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【ツール速報】 第10ステージはパウリーニョが区間優勝

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第97回ツール・ド・フランスは、7月14日にシャンベリーからガップまでの179kmで第10ステージを競い、ポルトガルのセルジョ・パウリーニョ(チームレディオシャック)が、バシリ・キリエンカ(ケスデパーニュ)を一騎打ちのゴールスプリントで下し、チームに今大会初区間優勝をもたらした。3位はドリス・デベナインス(クイックステップ)だった。総合上位に変動はなく、ルクセンブルクのアンディ・シュレック(チームサクソバンク)がマイヨ・ジョーヌを守った。日本の新城幸也(Bボックス・ブイグテレコム)は、メイングループでゴールして区間111位。総合成績は1時間16分51秒遅れの107位だった。(photo: Team RadioShack)

第10ステージは181選手が出走。スタートから気温32度Cという暑い1日になった。革命記念日ということもあってスタートからアタックがつづいたが、逃げ出せる選手はなかなか現われなかった。36km地点でやっと糸口をつかんだのはベテランのマリオ・アールツ(オメガファルマ・ロット)。同郷のデベナインス、キリエンカ、パウリーニョが加わって4人で先頭集団を形成し、50km地点でサクソバンクがコントロールするメイン集団に3分差を付けていた。フランスの祭日にフランス人が逃げに入らないのは許されない、とばかりにピエール・ロラン(Bボックス・ブイグテレコム)とマクシム・ブーエ(AG2R・ラモンディアル)が追走。66km地点で4人に合流し、先頭は6人になった。

77km地点に設定されていたカテゴリー1のラフレ峠では、6人が通過したあとの7位争いを、前日にポイント差なしでマイヨ・アポワを獲得したアントニ・シャルトー(Bボックス・ブイグテレコム)と、ジェローム・ピノー(クイックステップ)が演じ、ピノーが7位通過で6ポイントを獲得。シャルトーは8位通過で5ポイントを取り、ピノーが1ポイント上回ってマイヨ・アポワ奪還に成功した。

逃げる6人は120km地点で11分25秒差を付けていた。気温は40度C近くまで上昇し、3週間のツールの折り返し地点にまで来て疲労のピークに達している選手たちをさいなんだ。終盤には2003年のツールでホセバ・ベロキが落車した危険な下り坂が設定されていることもあり、メイン集団は逃げを容認し、安全にゴールをする道を選んだ。結局、メイン集団は区間優勝者より14分19秒遅れでレースを終えている。

ゴールまで残り15km、逃げる6人からまずアールツがアタック。デベナインスが追走したが、結局はここでキリエンカとパウリーニョを先行させる結果になってしまった。もしもキリエンカが優勝すれば、祖国ベラルーシに初のツール区間優勝をもたらす。それがプレッシャーになってしまったのか、トラック競技が得意なはずのキリエンカは、スプリントの仕上げでパウリーニョを差しそこない、車輪半分の僅差で栄光をつかむことができなかった。

「ボクにとってこの勝利は、五輪で銀メダルを獲得したことよりも重要だ。これは世界で最高のレースで、ツールで区間優勝することは、選手が成し遂げられることの頂点でもある」と、ツールで区間初優勝したパウリーニョは喜びを語った。「最後の10数キロで、マリオ・アールツはアタックを試みようと望んだ。彼が捕まったあと、もう一人のベルギー人のデベナインスがアタックし、彼を捕まえたあとで、ボクは同じように試そうと決めたんだ。最後は自分とキリエンカだけになった。きわどいスプリントだったけど、もっとも重要なのは勝つことだ。だから今回、ボクにとってもチームにとってもこれはいいことだ。この先もチームがもうすこし勝利を得られるといいね。チームは1つの目標を持ってスタートし、それは総合成績だが、チーム成績もそうだ。それは我々にとってケスデパーニュ、アスタナ、ラボバンクがもっとも重要なライバルだ。だからボクは逃げに入ったんだ。ケスデパーニュの選手がいたからね。我々はチーム成績の闘いを続けるよ」

第10ステージでは、逃げ切った6人を追走し、終盤にアイルランドのニコラス・ローチ(AG2R・ラモンディアル)が集団からアタック。12分58秒遅れの区間7位でゴールし、総合順位を17位から13位に上げている。1987年にツールで総合優勝した偉大な父を持つローチの挑戦はまだまだつづくだろう。メイン集団は、マイヨ・ベール争いをするスプリンターたちが、わずかなポイントを争って真剣勝負のゴールスプリントを競い、マーク・カベンディッシュ(チームHTC・コロンビア)、アレッサンドロ・ペタッキ(ランプレ・ファルネーゼビーニ)、トール・ヒュースホーウト(セルヴェロテストチーム)の順でゴール。第10ステージを終えてポイント賞首位はヒュースホーウトが守ったが、ペタッキとのポイント差はわずか7ポイントになった。上りは序盤に1ヶ所しかないスプリンター向きの第11ステージでは、マイヨ・ベール争いの集団ゴールスプリントが観られるだろう。

■第10ステージ[7月14日/シャンベリー→ガップ/179km]
1 セルジョ・パウリーニョ(チームレディオシャック/ポルトガル)    5時間10分56秒
2 バシリ・キリエンカ(ケスデパーニュ/ベラルーシ)
3 ドリス・デベナインス(クイックステップ/ベルギー)            +1分29秒
4 ピエール・ロラン(Bボックス・ブイグテレコム/フランス)         +1分29秒
5 マリオ・アールツ(オメガファルマ・ロット/ベルギー)           +1分33秒
6 マクシム・ブーエ(AG2R・ラモンディアル/フランス)          +3分20秒
7 ニコラス・ローチ(AG2R・ラモンディアル/アイルランド)       +12分58秒
8 レミ・ポリオル(コフィディス/フランス)                +13分57秒
9 マーク・カベンディッシュ(チームHTC・コロンビア/英国)       +14分19秒
10 アレッサンドロ・ペタッキ(ランプレ・ファルネーゼビーニ/イタリア)   +14分19秒
■第10ステージまでの総合成績
1 アンディ・シュレック(チームサクソバンク/ルクセンブルク)    49時間00分56秒
2 アルベルト・コンタドール(アスタナ/スペイン)                +41秒
3 サムエル・サンチェス(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)      +2分45秒
4 デニス・メンショフ(ラボバンク/ロシア)                 +2分58秒
5 ユルフン・バンデンブルーク(オメガファルマ・ロット/ベルギー)      +3分31秒
6 リーバイ・ライフェイマー(チームレディオシャック/米国)         +3分59秒
7 ロベルト・ヘシンク(ラボバンク/オランダ)                +4分22秒
8 ルイスレオン・サンチェス(ケスデパーニュ/スペイン)           +4分41秒
9 ホアキン・ロドリゲス(チームカチューシャ/スペイン)           +5分08秒
10 イバン・バッソ(リクィガス・ドイモ/イタリア)              +5分09秒
■マイヨ・ジョーヌ:アンディ・シュレック(チームサクソバンク/ルクセンブルク)
■マイヨ・ベール :トール・ヒュースホーウト(セルヴェロテストチーム/ノルウエー)
■マイヨ・アポワ :ジェローム・ピノー(クイックステップ/フランス)
■マイヨ・ブラン :アンディ・シュレック(チームサクソバンク/ルクセンブルク)
■チーム成績   :ケスデパーニュ(スペイン)
(http://www.letour.fr/)