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山深い徳島の林道を自転車で――4K映像作品に

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徳島県内をつらぬく国内最長の林道「剣山スーパー林道」(87.7km)を自転車で旅する様子を撮影した超高画質の4K映像が、動画サイト「ユーチューブ」で公開されている。4K関連技術の育成を目指す県では、県内の映像会社に動画制作を依頼した。

 

県が4K作品の制作を支援

自転車旅行の4K映像を制作したのは丸菱(佐那河内町)。県などでつくる「とくしま4Kフォーラム実行委員会」が「スーパー林道を県の観光資源として紹介してほしい」と依頼。自転車冒険家の西川昌徳さんがツーリング仕様のマウンテンバイクで徳島県内を走る様子を、4分弱のプロモーションビデオにまとめた。海岸付近から剣山スーパー林道を経て山間地へ至る約100kmを、ドローンも駆使して撮影。得られた4K映像は細部まで鮮明だ。

「徳島の自然の大きな特徴は山間地が広いこと。海から山へと高低差に富み、標高が上がるに従い植生も変化していく。そんなスーパー林道の風景を映像の主役に据えた」。丸菱の石井友規代表は話す。

 
剣山スーパー林道を自転車で旅するプロモーションビデオ(動画から引用)
剣山スーパー林道を自転車で旅するプロモーションビデオ(動画から引用)


四国では愛媛県がサイクルツーリズムに力を入れていることで知られるが、徳島県内でもサイクリングの人気が高まっているという。「四国八十八ヶ所を自転車で旅する人もいる」(石井さん)。スーパー林道の最奥部には、「平家落人の里」として知られる祖谷(いや)地方がある。

テレビ放送の地上デジタル化移行にともない、県は難視聴対策としてケーブルテレビ網を整備。その結果、光ブロードバンド環境の普及が全国でも高い地域となった。通信インフラが充実したことで、県内にIT企業やサテライトオフィスが移転。これらを背景に県では「4K先進地」として関連産業の育成を図っている。

「4Kではオンボード撮影のような臨場感あふれる映像よりも、風景をじっくりと眺める映像の方が引き立つ。『静』を基調とした自然の中に自転車という『動』の要素があることで、自然と自転車が引き立て合う映像が撮れた」と石井さん。「こんな風景が県内にもあったとは」などと反響が寄せられているという。(斉藤円華)