ニュース

【ツール速報】 第13ステージ:ヴィノクロフ復活優勝!

レース

第97回ツール・ド・フランスは、7月17日にロデズからルベルまでの196kmで第13ステージを競い、カザフスタンのアレクサンドル・ヴィノクロフ(アスタナ)が、残り8kmの丘からアタックして単独でゴールを目指し、そのまま逃げ切って復活をアピールする区間優勝を果たした。13秒遅れのメイン集団はゴールスプリントとなり、発射台を失ったマーク・カベンディッシュ(チームHTC・コロンビア)が2位。3位に入ったアレッサンドロ・ペタッキ(ランプレ・ファルネーゼビーニ)は、トール・ヒュースホーウト(セルヴェロテストチーム)からふたたびマイヨ・ベールを奪取した。総合上位に変動はなく、マイヨ・ジョーヌはルクセンブルクのアンディ・シュレック(チームサクソバンク)が守っている。日本の新城幸也(Bボックス・ブイグテレコム)は、集団ゴールで区間19位に入り、総合は1時間22分6秒遅れの96位だった。

昨日のステージで140kmを逃げ続けた末に、区間優勝を逃していた36歳のヴィノクロフが、まさか今日、敢闘賞の赤いゼッケンを背負ってふたたび果敢にアタックするとは、誰も予想していなかっただろう。ヴィノクロフは「昨日アルベルト(コンタドール)は自分自身に、そして私にがっかりしていた。マンドは勝てる可能性があるステージだったのに、そうすることができなかったからだ。しかし、今日、ピレネー目前のこの勝利で、私はチームに完璧なやる気をもたらすことができたと思う。昨日は勝てなくて残念だったが、それがいいモチベーションを与えたんだ。そして今、我々はピレネー山岳の準備ができた。ピレネーでは、アルベルトのためにマイヨ・ジョーヌを獲得しなければならない。厳しい4日間になるだろうが、我々のチームには大きな自信がある。私はとても調子がいいし、我々はやる気満々だ」と、語っている。

2007年のツールで血液ドーピング陽性になり、2年間の出場停止処分を受けたヴィノクロフは、昨年夏にアスタナで復帰。今季はリエージュ・バストーニュ・リエージュで見事な復活優勝を遂げたが、メディアは彼の復活を快く祝福せず、記者会見ではドーピングに対する辛辣な質問が相次いだ。その時彼は「ドーピングではなく一生懸命働くことで、レースには勝てるのだと証明して、ジャーナリストや、とくに観衆の信頼を取り戻したいと思っていた」と、語っていた。その言葉通り、不屈の男はその後も『走り』で、信頼を取り戻そうと努力している。この日の記者会見でも「あなたは選手として変わり、クリーンに走っているのだと人々に保証できるか?」という質問が出た。ヴィノクロフは「YES。リエージュで勝ったあとに言ったように、ヴィノは帰って来た。これは新しいヴィノだ。今はみんながそれを理解してくれていると思う。私はフランスでの人気を勝ち取らなければならず、ツールでの勝利はそれを手助けしてくれるだろう」と、答えている。「私にとっては、ツール・ド・フランスに出場したことがもう勝利だ。そしてこの2日間、私は観客が応援してくるのをたくさん聞いた。それでここで、この区間を勝てたんだ。だから私にとって、今日は競技人生でとても素晴らしい1日だよ」

第13ステージは176選手がスタート。ニュートラルゾーンで落車があり、ランス・アームストロング(チームレディオシャック)が巻き込まれたが、オフィシャルスタートする前には集団に復帰している。4.5km地点でフアンアントニオ・フレチャ(チームスカイ)、シルバン・シャバネル(クイックステップ)、ピエリック・フェドリゴ(Bボックス・ブイグテレコム)がアタック。全員がツールで区間優勝した経験のある逃げグループは、最大で6分差を付けたが、残り10kmで集団に引き戻されてしまった。ゴール手前8kmに設定されたカテゴリー3のサン・フェレオル峠の上り坂で、元世界チャンピオンのアレッサンドロ・バッラン(BMCレーシングチーム)がアタック。これをきっかけにヴィノクロフ、ニコラス・ローチ(AG2R・ラモンディアル)、ルイスレオン・サンチェス(ケスデパーニュ)、ダミアーノ・クネゴ(ランプレ・ファルネーゼビーニ)らが追走し、ヴィノクロフはバッランを追い越して先頭に立った。フランスチャンピオンのトーマ・ボークラー(Bボックス・ブイグテレコム)が必死で追い上げたが、残り3kmで集団に飲み込まれた。フラム・ルージュでヴィノクロフのアドバンテージは20秒。大集団を背負った闘将は、両手を高々と上げてゴールラインを通過した...。

いよいよ明日からはピレネー山岳決戦がスタート。初日の第14ステージは、ルベルからアクス・トロワ・ドメーヌまでの184.5km。序盤は平坦だが、終盤に標高2100mのポルト・ド・ペレール峠(カテゴリー超級)を越え、最後は標高1372m、スキーリゾート地のアクス・トロワ・ドメーヌ(カテゴリー1)の頂上ゴールが待ち構えている。

■第13ステージ[7月17日/ロデズ→ルベル/196km]
1 アレクサンドル・ヴィノクロフ(アスタナ/カザフスタン)       4時間26分26秒
2 マーク・カベンディッシュ(チームHTC・コロンビア/英国)          +13秒
3 アレッサンドロ・ペタッキ(ランプレ・ファルネーゼビーニ/イタリア)      +13秒
4 エドワルド・ボアソンハーゲン(チームスカイ/ノルウエー)           +13秒
5 ホセホアキン・ロハス(ケスデパーニュ/スペイン)               +13秒
6 ジュリアン・ディーン(ガーミン・トランジションズ/ニュージーランド)     +13秒
7 アントニ・ジェラン(FDJ/フランス)                    +13秒
8 トール・ヒュースホーウト(セルヴェロテストチーム/ノルウエー)        +13秒
9 グレガ・ボレ(ランプレ・ファルネーゼビーニ/スロベニア)           +13秒
10 ロイド・モンドリ(AG2R・ラモンディアル/フランス)            +13秒
■第13ステージまでの総合成績
1 アンディ・シュレック(チームサクソバンク/ルクセンブルク)    63時間08分40秒
2 アルベルト・コンタドール(アスタナ/スペイン)                +31秒
3 サムエル・サンチェス(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)      +2分45秒
4 デニス・メンショフ(ラボバンク/ロシア)                 +2分58秒
5 ユルフン・バンデンブルーク(オメガファルマ・ロット/ベルギー)      +3分31秒
6 リーバイ・ライフェイマー(チームレディオシャック/米国)         +4分06秒
7 ロベルト・ヘシンク(ラボバンク/オランダ)                +4分27秒
8 ホアキン・ロドリゲス(チームカチューシャ/スペイン)           +4分58秒
9 ルイスレオン・サンチェス(ケスデパーニュ/スペイン)           +5分02秒
10 ロマン・クロイツィーゲル(リクィガス・ドイモ/チェコ)          +5分16秒              
■マイヨ・ジョーヌ:アンディ・シュレック(チームサクソバンク/ルクセンブルク)
■マイヨ・ベール :アレッサンドロ・ペタッキ(ランプレ・ファルネーゼビーニ/イタリア)
■マイヨ・アポワ :アントニ・シャルトー(Bボックス・ブイグテレコム/フランス)
■マイヨ・ブラン :アンディ・シュレック(チームサクソバンク/ルクセンブルク)
■チーム成績   :チームレディオシャック(米国)
(http://www.letour.fr/)