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萩原麻由子が未舗装路の難関レース、ストラーデ・ビアンケで奮闘

レース
3月5日(土)にイタリア・トスカーナ地方のシエナ近郊で開催されたUCI女子ワールドツアーの第1戦、ストラーデ・ビアンケ。萩原麻由子は当初、補欠選手となっていたが、2月末のベルギーでのレースを終えて、急きょ参戦が決まり、イタリアへと移動。未舗装路がコースに組み込まれる特殊なレースのため、入念にコースの試走をして挑んだ。

 
長い未舗装路区間を走る (c) Sean Robinson/Velofocus
長い未舗装路区間を走る (c) Sean Robinson/Velofocus


萩原麻由子はアシストとしての走りに徹し、前半で役割を終え途中棄権となったが、チームのエース、エマ・ヨハンソン(スウェーデン)が3位、エリサ・ロンゴボルギーニ(イタリア)が4位に入賞し、ウィグル・HIGH5チームは確かな手応えを掴んだ。

 
ウィグル・HIGH5のストラーデ・ビアンケ出場メンバー (c) Bart Hazen / Wiggle HIGH5
ウィグル・HIGH5のストラーデ・ビアンケ出場メンバー (c) Bart Hazen / Wiggle HIGH5


萩原麻由子のレースレポート
事前のミーティングで、自分の役割は、序盤にキング選手と2名で他チームの動きに対応すること、ダート区間前35k地点から始まる5kmの登り区間でチャンスがあれば攻撃すること、エース(ヨハンソン選手、ロンゴボルギーニ選手)にメカトラがあった場合、すぐさま対応すること(チームカーが不運にも最後尾付近のため…) の3点を任務として言い渡され、とにかくレース序盤の60kmで全力を尽くせとの指示。

コース試走でのダート区間の難しさと険しさから、自分の役割はダートに入るまでが勝負だと思っていた。また昨年度のレースでダート区間に入るまでの位置取りの激しさやレースの速さを体験しているため、落ち着きつつも攻めの姿勢で位置取りをするよう心がけた。

当日、雨の予報はなんとか持ち堪えるも、今にも泣き出しそうな重たい空の下レースがスタート。それと共に強い風も吹いている。横風にも注意が必要な日と念頭に置く。3kmのニュートラルも下り基調で道も曲がりくねり高速のまま0km地点通過でレーススタート。

集団は追い風に乗り、殺気立ちながらスタートするも、先週のベルギークラシックを体験しているため、少し余裕を持ちながら位置取り合戦に挑む。皆これから始まる登りやダート区間備えてか、また強い追い風ということもあり、レースは大きな動きはなく高速で集団のまま進む。

最初の登り区間付近から先頭付近をキープし、そのまま登りに突入するとラボバンクのニウイアドマ選手の強力なアタック。すぐさま対応するもつき切れしそうな威力。このアタックにより主な主要チームを含む6人の逃げが形成される。

その後もニウイアドマ選手の攻撃が数回行われ、逃げ集団の威力も衰えた頂上付近で30、40人の集団が合流、下りに入る。下り基調の平坦区間でもラボバンクの攻撃の応酬が始まり、私とキング選手で対応した。ラボバンクの積極的な攻撃の応酬の日だった。

そして最初のダートを先頭集団後方で突入、ここから本当のレースが幕を開ける。落車する選手やパンクする選手が出始める。車輪を滑らせながらも集中して走るよう心掛ける。最初のダート後もラボバンクを中心に起こる攻撃にチームメイトと共に対応するも、カウンター攻撃の応酬に思わず見送ってしまう場面ももあった。

2つ目のダート区間で私は遅れ始め、この区間中の激坂で完全に遅れてしまう。チーム車両にも全て抜かれ、力つきながら数人で走るも一人一人いなくなり、最後は一人で走っていると、レース関係車両らしき車に「フィニッシュ、後ろから来る選手たちと一緒に走って」と言われる。さらに後ろからチームの補給車両が来て回収され車に乗った。調子が良いと思いながら走っていたが、後半力尽きてしまって完走すらできなかったことに落ち込んだ。

レース後監督、チームメイトからは「今日の働きは評価に値するし、素晴らしかった」と言って貰えたが、終盤に力尽きてしまった自分に悔しくて虚しい気分になった。それは序盤の登りで強烈なアタックをかましたニウイアドマ選手が2位入賞と聞いて尚更だった。

しかしチームとしてはヨハンソン選手3位、ロンゴボルギーニ選手4位と、良い結果が出たので良かったと思っている。レース後、ブロンジーニ選手のいた集団での、踏切失格問題等を知り、波乱も起こった激しいワールドツアー初戦が終わった。

欧州開幕戦のオンループ・ヘット・ニュースブラッドから、現世界チャンプのアーミステッド選手の強さが止まらない。2位のポーランド若手ニウイアドマ選手の強さにも磨きが掛かっている。しかし、我がチーム、ウィグル・HIGH5は、まだ優勝こそ届いていないものの、先日のル・サミンでの2、3位、今回の3、4位と、限りなく近いところにいる。

次のワールドツアーは3月12日オランダで行われるロンド・ファン・ドレンテ 、チームの行末に期待大。自身の次戦は3月20日イタリアのトロフェオ・アルフレッド・ビンダ(ワールドツアー第3戦) 。今回の悔しさをぶつけ、チームとしても優勝を狙い全力を尽くしたい。

 
イタリアで“白い道”と呼ばれる今大会。美しいトスカーナの風景の中、選手たちの走る道が目立つ (c) Bart Hzen / Wiggle HIGH5
イタリアで“白い道”と呼ばれる今大会。美しいトスカーナの風景の中、選手たちの走る道が目立つ (c) Bart Hzen / Wiggle HIGH5


●ストラーデ・ビアンケ 公式ホームページ http://www.strade-bianche.it/it/
●UCI女子ワールドツアーについて http://www.uci.ch/road/news/article/uci-women-worldtour-top-level-racing-worldwide/

4月中旬までのレーススケジュール(予定)
3月20日 Trofeo Alfredo Binda - Comune di Cittiglio(イタリア、ワールドツアー)
3月30日 Pajot Hills Classic (ベルギー、UCI1.2)    
4月4日 Grand Prix de Dottignies(ベルギー、UCI1.2)
4月12日 Durango-Durango Emakumeen Saria(スペイン、UCI1.2)
4月13-17日 Euskal Emakumeen XXIX Bira(スペイン、UCI2.1) 

萩原麻由子 フェイスブック https://www.facebook.com/mayukoden/