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ドロミテ山岳のジロ第14ステージはチャベスが優勝し、クルイスウエイクがマリア・ローザ!

レース
 
第99回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月21日にアルパーゴ(ファッラ)からコルバーラまでの210kmで、ドロミテ山岳最難関区間と言われる第14ステージを競い、コロンビアのエステバン・チャベス(オリカ・グリーンエッジ)が6時間の熱戦の最後に4人でのゴール勝負を制して区間初優勝した。

区間2位に入ったオランダのスティーブン・クルイスウエイク(チームロトNL・ユンボ)が総合首位に浮上し、マリア・ローザに初めてソデを通した。


ジロに初出場中の山本元喜(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)は、43分47秒遅れのグルッペットでゴールしている。


レースが動いたのは、この日最後に越えたカテゴリー2のバルパローラ峠の登坂だった。36歳のミケーレ・スカルポーニ(アスタナ)が引いていたメイングループから、イタリアチャンピオンのビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)がアタック。意外にもこの攻撃にスペインのアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)は反応することができなかった。

ニーバリの攻撃に付き従ったのは、今年のジロで好調な走りを見せているオランダのクルイスウエイクとコロンビアのチャベスだった。

後からイルヌール・ザカリン(カチューシャ)、ラファウ・マイカ(ティンコフ)、リゴベルト・ウラン(キャノンデール)がバルベルデのグループに追いついてきたが、バルベルデやマリア・ローザのアンドレイ・アマドール(モビスター)の姿は見えなかった。

ここでクルイスウエイクがアタック。ニーバリはついて行けず、チャベスだけが後から合流することができた。2人は逃げていたゲオルグ・プライドラー(ジャイアント・アルペシン)とカンスタンティン・シウツオウ(ディメンションデータ)を、バルパローラ峠の頂上で捕らえ、43秒前を単独で逃げ続けていたコロンビアのダーウィン・アタプマ(BMC)を下りで追撃した。

ニーバリは山頂でクルイスウエイクに20秒以上遅れていた。前日の総合成績で、ニーバリとクルイスウエイクのタイム差はたった2秒しかなかった。彼は得意の下りでクルイスウエイクに追いつくかと思われたのだが、タイム差は決して縮まらなかった。

クルイスウエイク、チャベス、プライドラーの3人は、ゴールまで残り1.8kmで先頭のアタプマを捕らえ、最後はこの4人でのゴール勝負になった。最初に先行したのはプライドラーだったが、ゴール目前で飛び出したチャベスがそのまま先頭でフィニッシュラインに飛び込んだ。彼は昨年のブエルタ・ア・エスパーニャで区間2勝していたが、ジロで区間優勝したのはこれが初めてだった。

クルイスウエイクは区間2位になり、6秒のボーナスタイムを獲得。ニーバリは結局37秒遅れでゴールしたため、28歳のクルイスウエイクがニーバリに41秒差を付けて総合首位に立った。

これでオランダは、トム・ドゥムラン(ジャイアント・アルペシン)につづいて今年2人目のマリア・ローザを輩出した。ジロで同じ年に2人のオランダ人選手がマリア・ローザを着たのは、1989年のジャンポール・ファンポッペルとエリック・ブロイキンク以来のことだった。

第14ステージでは、フランスのアルノー・デマール(FDJ)とカナダのライダー・ヘシェダール(トレック・セガフレード)がリタイアした。
 
 
 
■ジロで区間初優勝したチャベスのコメント
「ボクが契約してからずっと、オリカ・グリーンエッジはボクにとって家族のようだ。その時、ボクは片方の腕にひどいケガを負っていてい、医者は事故後もう自転車には乗れないとボクに言っていた。だからボクはフィニッシュラインを越えた時、その腕を空に突き上げたんだ」

「今年はチームメートのマテュー・ハイマンも腕を骨折した後、パリ〜ルーベで優勝した。ジロで区間優勝することはいつも夢見ていた。それをクイーンステージで成し遂げられたなんて素晴らしい。ジロで総合優勝できるかどうか言うのは時期尚早だよ」

■マリア・ローザを獲得したクルイスウエイクのコメント「ボクにとって素晴らしい日だ。マリア・ローザにとても近かったから、ボクはちょっと夢見ていた。これはボクにとって、とても意味がある。今回は6度目のジロ出場だ。ボクは上るのが好きだから、ジロが大好きなのさ。去年は3週目にコンタドール、アルー、ランダと山岳で競ったが、ボクは最初の週にタイムを失ってしまっていたんだ」
 
 
 
 
■第14ステージ結果[5月21日/アルパーゴ(ファッラ)~コルバーラ/210km]

1 エステバン・チャベス(オリカ・グリーンエッジ/コロンビア)6時間06分16秒
2 スティーブン・クルイスウエイク(チームロトNL・ユンボ/オランダ)
3 ゲオルグ・プライドラー(ジャイアント・アルペシン/オーストリア)
4 ダーウィン・アタプマ(BMC/コロンビア)+6秒
5 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+37秒
6 カンスタンティン・シウツオウ(ディメンションデータ/ベラルーシ)+37秒
7 イルヌール・ザカリン(カチューシャ/ロシア)+2分29秒
8 ラファウ・マイカ(ティンコフ/ポーランド)+2分29秒
9 リゴベルト・ウラン(キャノンデール/コロンビア)+2分50秒
10 ドメニコ・ポッゾビーボ(AG2R・ラモンディアル/イタリア)+3分00秒
11 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+3分00秒
12 ヤコブ・フグルサン(アスタナ/デンマーク)+3分00秒
14 アンドレイ・アマドール(モビスター/コスタリカ)+3分52秒
21 ボブ・ユンゲルス(エティックス・クイックステップ/ルクセンブルク)+6分21秒
152 山本元喜(NIPPO・ヴィーニファンティーニ/日本)+43分47秒
■第14ステージまでの総合成績
1 スティーブン・クルイスウエイク(チームロトNL・ユンボ/オランダ)60時間12分43秒
2 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+41秒
3 エステバン・チャベス(オリカ・グリーンエッジ/コロンビア)+1分32秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+3分06秒
5 アンドレイ・アマドール(モビスター/コスタリカ)+3分15秒
6 ラファウ・マイカ(ティンコフ/ポーランド)+3分29秒
7 イルヌール・ザカリン(カチューシャ/ロシア)+3分53秒
8 リゴベルト・ウラン(キャノンデール/コロンビア)+5分01秒
9 カンスタンティン・シウツオウ(ディメンションデータ/ベラルーシ)+5分38秒
10 ヤコブ・フグルサン(アスタナ/デンマーク)+5分38秒
11 ドメニコ・ポッゾビーボ(AG2R・ラモンディアル/イタリア)+6分00秒
12 ボブ・ユンゲルス(エティックス・クイックステップ/ルクセンブルク)+6分10秒
163 山本元喜(NIPPO・ヴィーニファンティーニ/日本)+3時間11分40秒
[各賞]
■ポイント賞(マリア・ロッサ):ジャコモ・ニッゾロ(トレック・セガフレード/イタリア)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):ダミアーノ・クネゴ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ/イタリア)
■新人賞(マリア・ビアンカ):ボブ・ユンゲルス(エティックス・クイックステップ/ルクセンブルク)
(http://www.giroditalia.it/it/)
 
 
 
5月22日は、標高1060メートルのカステルロットから、標高1844メートルのサイザー・アルム(アルペ・ディ・シウズィ)までの10.8kmで、山岳個人タイムトライアルの第15ステージが行われる。平均勾配は8.3%で、ゴールまで残り2kmには最大勾配11%の難所がある。

マリア・ローザを着て山岳TTに挑むクルイスウエイクは「前回のタイムトライアルでは、ボクはニーバリにたった10秒しか負けていなかった。明日もし同じようにできたら、それはボクがマリア・ローザを守れることを意味する。でも実際には、タイム差を得られることを望んでいる。もちろん疲れてはいるが、それは皆一緒さ」と、語っている。

第1走者のジャック・ボブリッジ(トレック・セガフレード)は、現地時間の13時半にスタート。各選手は1分おきに出走し、5番目スタートの山本元喜は13時34分にスタートする。

最後の15人は3分おきに出走。マリア・ローザのクルイスウエイクは16時46分にスタートする。