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ジロ第10ステージはネオプロのチッコーネが区間初優勝し、ルクセンブルクのユンゲルスがマリア・ローザ!

レース
 
第99回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、2度目の休養日を終えて2週目に突入。5月17日はカンピ・ビゼンツィオからセストラまでの219kmで第10ステージを競い、カテゴリー3の頂上ゴールで、21歳でネオプロのジュリオ・チッコーネ(バルディアーニ・CSF)が区間初優勝した。

総合首位のマリア・ローザはジャンルーカ・ブランビッラ(エティックス・クイックステップ)からチームメートのボブ・ユンゲルス(エティックス・クイックステップ)に引き継がれた。

ルクセンブルク出身の選手がマリア・ローザを着用したのは、1959年のシャルリー・ゴール以来だった。ゴールは1956年に23歳で初めてマリア・ローザを着たのだが、奇しくもユンゲルスも現在23歳だ。

ジロに初出場中の山本元喜(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)は、27分33秒遅れのグループでゴールし、117位で第10ステージを終えた。


第10ステージは中級山岳区間だったが、スタートしてすぐにカテゴリー3の峠越えが続き、終盤にはカテゴリー1のピアン・デル・ファルコ峠も越えるタフなレイアウトだった。

日曜日に開催された第9ステージの個人タイムトライアルで、ロシアのアレクセイ・ツァテビッチ(カチューシャ)は他の選手の後ろを長く走ってドラフィングを行ったとして、100スイスフランの罰金と6分48秒のペナルティタイムを課されていたのだが、チームは彼にレースを続けさせない決定を下した。

レースはスタートからアタックが続くハイペースな展開になり、最初のカテゴリー3の上り坂で優勝候補の1人に上げられていたスペインのミケル・ランダ(チームスカイ)がメイン集団から脱落。彼は前夜から病気で、66km地点でレースをリタイアした。

ゴールまで残り70kmで、先頭には10数人の選手がメイン集団に5分以上の差を付けて逃げ続けていた。この日最大の難所だったピアン・デル・ファルコ峠の登坂が始まる前に、先頭の逃げ集団から最初にアタックしたのはゲオルグ・プライドラー(ジャイアント・アルペシン)だった。

残り25kmを切って、プライドラーは後続に30秒以上の差を付けて独走を続けていたが、追走してきたダミアーノ・クネゴ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)、チッコーネ、ステファノ・ピラッツィ(バルディアーニ・CSF)の3人に追い越された。

カテゴリー1の山岳ポイントはクネゴが抜け出して1位で通過し、山岳賞のマリア・アッズーラ奪還に成功した。この山頂を2位で通過したチッコーネが下りで抜け出し、独走を開始した。

一方、ピアン・デル・ファルコ峠の坂でメイン集団はアスタナが先頭を引き、トム・ドゥムラン(ジャイアント・アルペシン)やマリア・ローザのブランビッラが脱落。しかし、マリア・ビアンカを着たチームメートのユンゲルスは山頂で15人ほどに減ったメイングループに残っていた。

チッコーネが独走でゴールを目指していた頃、最後のカテゴリー3のセストラ山で、後方のメイングループから総合3位のアンドレイ・アマドール(モビスター)がアタック。彼はブランビッラに32秒遅れで、ユンゲルスにも31秒遅れだったため、上手く逃げられれば総合首位に浮上できる可能性があった。

メイングループには下りでマリア・ローザのブランビッラが戻ってきたが、その時点ですでに戦略は変わっていた。ブランビッラはアマドールを追うため、メイングループの先頭を引く仕事を開始。彼はここでユンゲルスに総合首位の座をバトンタッチする決心をしていた。

今年プロデビューしたばかりだったチッコーネはそのまま逃げ切り、21歳でグランツール初区間優勝を成し遂げた。彼が所属するUCIプロコンチネンタルチームのバルディアーニ・CSFは、4年連続で区間優勝している。

メイングループは最後にアマドールをとらえてゴール。ブランビッラは残り2kmで仕事を終えて後退していたため、ルクセンブルクチャンピオンのユンゲルスが総合首位に立ち、マリア・ローザを獲得した。

この日、オランダのドゥムランは総合を争うライバルたちより10分以上遅れてゴール。レース中盤で総合争いから脱落してしまった。
 
 

 
■ネオプロでジロ区間初優勝したチッコーネのコメント「今朝のミーティングで、少なくともクライマーを1人か2人含めた2人は逃げようと話していた。それがクライマーはボクとピラッツィの2人で、さらに素晴らしいチームプレイヤーであるボエムがいて3人だったから、計画よりも良かった」

「終盤にボクたちは数でライバルたちに優り、それが成功の鍵になった。ボクは良いクライマーで、おそらくダウンヒルはあまり良くないが、下りでアタックして上手く行った。ジロで区間優勝するのは、子供の頃の夢だったんだ」

■マリア・ローザをブランビッラから引き継いだユンゲルスのコメント「彼自身を犠牲にするのは、ブランビッラが決めたことだった。彼はボクが上りで彼よりも強いことに気が付いていて、アマドールは前にいた。だからマリア・ローザを守るには、最良の方法だったんだ。それはとても特別な決意だった」

「この後のステージで、ボクは最高の選手たちに付いていけるように努力し、可能な限りリードを守るつもりだ。これはボクの人生で最高の瞬間の1つだ。今後のことを話すのは難しいとわかっているが、ボクが総合のために走るというオプションを持って、ボクたちはジロにやって来た」

「チームからはプレッシャーを与えられないが、自分自身から与えられている。ボクは野心的だからね。ボクはレースの中盤でリーダージャージを着ている。でも、標高の高い山岳で自分がどれ位行けるのかわからない。今は落ち着いて、大きすぎる夢は持たないようにしなければならない」
 
 
 
■第10ステージ結果[5月17日/カンピ・ビゼンツィオ~セストラ/219km]

1 ジュリオ・チッコーネ(バルディアーニ・CSF/イタリア)5時間44分32秒
2 イワン・ロブヌイ(ティンコフ/ロシア)+42秒
3 ダーウィン・アタプマ(BMC/コロンビア)+1分20秒
4 ネイザン・ブラウン(キャノンデール/米国)+1分53秒
5 ダミアーノ・クネゴ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ/イタリア)+2分04秒
6 アンドレイ・アマドール(モビスター/コスタリカ)+2分10秒
7 ジョバンニ・ビスコンティ(モビスター/イタリア)+2分11秒
8 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+2分11秒
9 エステバン・チャベス(オリカ・グリーンエッジ/コロンビア)+2分11秒
10 ヤコブ・フグルサン(アスタナ/デンマーク)+2分11秒
11 ラファウ・マイカ(ティンコフ/ポーランド)+2分15秒
12 スティーブン・クルイスウエイク(チームロトNL・ユンボ/オランダ)+2分15秒
13 ドメニコ・ポッゾビーボ(AG2R・ラモンディアル/イタリア)+2分15秒
14 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+2分15秒
15 ボブ・ユンゲルス(エティックス・クイックステップ/ルクセンブルク)+2分15秒
16 リゴベルト・ウラン(キャノンデール/コロンビア)+2分15秒
17 イルヌール・ザカリン(カチューシャ/ロシア)+2分15秒
32 ジャンルーカ・ブランビッラ(エティックス・クイックステップ/イタリア)+3分27秒
70 トム・ドゥムラン(ジャイアント・アルペシン/オランダ)+13分00秒
117 山本元喜(NIPPO・ヴィーニファンティーニ/日本)+27分33秒
■第10ステージまでの総合成績
1 ボブ・ユンゲルス(エティックス・クイックステップ/ルクセンブルク)40時間19分52秒
2 アンドレイ・アマドール(モビスター/コスタリカ)+26秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+50秒
4 スティーブン・クルイスウエイク(チームロトNL・ユンボ/オランダ)+50秒
5 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+52秒
6 ジャンルーカ・ブランビッラ(エティックス・クイックステップ/イタリア)+1分11秒
7 ラファウ・マイカ(ティンコフ/ポーランド)+1分44秒
8 ヤコブ・フグルサン(アスタナ/デンマーク)+1分46秒
9 イルヌール・ザカリン(カチューシャ/ロシア)+2分08秒
10 エステバン・チャベス(オリカ・グリーンエッジ/コロンビア)+2分26秒
11 ドメニコ・ポッゾビーボ(AG2R・ラモンディアル/イタリア)+2分27秒
13 リゴベルト・ウラン(キャノンデール/コロンビア)+2分55秒
29 トム・ドゥムラン(ジャイアント・アルペシン/オランダ)+11分42秒
175 山本元喜(NIPPO・ヴィーニファンティーニ/日本)+1時間39分55秒
[各賞]
■ポイント賞(マリア・ロッサ):アンドレ・グライペル(ロット・ソウダル/ドイツ)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):ダミアーノ・クネゴ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ/イタリア)
■新人賞(マリア・ビアンカ):ボブ・ユンゲルス(エティックス・クイックステップ/ルクセンブルク)
(http://www.giroditalia.it/it/)
 

5月18日はモデナからアーゾロまでの227kmで、中級山岳ステージの第11ステージが行われる。コースは終盤まで平坦だが、ゴール前にはカテゴリー4の丘越えが設定されている。