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【ツール速報】 ピレネー3日目はフェドリゴが区間優勝

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第97回ツール・ド・フランスは7月20日に、バニェール・ドゥ・ルションからポーまでの199.5kmでピレネー山岳3日目の第16ステージを競い、ランス・アームストロング(チームレディオシャック)が序盤から逃げ続けてファンを喜ばせたが、最後はスプリント勝負で地元フランスのピエリック・フェドリゴ(Bボックス・ブイグテレコム)が、ツールで3度目の区間優勝をマーク。アームストロングは区間6位に終わった。総合上位に変動はなく、スペインのアルベルト・コンタドール(アスタナ)がマイヨ・ジョーヌを守った。

第16ステージは172選手がスタート。前日にポルト・ド・バレス峠のふもとで落車したイバン・マヨス(フートン・セルベット)は、肋骨を3本骨折していて出走できず、ブラム・タンキンク(ラボバンク)はバクテリア感染でツールを去った。スタートしてすぐにカテゴリー1のペイルスールド峠の上り坂に挑むこの日も、序盤からアタックがつづき、その中にアームストロングも含まれていた。11km地点のペイルスールド峠山頂で先頭は14人。メンバーはアームストロング、クリストファー・ホーナー(チームレディオシャック)、アレクサンドル・ヴィノクロフ(アスタナ)、マイヨ・アポワのアントニ・シャルトー(Bボックス・ブイグテレコム)、ブラッドリー・ウィギンス(チームスカイ)、ロマン・クロイツィーゲル、シルベステル・シュミド(リクィガス・ドイモ)、ライダー・ヘスイェダール(ガーミン・トランジションズ)、サンディ・カザー(FDJ)、カルロス・サストレ(セルヴェロテストチーム)、マテュー・ロイド(オメガファルマ・ロット)、ルイアルベルト・コスタ(ケスデパーニュ)、ゴルカ・ベルドゥゴ(エウスカルテル・エウスカディ)、エロス・カペッキ(フートン・セルベット)。集団とのタイム差は1分40秒だった。最初の登坂で、ジロウイナーのイバン・バッソ(リクィガス・ドイモ)が脱落。発熱をともなう気管支炎を患ってしまい、結局この日は34分48秒遅れのグルッペットでゴール。総合14位から27位にまで陥落してしまった。

つづくアスパン峠越えで、14人の逃げグループは10人に減った。マイヨ・ジョーヌの集団では、アスパン峠の山頂まで5kmで総合3位のサムエル・サンチェス(エウスカルテル・エウスカディ)と総合6位のロベルト・ヘシンク(ラボバンク)が脱落。一時は50秒遅れたが、アスパン峠の下りでマイヨ・ジョーヌ集団に合流した。先頭集団では、アスパン峠の下りでカザーがアタック。他の選手がすべてマイヨ・ジョーヌ集団に戻るのを尻目に、アームストロングは単独で追走。51km地点でカザーを追い越し、一時先頭に立った。

ツールマレー峠で先行するアームストロングとカザーに、集団からカウンターアタックで飛び出したフェドリゴ、クリストフ・モロー、ルベン・プラサ(ケスデパーニュ)、ダミアーノ・クネゴ(ランプレ・ファルネーゼビーニ)、ホーナー、ユルフン・バンドワル、カルロス・バレド(クイックステップ)が合流。9人は72km地点のツールマレー峠山頂で、マイヨ・ジョーヌ集団に3分35秒差をつけて逃げ続けた。ゴールまで61.5km、最後のカテゴリー超級のオービスク峠山頂では、タイム差は10分近くまで開いていた。

9人の先頭集団から、残り45kmでバレドがアタック。スペイン人は30秒前後のタイム差で逃げ続けたが、フラムルージュ直前でつかまってしまった。最後は8人でのゴールスプリントをフェドリゴが難なく制し、今大会地元フランスに6度目の区間優勝をもたらした。地元フランス勢が6勝したのは、実に1992年以来のことだった。マイヨ・ジョーヌ集団では、区間10位争いのスプリントをノルウエーチャンピオンのトール・ヒュースホーウト(セルヴェロテストチーム)が勝ち取り、アレッサンドロ・ペタッキ(ランプレ・ファルネーゼビーニ)からマイヨ・ベールを奪い返した。

2006年、昨年につづいて3度目の区間優勝を成し遂げたフェドリゴは「優勝を演じることなくこのツールを終えていたら、とても失望していただろう。ボクは本当に成功がないことを怖れていたんだ。ツールはそれだけあっという間に終わっていって、ボクは自分自身が望むものに答えられていなかった。夕べはちょっとくじけそうになっていて、神経はすり減っていた。でも、多分それが、自信を取り戻すのに必要なことだったんだ。今朝はアントニー・シャルトーのマイヨ・アポワを守るために、できるだけ山岳ポイントを取る目的で逃げに入った。そのとき、ボクは去年ツールマレーとアスパンで、ペリゾッティと一緒に逃げた瞬間を思い出したんだ。ゴール前に、アームストロングにはこう言われたよ。お前がこのグループで一番速いってわかっているから、私は協力しないぞってネ」と、喜びを語った。

第15ステージで、アンディ・シュレック(チームサクソバンク)がメカトラブルの間にアタックしたことを非難されたコンタドールは、昨夜ツイッターを通じてメッセージビデオを配信し、シュレックに謝罪した。それでも第16ステージの表彰式では、コンタドールにブーイングを浴びせる心ないファンが大勢いた。騒ぎを沈静化させるために、フランステレビジョンはレース後にコンタドールとシュレックをTVカメラに登場させ、和解をアピールしている。7月21日は2度目の休養日となり、22日にピレネー最終決戦の第17ステージが行われる。

■第16ステージ[7月20日/バニェール・ドゥ・ルション→ポー▲▲▲▲/199.5km]
1 ピエリック・フェドリゴ(Bボックス・ブイグテレコム/フランス)   5時間31分43秒
2 サンディ・カザー(FDJ/フランス)
3 ルベン・プラサ(ケスデパーニュ/スペイン)
4 ダミアーノ・クネゴ(ランプレ・ファルネーゼビーニ/イタリア)
5 クリストファー・ホーナー(チームレディオシャック/米国)
6 ランス・アームストロング(チームレディオシャック/米国)
7 ユルフン・バンドワル(クイックステップ/ベルギー)
8 クリストフ・モロー(ケスデパーニュ/フランス)
9 カルロス・バレド(クイックステップ/スペイン)                +28秒
10 トール・ヒュースホーウト(セルヴェロテストチーム/ノルウエー)      +6分45秒
■第16ステージまでの総合成績
1 アルベルト・コンタドール(アスタナ/スペイン)          78時間29分10秒
2 アンディ・シュレック(チームサクソバンク/ルクセンブルク)           +8秒
3 サムエル・サンチェス(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)      +2分00秒
4 デニス・メンショフ(ラボバンク/ロシア)                 +2分13秒
5 ユルフン・バンデンブルーク(オメガファルマ・ロット/ベルギー)      +3分39秒
6 ロベルト・ヘシンク(ラボバンク/オランダ)                +5分01秒
7 リーバイ・ライフェイマー(チームレディオシャック/米国)         +5分25秒
8 ホアキン・ロドリゲス(チームカチューシャ/スペイン)           +5分45秒
9 アレクサンドル・ヴィノクロフ(アスタナ/カザフスタン)          +7分12秒
10 ライダー・ヘスイェダール(ガーミン・トランジションズ/カナダ)      +7分51秒              
■マイヨ・ジョーヌ:アルベルト・コンタドール(アスタナ/スペイン)
■マイヨ・ベール :トール・ヒュースホーウト(セルヴェロテストチーム/ノルウエー)
■マイヨ・アポワ :アントニ・シャルトー(Bボックス・ブイグテレコム/フランス)
■マイヨ・ブラン :アンディ・シュレック(チームサクソバンク/ルクセンブルク)
■チーム成績   :チームレディオシャック(米国)
(http://www.letour.fr/)