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観光誘致を伸ばせ! ナショナルサイクルルート認定へ、国交省で検討始まる

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安全で快適なサイクルルート(自転車通行空間)を国が認定する「ナショナルサイクルルート」(仮称)について、国土交通省が検討を本格化させる。しまなみ海道や欧州などの事例を参考にしながら、認定を通じて自転車通行環境の整備に弾みを付けたい考えだ。

 
国は「ナショナルサイクルルート」(仮称)の認定を通じ、観光誘致をテコに自転車通行環境整備を進める考えだ
国は「ナショナルサイクルルート」(仮称)の認定を通じ、観光誘致をテコに自転車通行環境整備を進める考えだ

外国人観光客の利用増大も見込む


検討を行うのは国交省の有識者会議で、7月27日に行われた第4回会合でルート認定が議題に上った。認定を通じてルートをブランド化し、国内外の観光客の誘致増大につなげるねらいがある。国が示した認定基準案では、ルートが連続しており、過去5年間の交通事故件数が極めて少ないことや、宿泊施設などの「おもてなし」の充実などを挙げている。

ルート認定候補として有力視されているのが各地の代表的なサイクルルートで、国は距離20km以上の全国30ルートを抽出。「サイクリストの聖地」ことしまなみ海道(75km)、荒サイ(46km)、北海道リゾートライド(263km)などが含まれている。

「各地にあるルートの中から世界に誇れるものを抜き出して認定する」と国交省の担当者は説明。今後の議論で、ルートの認定基準や整備方針などについてまとめる方針だ。

 
国がリストアップした国内の主要サイクルルート(国交省資料から引用)
国がリストアップした国内の主要サイクルルート(国交省資料から引用)


欧州では政府や民間がサイクルルートを認定している。欧州サイクリスト連盟が認定する「EuroVelo」は欧州のほぼ全域を網羅し、総延長は7万8千kmにも達する。

一方、国内のルートは各地に点在し、互いに連携していない。国はルートの要件案として利用環境の整備、沿線の地域資源、ルート維持のための継続的な取り組みなどを挙げる。このため、欧州と同様に国内を網羅する形でルートを認定する可能性は現時点で低いとみられる。次回会合は8月下旬の見込みだ。(斉藤円華)

<参考サイト>
安全で快適な自転車利用環境創出の促進に関する検討委員会 第4回会合資料(国交省)
http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/cyclists/cyclists_20141219_s_4.html