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5倍の費用対効果!? ドイツでも「自転車ハイウェー」整備始まる

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マイカー通勤からの転換をおもな目的に、郊外と都市とを結ぶ「高速自転車道路(自転車ハイウェー)」の整備がドイツで始まっているという。

高速自転車道路は自転車利用の先進国と言われるオランダが発祥で、英国やデンマークなどでも設置が進む。ドイツでは、総延長が実に101kmに達する「ルール高速自転車道」の整備計画が着手されている。

 

ドイツの自転車事情を紹介するエルファディンク・ズザンネさん=30日、都内で

 

■速度よりもノンストップを重視

ドイツの都市計画に詳しい工学博士のエルファディンク・ズザンネさんは30日、都内で「ドイツの最新自転車事情」をテーマに講演。この中で、整備が進む高速自転車道路について紹介した。高速自転車道路の整備では、最高時速よりも「ノンストップでの巡航」を重視。立体交差などによって交差点を減らすのに加え、一般道と交差する場合でも高速自転車道路の通行が優先される。

ルール高速自転車道は、工業地域として知られるドイツ西部のルール地方の10都市を東西に結ぶ計画だ。総延長の9割以上は既存の道路を活用する。実際に整備されているのはまだ一部に過ぎないが、試算によれば完成時には1日の自動車の交通量は5万台削減され、年間でCO2の排出が1万7千トン減少する。整備費用は約1.84億ユーロだが、費用便益分析の結果は4.8を示した。つまり約5倍の費用対効果が見込めることになる。

 

ドイツでも高速自転車道路の整備が始まった

 

ドイツの高速自転車道路は「まだ道路全体に占める距離は短い」とズザンネさんは話すが、国内では他にもヴッパータール、ゲッチンゲンで整備が行なわれている。ヴッパータールでは廃線跡を利用。自動車利用の増大による渋滞、および鉄道などの公共交通機関における混雑の解消が期待されている。

講演はNPO自転車活用推進研究会(自活研)が企画。自活研会員で進行役の三浦清洋さんは「巡航によって移動のスピードを高めるというのが高速自転車道路の考え方だ。クルマと違いストップ・アンド・ゴーが苦手な自転車の特性が考慮されている。自転車通勤を増やす上で、なるべく停止せずに移動できるようにする、との発想はいい考えだと思う」と話した。

ズザンネさんはこのほか、BID(ビジネス活性地域)の指定を受けた商業地で、沿道の商店主らが参加して歩行者や自転車に配慮した道路整備を行なう事例や、荷物運搬に特化した自転車「カーゴバイク」や電動アシスト自転車の普及などについても紹介した。(斉藤円華)

<参考サイト>

高速自転車道について(エルファディンク・ズザンネさんのウェブサイトの記事)

http://www.elfferding.de/jitensha/kousoku.html