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今国会で成立なるか?「自転車活用法案」めぐりシンポ

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自転車の活用を総合的かつ計画的に進めることを目的とする「自転車活用推進法案」について考えるシンポジウム(主催・第二東京弁護士会)が25日、都内で開かれた。法案は超党派の国会議員で作る「自転車活用推進議員連盟(自転車議連、会長・谷垣禎一衆院議員)が、今国会への提出と成立を目指している。

 

(右から)務台俊介氏、小林成基氏、屋井鉄雄氏=26日、都内で

 

■東京五輪に向けて法整備

法案では基本理念に「自転車は環境への負荷が低く災害に強い」「自動車への依存の低減が、健康増進と交通混雑緩和による経済効果をもたらす」「交通安全の確保を図る」ことなどを掲げる。このほか国や自治体、公共交通機関の責務を定めるほか、基本方針として「自転車通行空間の整備」をはじめ14項目を明記した。

背景にあるのが5年後の東京五輪・パラリンピックだ。自転車議連は2013年12月、法案の下敷きとなる提言で「20年に向け、世界最高水準の自転車利用環境を用意する」とした。

シンポジウムで、自転車議連の務台俊介衆院議員(自民党)は法案について「国の交通政策基本法と、自転車に関する個別法の間をつなぐものだ」と述べ、自転車活用の推進に向けた法整備の必要性を強調した。

 

■今国会成立は不透明

東京工業大学の屋井鉄雄教授は、都が進める自転車推奨ルートの整備で、車道を基本に行うとした点を評価。一方で「自転車利用を手放しで善とするのは(他の交通手段との)バランスを欠く。道路空間はみんなのものだ、という原点に立ち返る必要がある」と法案に注文を付けた。

自転車活用推進研究会の小林成基理事長は、自転車レーンの路面表示について「『自転車専用』と漢字で書いても海外の観光客にはわからない。多くの外国は右側通行。ガラパゴス的な対応ではなく、矢印と自転車マークの表示に切り替えていかないと東京五輪に間に合わない」と指摘した。

務台氏は自転車活用推進法案について「お盆までには成立させたい」と意欲を見せる。しかし国会では、集団的自衛権の行使を容認する安全保障関連法案をめぐって与野党の攻防が強まる。法案の提出と成立までは見通せないのが現状だ。(斉藤円華)