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【Tour News】 世界チャンピオンのエバンズがヒジを骨折

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ツール・ド・フランス第8ステージのアルプス山岳区間で総合首位に立ち、マイヨ・ジョーヌを獲得した世界チャンピオンのカデル・エバンズ(BMCレーシングチーム)が、実はそのステージの序盤で左ヒジを骨折したまま競技を続けていたことが、第9ステージ終了後に明らかになった。

この日、マイヨ・ジョーヌを着てスタートラインに立ったエバンズの左ヒジは、青いテーピングでしっかりと固定されていた。彼は第8ステージの6km地点で落車に巻き込まれた際、そこを骨折していたのだ。日曜日のレース後、モルズィンの病院でX線検査を行った際、ヒジの骨折はすでに明らかになっていた。しかし、BMCはその事実を公表しない作戦を取り、チームメートたちですらエースの骨折を知らされずに第9ステージを走っていた。

第9ステージ終了直後に、この衝撃の事実を公表したBMCのジム・オショビッツ会長は「我々はこのことを誰にも知らせず、レース中ずっとあざむこうと試みた。ライバルたちに知られたくなかったのだ。もしも彼らがそれを知れば、序盤の上りでエバンズに攻撃してくるからだ。どういう結果になるのかは、我々にも確証がなかった。エバンズのヒジは十分に動かず、集団に留まることも難しかった。結局、ケガが彼を押しつぶしたのだ...」と、説明している。エバンズはチームメートたちの献身的なサポートを受けながらも、最後のカテゴリー超級のマドレーヌ峠で集団から脱落し、8分以上遅れてゴール。総合首位の座から18位まで陥落してしまった。

しかし、与えられた状況のなかでベストを尽くして走ったエバンズは「ボクは第8ステージとは同じレベルではなかった。あの日のスタートに大きな落車に遭って、当然の結果として本当に苦しめられている。毎日自転車の上で苦しいけど、ボクはそれを喜んでやる。このプロジェクトで、チームメートとチームはボクをサポートし、ボクを信じてくれていた。それがすべてダメになったのは残念だ」と、語っている。

BMCのマックス・テスタ医師は、エバンズのケガの状態について「骨折は安定したもので小さいが、とても痛む。カデルはずば抜けたタフガイだよ。だから彼はとてもうまくやってのけたんだ」と、説明している。エバンズは第10ステージ以降も、致命的なダメージのおそれが生じない限りは、競技を続行する予定だとチームは発表している。(http://www.bmc-racing.com/)