイトの運営で知られるクックパッド(東京都渋谷区)が今年3月、日本交通管理技術協会が認定する「全国自転車安全利用モデル企業」に選ばれた。同社は2010年から自転車通勤制度を導入。駐輪場の確保や自転車保険の加入義務化等、安全利用の取り組みが評価された。

 
「全国自転車安全利用モデル企業」の認定トロフィーを手にするクックパッドの松尾重義さんと大嶋直子さん=東京・恵比寿の同社オフィスで
「全国自転車安全利用モデル企業」の認定トロフィーを手にするクックパッドの松尾重義さんと大嶋直子さん=東京・恵比寿の同社オフィスで

賠償保険加入や自転車整備などが条件

クックパッドは、通勤時のストレス軽減と健康増進を目的に自転車通勤制度を実施。恵比寿の同社オフィスから半径15km以内で通勤する従業員が対象で、本社で働く従業員の1割弱に当たる約30人が制度を利用する。個人賠償責任額5千万円以上の自転車保険への加入、「TSマーク制度」を利用した自転車の定期点検、防犯登録などが条件だ。自転車通勤を行う従業員には月1万円が支給される。駐輪場は会社が確保し、オフィス設置のシャワー室も利用できる。

利用車種はクロスバイク等のスポーツ車が多いが、子供乗せ自転車での通勤もあるという。自転車通勤制度のメリットとして同社人事部の大嶋直子さんは「自転車は四季の変化を直接感じることができる。公共交通での通勤と比べ、ゆとりや働きやすさを生み出しているのではないか」と話す。
 

制度を整えて自転車通勤のリスクを回避

企業が自転車通勤制度を導入する際、避けて通れないのが交通事故への不安だ。「自転車通勤制度の実施では、高額賠償に対応した自転車保険への加入が不可欠」と大嶋さん。また、同社では昨年6月の改正道交法施行時、全社で法改正と交通安全に関する講習を実施。TSマーク制度を利用した自転車整備も昨年から導入した。

「転居や子育てなど、ライフステージの変化に応じて働き方も変わる。つまり子どもの送迎などの理由で、自転車通勤が必要となる可能性もある。その意味で、交通安全教育を自転車通勤者だけでなく全社的に行っていく必要がある」。同社人事部 制度企画・労務グループ リーダーの松尾重義さんは指摘する。

これまで社内で自転車通勤にともなう大きな事故は起きていないという。大嶋さんは「自転車通勤における大きなリスクの1つは、会社がその実態を把握できないこと。隠れて自転車通勤をしていて、もし重大な事故が起きれば、企業活動にも影響を及ぼしかねない。自転車通勤を公に認めて安全利用に向けた環境を整えるのが、企業と従業員、そして社会にとっても最善の選択ではないか」と話している。(斉藤円華)

<参考サイト>
クックパッド ニュースリリースhttps://info.cookpad.com/pr/news/press_2016_0318
全国自転車安全利用モデル企業について(日本交通管理技術協会) http://www.tmt.or.jp/safety/index9.html